紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

黒いマルの真骨頂…オール・アローン~マル・ウォルドロン

2008-05-01 22:59:36 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
「マル・ウォルドロン」…(ブラック・ミュージシャン)黒人であると言う事を、最も感じさせてくれるピアニストがこの人である。
このアルバムは、その「マル」が、特に個性を発揮した最右翼のアルバムだと思う。

作曲は全編、「マル」の作品であり、演奏も(誰にも束縛されない)ソロ演奏である。

とにかく彼の黒々さが全編に渡り発揮され、アフリックと言うか、アフロと言うか、とにかくネイティブな黒さが堪能出来るんです。

今日は、「マル・ウォルドロン」の姿を楽しんで下さい。

アルバムタイトル…オール・アローン

パーソネル…マル・ウォルドロン(p)ソロ

曲目…1.オール・アローン(映画「マンハッタンの哀愁」より、2.デュー・トリ、3.ルーカの眺め、4.ブルー・サマー、5.イフ・ユー・シンク・アイム・リックト、6.スリー・フォー・シッシ、7.モスク・レイド、8.忘却のワルツ

1966年3月1日 ミラノにて録音

原盤…GTA LP-1004  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VDJ-1565

演奏について…1曲目「オール・アローン」…序奏から「マル」の男の哀愁たっぷりに黒く美しい世界へと誘う。
ややはずし気味のブロック・コードを用いた、マイナー・メロディを訥々と弾いて、「マル・ワールド」に身を委ねたくなってしまう。
しかし、良く聴いてみると…何かを思い出す。
そう、「マル」がグレート・シンガー「ビリー・ホリデー」に捧げた名曲、「レフト・アローン」に似ているのだ。
何故なら、実は姉妹曲なんですね。
この哀愁…一度聴いたら忘れませんぜ!

2曲目「デュー・トリ」…非常に個性的なブルース曲だが、ここでも「マル節」が随所に出てきて感激!
曲は段々速くなって行き、「マル」がそれに乗って弾き捲くる。
しかし、左手の低音部は、同様のリズムと和音を刻み、ブルージーで且つ、重厚感を表現していて、とても構築がしっかりした作品です。
一言で言うと、ゴツゴツした岩石の様な曲で、無骨な漢にはジャスト・フィットなんですね。

3曲目「ルーカの眺め」…タイトル曲に匹敵するロマンティックで、ナイーブなマイナー・チューンで、これも聴いたら涙チョチョ切れものですね。
「マル」が、暗い影を落としたマイナー曲を弾く時、世界が変わるんです。
例えが余りにも悪いが、吸血鬼「ドラキュラ」が出陣?する時の様な…空気の流れが急変して…漆黒の闇夜が現れる。
「マル」は決して悪人ではなく、血も吸わないが…暗黒砦の鬼門番?みたいです。
しかし、顔は強面だが、実は心優しい鬼門番なんですよ。
この曲を聴いて心を洗ってください。

4曲目「ブルー・サマー」…この曲もはて?どこかで聴いた様な気がする…。
「悠 雅彦」氏のライナー・ノーツに書いて有るのを読んで?!!…分かりました。
そうです、「マイルス」の「オール・ブルース」に似ているんです。
このシンプルなブルーズ曲が、「マル」の個性と感性にジャスト・フィットして、独自の世界観を表現しているんです。
この4曲目まで、個性(マル節)が全開ですけど、曲調が変化していて、飽きさせませんね。
流石、「マル・ウォルドロン」です。

5曲目「イフ・ユー・シンク~」この曲にも似たのがありますよ。
ずばり「ブルーベック」の「テイク・ファイヴ」です。
と言っても、似ているのはリズムだけなんですけど…こいつも5/4拍子なんで、リズムが必然的に似ちゃうんです。
しかし、いかにも白人然とした「ブルーベック」と「マル」では、リズム以外は全く似ませんよね。
感性しかり、演奏方式しかり。
そして、正しく演奏されている曲の色が白と黒で正反対ですね。
ジャズを介して、オセロ・ゲームの対決みたいですな!

6曲目「スリー・フォー・シッシ」…とても美しいワルツ曲で、ブロック・コードで仕上げていく曲に、彼「マル」がサイド・メンとして参加している「エリック・ドルフィー」の「ファイヴ・スポット」のライブ・アルバムの「ファイアー・ワルツ」が、思わず眼に浮かぶ。
1曲目、3曲目と並んで、このアルバムの御三家と言って良いでしょう。
美しいメロディに、影になっているが…このマイナー曲の物悲しさに心震わずには居られません。

7曲目「モスク・レイド」…モスクの名が付くことから連想出来る様に、アラビア風の曲…なんだけど、実際は「マル」の先祖がエチオピア出身なので、それをイメージして作ったらしい。
つまり「アラビック」では無く「アフリック」なんですね。
でも、そんな細かいことはどうでも良いです。
非常にスケールの大きな、大地をイメージさせる…やっぱりアフリカ大陸なんだろうねぇ?
個性溢れる1曲です。

8曲目「忘却のワルツ」…おいおい!このワルツ曲もすごーく良いじゃないか?
きれいで、美しい曲だけど…良く聴くとやっぱり、ドス黒い!
やはり「マル」だ!
「マル」の曲だ!「マル」以外の何者でも無い!
でも…でも…でも「マル」はやっぱり良いぜい!
最後の最後まで「マル」節で押し通すんだ!
誰が何と言おうと、究極のワン・パターンだ。

ぶっちゃけ…魅惑の「マル・ワールド」の旅は快適ですよ。
是非、行ってくださいね!!!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿