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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

「運命」の基準

2009-05-18 00:13:21 | 音楽・映画
ルードヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン
交響曲 第5番 ハ短調 「運命」
交響曲 第7番 イ長調

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン

録音:1976年10月 1977年1、3月

今更ながら驚いた。これは押しも押されぬ「運命」の名演奏である。超名演といってもいいだろう。また、この演奏と共にカラヤンが20世紀を代表するベートーヴェン演奏家の一人であったと再認識できる。これは「英雄」や「第九」を聴けば更に頷ける。30年以上前のアナログ録音だが音質はまったく問題ない。一般に1970年代以降の録音であれば、音質はまず大丈夫と考えていいだろう(60年代から70年代にかけて「録音技術」は急速に進歩し、80年代にピークに達している)。さて演奏の方であるが、数ある名演奏(曲が曲だけに)の中でもこの「運命」と勝負できるのは、クライバーかフルトヴェングラーくらいではないかと思う。果てしなく長い演奏史における数々の試みによって、洗練され積み上げられてきた「運命」の一つの完成体ではないか?とも思える。しかしカラヤンとベルリンフィルの コンビは、彼らならではの不思議な音を出す。もちろんそれが名演奏の一つの要因でもあるのだが、分厚いボリュームを持ちながら軽快な音、適度な残響も関係しているだろう。”不思議な”と言ったのは他の演奏家のどのレコーディングを聴いても、滅多に聴くことのできない音だからだ。これはブラームスを聴いてもワーグナーを聴いてもチャイコフスキーを聴いても同じ。不意に聴いてもこれはカラヤンだとすぐに分かる。録音の問題もあるだろう。恐らくカラヤンはレコーディングの技術や手法にも相当こだわったに違いない。次に「七番」であるが、これがまた実に素晴らしい。好敵手としてぶつかるのは、またしてもクライバーではないかと思う。以上、少し強調が過ぎたかも知れないが、「運命」「七番」について、カラヤンとクライバーが相当な高みに達しているのは間違いないだろう。(フルトヴェングラーも独自の凄さをもっているが、音質が遠く及ばないので初心者の方々は避けた方がいいと思う)
コメント (6)
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