紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

これからプレスティッジ時代のコルトレーンを紹介しますよ。~ブラック・パールズ

2007-06-26 23:07:51 | ジョン・コルトレーン
私のブログにいつも心あるコメントを下さるナオさんが、ご自身のブログでアトランティック~インパルスにかけての、完成された「コルトレーン」のアルバムをありがたい事に、良く紹介して下さっています。
この完成された「トレーン」には非の打ち所が無いのですが、その熟成前の少し青さの残った「トレーン」の演奏したアルバム(主にプレスティッジ時代)を、今後多くの機会に出来るだけ紹介して行きたいと思います。
今回はいきなりの頂上ですが、プレスティッジ時代の最後のアルバム「ブラック・パールズ」をセレクトしました。

アルバムタイトル…「ブラック・パールズ」

パーソネル…リーダー;ジョン・コルトレーン(ts)
      ドナルド・バード(tp)
      レッド・ガーランド(p)
      ポール・チェンバース(b)
      アート・テイラー(ds)

曲目…1.ブラック・パールズ、2.恋人よ我に帰れ、3.スウィート・サファイア・ブルース

1958年5月23日録音

演奏(曲)について…まず、冒頭の「ブラック・パールズ」だが、序奏はいかにもハード・バップらしいファンキーな2管演奏で始まり、その後すぐさま「トレーン」はエンジン全開で「シーツ・オブ・サウンド」のシャワーを吹きまくる。
続く「バード」は歌うようにメロディアスなアドリブを演じて、ぶいぶい言わす「トレーン」とガチンコではない別土俵での勝負に出るのが面白い。
その後は、「ガーランド」、「チェンバース」、「テイラー」とお決まりで、各々順番にソロを演って、最後はまたファンキーな2管で締めくくる。
正にハード・バップのお手本の様な演奏に、「トレーン」超絶技巧がプラスされたグッドな演奏になっています。

2曲目のスタンダード・ナンバーですが、面食らうようなアップテンポでぐいぐい押し進められる演奏で、ここではまず「バード」が非常にブリリアントで魅惑的ななソロでスタートダッシュを駆けると、その後を追従する「トレーン」がまたまた、気絶物の「シーツ・オブ・サウンド」を演じる。
ここからしばらくは「トレーン」の独壇場が続いて、あまりのすごさに口をあんぐり状態にさせられそう。
これにインスパイアされて、「ガーランド」も早弾きし、「チャンバース」もいつも以上に気合の入ったソロで、いつものほのぼの癒し系ベースを突き破った演奏をする。
テイラーも節度を持ってはいるが、スティック1発1発に自然と力が入る。
しかし、「コルトレーン」がギアを入れると、廻りは一気に確変モードに入るので、改めて「神」のすごさ(影響力)は絶大だと気づかされる。

3曲目「スウィート~」は18分以上のミディアム・テンポのブルースで、ここでは最初から「ガーランド」が乗って「ブロック・コード」を嵐の如く弾きまくるが、また「トレーン」が登場すると、一気にぶっち切りの「カデンツァ」を吹いて、一瞬にして「コルトレーン」の世界に聴衆を引きずり込む。
「バード」は健闘はしているものの、「コルトレーン」の圧倒的なソロを見せつけられて、やや気後れしているようにも見える。
「チェンバース」は彼には珍しいパワフルなソロで、フロントをバックアップしていて、非常に好感が持てる。
「テイラー」もタイトでビシッとしたドラムソロを決めてカッコイイの一言。

いずれにしてもこの「至高のカルテット」結成前とは言え、改めて「ジョン・コルトレーン」のすごさが分かる1枚のナイスなアルバムである。