紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

バランスのとれた白人テナー…ズート・シムズ~ズート

2007-06-04 23:37:30 | ジャズ・テナー・サックス
最近、コルトレーンを中心として、比較的東海岸のアフロな感じのホーンアルバムを多く紹介していた気がしますので、今日は白人テナーの職人、ズート・シムズのワンホーン、リーダーアルバムを紹介します。
是非、なごみと寛ぎのジャズを堪能して下さい。

アルバムタイトル…「ズート」

パーソネル…リーダー;ズート・シムズ(ts)
      ジョン・ウィリアムス(p)
      ノビー・トッター(b)
      ガス・ジョンソン(ds)

曲目…1.9:20スペシャル、2.ザ・マン・アイ・ラヴ、3.55th・アンド・ステイト、4.ブルー・ルーム、5.ガスズ・ブルース、6.ザット・オールド・フィーリング、7.ボヘミア・アフター・ダーク、8.ウディン・ユー

1956年10月12日 NYにて録音

演奏について…まず、私の好みで恐縮ですが、ジョージ・ガーシュイン作曲の2曲目「ザ・マン~」は、これぞズートの真骨頂というべき、ワン・ホーンで淡々と、そして叙情的に吹くバラードに聴き惚れる。
あえて、余り甘くない、しかし辛口でもない中庸の美学がそこにあり、正しくズートここにありと言いたい、「ズートの為の」「ズート流の演奏」です。
対して、ピアノの「ウィリアムス」は甘ーい旋律で対抗していて、それはそれで有りでしょう。

6曲目「ザット~」は、とにかく「ズート」が気持ちよく、魅惑的なアドリブを演奏していて、陶酔の極地的演奏にKO寸前。

7曲目「ボヘミア~」は、やや早めの演奏でバック3人が突き進む中、「ズート」は「アルト・サックス」で、まるで若かりし頃の「アート・ペッパー」を彷彿させる様な、感受性が豊かで、魅力的なアドリブを吹き、正に「萌えー」って感じでしょう。

4曲目スタンダードの「ブルー・ルーム」では、ドラムの「ジョンソン」の鼓舞に対して、またまた「ズート」は原曲にかなり忠実に、ズート流を崩さないが、中間のカデンツァ・アドリブで、ちょいとお洒落なフレーズをかまして、全くやってくれるぜ!!

5曲目「ガスズ・ブルース」は「ガス・ジョンソン」のオリジナル作曲で、ここでは、4曲目とは違い、「ジョンソン」の鼓舞に対して、「ズート」も乗って応えて、スウィング感溢れる、これぞ「ハード・ヴァップ」と言う規範のような演奏をしています。

8曲目「ウディン・ユー」は、アルバムラストを飾るに相応しく、4人それぞれの聴かせどころのソロがあり、ピアノ「ウィリアムス」の軽やかなタッチも良いし、ベース「トッター」の実直さもうなずけるし、そしてドラム「ジョンソン」のアフロなリズムと「ズート」の絡みも曲の盛り上げに不可欠な要素となって、フィニッシュとなる。

偉いジャズ評論家がかつて言っていた、ずっといい「ズート」を聴いてね!!