夢中人

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スサノオ

2012年10月03日 | Weblog
「国家とはなにか」ということですが、本を読んで「抑止力」だと感じました。内に対しても、外に対してもそれが向けられるみたい。
本の中では、暴力という文字がよく見かけられました。暴ぶる力。で、「暴」を漢和辞書で引いてみました。


暴  一①あらい(あらし)あらあらしい。イ手あらいロはげしい。きびしい。ハたけだけしい(猛)。「狂暴」②あらす。あばれる。③そこなう(害)。やぶる(毀キ)④しいたげる(虐)。むごくする。⑤おかす(犯)。しのぐ(凌リョウ)⑥わるい。よこしま(邪)。道にはずれる。⑦度をすごす。不当な。「暴食・暴利」⑧あばれ者。ならず者。⑨うつ(撃)。素手でうつ。手うちにする。「暴虎」⑩にわか(にはか)。にわかに。たちまち。とつぜん。
二①さらす。イ日にかわかす(曝バク)。ロ日光や風雨にあてる。外に出しておく。②あたためる。日光にあててあたためる。③あらわす。明らかにする。また、示す。④あばく。「暴露」⑤あらわれる。知れる。「暴露」⑥かれる(枯)。かわく(乾)。「槁暴コウバク(かれる・かわく)」○暴代あらしろ


「暴」の意味を読んだ時に、浮かんできたのがスサノオでした。スサノオといったら荒々しい神、暴れん坊の神。
今一度、スサノオの話を読み返してみました。


イザナギが、黄泉国から帰ってきて禊をしたときに、左の目を洗ってアマテラスを、右の目を洗ってツクヨミを、鼻を洗ってスサノオを生みました。
イザナギは、アマテラスに高天原の支配を、ツクヨミに夜の食国の支配を、そしてスサノオには海の支配を命令しました。
アマテラスとツクヨミは、すぐに天に昇って任務を果たしはじめましたが、スサノオだけはイザナギのいうことをいつまでも聞かずに、大人になってあごひげが胸まで垂れてもまだ大声で泣きわめき続けていました。
イザナギが、「なぜ命じた通りに海を支配しないで、泣きわめいているのか。」と訊ねると、「自分は、死んだ母のいる地下の世界に行きたくてたまらずに泣いている」と答え、それに激怒したイザナギはスサノオを地上から追放します。
そうするとスサノオは、姉のアマテラスにわけを話してから、母の住む根の堅州国に行こうとします。そして、地震を起こしながら、天へ昇っていきました。
スサノオが突然、凄まじい勢いで昇って来る物音を聞いたアマテラスは、高天原を自分から奪おうとやって来るに違いないと思い込み、男の姿に身を固め、いかめしく武装をし「何をしに昇ってきたのですか」と訊ねました。スサノオは、イザナギから追放されたので、行ってしまうその前にわけを話したいと思い昇ってきたと懸命に釈明しました。
そうするとアマテラスは「ではあなたの心が潔白なことはどうすればわかりますか」と訊ね、スサノオは「お互いの心のありようが明らかになるという、誓約(うけひ)をした上で、子を生みあってみましょう」と言いました。
それで天を流れている天の安の河という河の両岸に向かい合って誓約をし、たがいが相手の持ち物から子を生み合ってみることになりました。
まずアマテラスがスサノオの剣を貰い受けて三つに折り、天の井戸の水で洗い清めてから、口に入れ噛み砕いて息といっしょに吹き出すと、その霧の中に次々に三人の女神達が誕生しました。そのあとでスサノオがアマテラスの髪と左右の手に巻きつけていた勾玉の飾り五つを次々に貰い受けては、同じようにすると、吹き出した息の霧の中に今度は次々に5人の男の神たちが誕生しました。
アマテラスは「あとから生まれた男の子たちは、私の持ち物から生まれたのだから私の子です。前に生まれた女の子たちは、あなたの持ち物から生まれたのだからあなたの子です。」と言いました。スサノオは「自分の子として優しい女の子が生まれたことで、心の潔白が証明されたので、自分の勝ちだ。」といいました。
心の潔白が証明されたことで有頂天になったスサノオはそれから散々ひどい乱暴をしました。アマテラスが天上に作らせていた田のあぜを壊し、溝を埋めてしまったり、神殿に大小便を撒き散らしたりのことをやったのです。
しかし、アマテラスは、スサノオがそんなひどいことをしたのにもかかわらず、スサノオを叱らずにかばってあげたのです。ですが、スサノオの乱暴はいっこうにおさまりません。ある時、アマテラスが衣を織らせていたご殿の屋根に穴を開けて、そこから皮を剥いだ馬を投げ込んだのです。それに驚いた織女の一人が機具で陰部を突き刺し、死んでしまいました。
ついに怒ったアマテラスが、天岩戸を開き中に入って閉じこもってしまいました。太陽の女神が隠れてしまったために世界はたちまち真っ暗になってしまいました。
これに困った八百万の神々は、天安河の河原に集まって会議を開きました。そしてお祭りをしてアマテラスを岩戸前へと引っ張りだしました。そのおかげで世界はまた、太陽に照らされることになりました。そのあとでスサノオは天から追放されました。

天から出雲の肥の河の上流に降りたスサノオは、その土地の神のアシナヅチとテナヅチという老夫婦が、娘のクシナダヒメを中にして泣いているのを見かけます。
わけを聞くと、彼らは、もともと娘が8人いたが、毎年ヤマタノヲロチという怪物がやって来ては一人ずつ食われてしまい、いま最後に残った娘を食いに来る時になったので泣いているというのです。その怪物は、巨大な体で八つずつの頭と尾があり、目は真っ赤で、腹はいつも血でただれたいると説明しました。
それを聞いたスサノオは、ヤマタノオロチを退治するかわりにクシナダヒメを嫁にもらいたいと申し込んだのです。そしてクシナダヒメを櫛に変えて自分の髪に挿しました。そして老夫婦に命じて、八つの門のある円い垣根を作らせ、八つの大がめを用意し、その中にたっぷりと酒を入れてヤマタノオロチを待ちました。
現れたヤマタノオロチは大好物の酒があるのをみて、すっかり飲みほして、ぐでんぐでんに酔っ払い寝てしまいました。そのすきをねらって、スサノオが十拳剣(とつかのつるぎ)でヤマタノオロチをずだずたに切り裂いて退治してしまいました。
ヤマタノオロチを切り刻んだ時に、尾の一つを切ると、スサノオの鋭い剣の刃が、何か固いものに当たって欠けました。不思議に思って、剣の先で割ってみると、中から、目が覚めるようなすばらしい剣が見つかりました。スサノオは、そのまたとない宝の剣を、天上にいるアマテラスに献上しました。それが三種の神器の一つのクサナギの剣になったと言われています。
こうしてスサノオはクシナダヒメと結婚してこの国で幸せに暮らすことになったのです。


スサノオの暴れん坊ぶりをみてみると、母に会いたいと駄々っ子になったり、調子にのっての乱暴だったり、また人助けのための暴れだったりで、いろいろな意味での暴れがあった。その中で、人を助ける為の暴れの時に手にした剣こそが、クサナギの剣。
アマテラスが天孫と呼ばれる孫のホノニニギに、日本の国土の支配者に任命して地上に降りて行かせた時に、授けた三種の神器の一つ。
困らせの暴れしかしていなかったスサノオ。新しい土地に行って、人助けのための暴れをやって、手にしたクサナギの剣をアマテラスに渡した。自分の力をもてあまし、さんざん迷惑をかけてきたが、それまでの違う意味での暴れで手にした剣を、どうしても渡したかったのかもしれませんね。姉アマテラスは、その剣を受け取り、日本国土の支配者に授けた。その支配者というのは、天の安の河で子を生み合ってみせた時に、アマテラスが左耳の脇から「みずら」と呼ばれる輪の形に束ねて垂らしていた、髪に付けていた勾玉の飾りからスサノオが生み出したオシホミミ。そしてそのオシホミミの子で、アマテラスの孫にあたるホノニニギが後に天孫として地上に降ろされ、皇室の始祖になった。
このお話からすると、スサノオは、アマテラスにとっても、日本にとっても重要な神ですね。

「暴」という字には象形文字もあったみたいで、その説明もありました。
(解字)会意。日と出と(両手)と米との合字。原義は、日が出て両手で米をあげてさらす意。引いて、あたためる・あらわす意に用いる。また、日と出と(はやく走り進む)と(両手)の合字。日が出て、はやく走って両手でいけにえをささげる意から、はやい、あらあらしい意に用いるという。

この象形文字の意味を読んだときに浮かんだのが、天岩戸の話でした。日(太陽)が、出て行って、両手でいけにえを捧げるという感じでしょうか。両手でいけにえを捧げるというか、日(太陽)を戻すために、祭りをするという感じでしょうか。この状況は、八百万の神々が困った状況なのです。その原因を作ったのが暴れ。
日本人の心の中には、暴れすぎると、太陽が消えていって、困ったことになってしまうというというお話が潜んでいるのかもしれませんね。

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