紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

若き日の金字塔、ナルシソ・イエペス~アランフェス協奏曲

2007-06-01 23:48:44 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
後のジャズに絶大な影響を与えた、20世紀を代表するギター協奏曲である、ロドリーゴ作曲の「アランフェス協奏曲」の代表的なアルバムがこれです。

若き日の「ナルシソ・イエペス」(まだ彼の代名詞である10弦ギターは使用せずに、通常の6弦ギターを用いての演奏&録音)は、スペインの生んだ最高の指揮者「アタウルフォ・アルヘンタ」の名アシスト演奏もあり、本当に切ればスペイン色の血が吹き出るほど、熱く燃えた情熱的な演奏がなされている。

アルバムタイトル…「アランフェス協奏曲」

演奏者…ナルシソ・イエペス(g)
    アタウルフォ・アルヘンタ(con)
    ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(con)※1
    オドン・アロンソ(con)※2
    スペイン国立管弦楽団

曲目…1.アランフェス協奏曲(第1楽章・5:55、第2楽章・9:55、第3楽章・5:19) 2.ある貴紳のための幻想曲※1(第1楽章・5:25、第2楽章・9:52、第3楽章・2:03、第4楽章・5:06) 3.ヴィヴァルディ・ギター協奏曲※2(第1楽章・3:28、第2楽章・4:15、第3楽章・2:13) バッハ・シャコンヌ・ニ短調(14:46)

演奏について…全曲目中最も素晴らしい演奏は、表題曲の「アランフェス」です。
取分け有名なアダージョである第2楽章の、美しく完璧な演奏と言ったら筆舌し難い。
イエペスの完璧なテクニックに加えて、聴いていて演奏のバックに有る背景まで見えて来るほどの知・情・意のバランスにすぐれた、アルヘンタの指揮も相まって50年近く経った今でも、この曲ベスト1の評価が揺るぎない名演奏を生んでいる。
イエペスも通常6弦ギターを使用しているので、他人には出来ない独自のテクニックのような分かり易い物ではなく、純粋にギターに魂を込めて弾いている姿が、余計に人を惹きつける。
正しくシンプルイズベストの代表的な名盤である。

コンダクターが、「デ・ブルゴス」に代わって、ある貴紳のための幻想曲では、イエペスの超絶的な演奏テクニックが冴え渡り、圧倒される。

終曲のバッハのシャコンヌでは、「イエペス」のソロ・ギター演奏となる。
ここでは、何にも束縛されない自由な空間の中で、ヴァイオリンによる原曲(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番BWV1004の終楽章)を、ギター用に編曲したのだが、とにかく演奏に没頭し、集中したギターの申し子に、天から神が降臨するかのような、けがれ無き透明度の高い音色で崇高に奏でている。
オープニングの「アランフェス」に匹敵する、素晴らしき名演と言えよう。