紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

このピアノトリオはすごい!ビル・エヴァンス~グリーン・ドルフィン・ストリート

2007-06-07 22:48:48 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
ここ数日、本格派のジャズから少し(かなり?)道筋が逸れていましたので、今日は超本格派のジャズ・ピアノ・トリオの名盤を紹介しましょう。

アルバムタイトル…グリーン・ドルフィン・ストリート

パーソネル…リーダー;ビル・エヴァンス(p)
      ポール・チェンバース(b)
      フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)トリオ1~6曲目
      
      ズート・シムズ(ts)
      ジム・ホール(g)
      ロン・カーター(b)※チェンバースから代わる
      エヴァンスとフィリー・ジョーは代わらず、7曲目のみ

曲目…1.あなたと夜と音楽と、2.マイ・ハート・ストゥッド・スティル、3.グリーン・ドルフィン・ストリート、4.ハウ・アム・アイ・トゥ・ノウ?、5.ウッディン・ユー(テイク1)、6.ウッディン・ユー(テイク2)、7.ルース・ブルース

1959年1月19日(1~6)、1962年8月21日(7)録音

演奏について…まずは、ピアノのエヴァンスに、この強力なリズム二人は、この時期伝説の「マイルス・デイヴィス・クインテット」のメンバーであり、いずれのアーチストも、スーパー・テクニシャンである。
特に、リリカルでインテリジェンスに富んだ、エヴァンスのピアノワークと、とにかくジャズ史上ドラムテクニックで言えば、おそらくナンバー1と思える、フィリー・ジョーの超絶技巧に加えて、ボーイングとほのぼのトーンが魅力のチェンバースが奏でる演奏が悪かろうはずが無い。

さて、お薦め曲だが、私的にはかつてCMのBGMにも使用された、1曲目「あなたと夜と音楽と」は、エヴァンスのイマジネイティヴなアドリブと、フィリー・ジョーのブラッシュワークがとても格調品位の高い名演を創造していて、このアルバムのベストトラックだ。

次いで、表題曲の3曲目「グリーン・ドルフィン・ストリート」が良い。
エヴァンスのややクールで冴えたソロに対して、フィリー・ジョーもまたまた抜群のテクで応戦していて聴き応えがある。

それと1曲だけ別の日「2年半後」に録られた、終曲の「ルース・ブルース」が、良い演奏だ。
先回紹介した「ズート・シムズ」の渋いテナーに、エヴァンスの名盤「インター・プレイ」にも参加している「ジム・ホール」の、これまた渋く抑え目のバックギターに、何と言っても「完成を見た」「エヴァンス」の、知的でハイセンスなアドリブにKOされる。

2テイクある「ウッディン・ユー」では、6曲目のテイク2の方に分がある。
何故なら、フィリー・ジョーのスーパードラミングテクニックが、テイク2の方が乗りが良く、分かり易く言えば、やや派手だがとても華麗な演奏だからである。

最後になるが、リーダー;エヴァンスの演奏が素晴らしいのはともかくとして、どのトラックでもそれ以上に「フィリー・ジョー」の演奏はすごい!の一言だ。
かつて、彼がライヴに出演する時、チケットがいつもソールド・アウトになったと言う伝説があるのも頷ける。

対して、チェンバースは全般的に余り調子が良くないようで、ボーイングで時折見せ場を作るものも、いつもの彼からするとちょっと残念な演奏で、これが、本アルバムが録音から10年経ってから、初レコード化された(すぐに世に出なかった)理由かもしれない。