紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ロック・ギター史上に名を遺す傑作…魂の兄弟たち~C・サンタナ&M・J・マクラフリン

2007-11-27 12:23:49 | ロック
今日の2枚目アルバムは、表題通りロック・ギター・アルバム史上で、傑作と呼ばれている作品ですが、演奏内容からすれば、「ジャズ」と言うカテゴリーに入れても何ら違和感が無いばかりか、ジャズ・ギターとして歴史的なアルバムと言う位置付けでも十二分に評価されるべき作品だと思います。
何故ならば、「カルロス・サンタナ」と「マハビシュヌ・ジョン・マクラフリン」の二人が「ジョン・コルトレーン」にトリビュートして、彼に捧げたアルバムだからです。

特に演奏している曲目に着目して下さい。
何と1曲目に「至上の愛」を演っているんです!
「神」に挑戦する、いや(畏怖の念を抱き、楽器で祈る)この二人の勇気と行為を改めて賞賛して下さい。

アルバムタイトル…魂の兄弟たち

パーソネル…リーダー;カルロス・サンタナ(g)
      リーダー;マハビシュヌ・ジョン・マクラフリン(g、p)
      カリッド・ヤシン「ラリー・ヤング」(org)
      アーマッド・ペラザ(conga)
      ビリー・コブハム(ds)
      ドン・アリアス(ds)
      ジャン・ハマー(ds)
      ダグ・ランチ(b)
      マイク・シュリーヴ(ds)

曲目…1.至上の愛、2.ネイマ、3.神聖なる生命、4.神の園へ、5.瞑想、6.至上の愛(オルタネイト・テイク2)、7.ネイマ(オルタネイト・テイク4)

1972年録音 1973年6月22日オリジナル・アルバム・リリース

原盤…Columbia KC32034  発売…SONYミュージック
CD番号…MHCP-2029

演奏について…1曲目「至上の愛」…この1曲目に「サンタナ」と「マクラフリン」は全てを賭ける。
彼等二人を強烈にサポートするのが、オルガンの「コルトレーン」こと「ヤシン:ラリー・ヤングの別名」で、そのサポートと「ラブ・シュープリーム」のテーマのパーカッションを受けて、「サンタナ」「マクラフリン」が縦横無尽にギターを掻き鳴らす。
テクニックはさることながら、それ以上に注目すべきは、演奏スピリットだ!
ここでの演奏は、「神」へのチャレンジでは無く、あくまでも「神」に対して祈りを捧げている演奏に聴こえる。
「コルトレーン」に対して、楽器やジャンルは違えど、我々は貴方の音楽精神を踏襲し、伝えていきたいのです。との決意表明とも言えるだろう。
ギターとオルガンが織り成す小宇宙の先に、小さいが強く明るい希望の光が見えている。

2曲目「ナイマ」…これも「コルトレーン」の曲だが、「至上の愛」とは全く異なったアプローチで、二人のアコースティック・ギターによってデュオ演奏がなされる。
瞑想と言うべきか、静寂と言うべきか、正に「コルトレーン」の墓前で無心に祈りを捧げている様が見える。
アコースティック・ギターのナイーブで物悲しい音質が、貴方の心を静かに揺さぶるでしょう。

3曲目「神聖なる生命」…「コルトレーン」亡き後、新たなミュージック・シーンの到来と、彼等自らが時代を背負って行く事を高らかに告げるトラック。
パーカションに煽られ、掛け声を言いながら曲を進行させているのは、彼等なりの「至上の愛」と取ったら良いのでしょうか?
全員が一体となって演奏に邁進し、宇宙空間にトリップする、熱狂的なトラックです。

4曲目「神の園へ」…彼等は「コルトレーン」の聖地に到着したのであろうか?
肉体は勿論、死んではいないので有り得ないが、精神は「神」「師匠」の元へ着いたのであろうか?
ギター、オルガン共々フル・トーンで演奏がなされるのだが、とても静かだ!
精神が極みに近づき、楽園へと心が舞い降りる。
その後、パーカッションはことさら楽しげに敲きあい、「サンタナ」「マクラフリン」のギターも各々に狂喜乱舞する。
音楽と言う世界観が、「神」に最も近づいた時、その「神」の「精神」が彼等の肉体についに宿る………。
「コルトレーン」は己の魂を削って吹き続けたと思っていたが、実は違うのでは無いか?と思わせる曲です。
「神」も実は、音楽は楽しい物だと最終的に言いたかったのかも知れません。
それとも「サンタナ」「マクラフリン」が、「コルトレーン」に叩き付けた「挑戦状」「回答」がこれなのかも知れません。
いずれにせよ、曲の中盤から後半にかけて、明らかに彼等が吹っ切れて、迷い無くギターを弾き切っている(ギター小僧になっている)のは確かです。
このアルバムでのオリジナル曲では、間違い無くナンバー1の名演です。

5曲目「瞑想」…短いが、とても東洋的で、そして名旋律の良い曲です。
前の曲(演奏)で、燃えに燃えて疲れ切った心と体を、クールダウンし、自らを癒すヒーリング・チューン…「サンタナ」「マクラフリン」…恐るべし!!!


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