レッスンはいつものとおり、開放弦でのダウン・ボーイングのチェックから始まった。
オケの練習で、無理やり楽器を鳴らしているのと、チェロが硬直してしまっている。
レッスンでは、脱力して「芯まで響く」奏法を取り戻すまで1時間はかかる。
しかし今日は、先生は軽く調弦を終えると開放弦の基本練習に移っていった。
「おっ、大分力みが取れて、チェロが鳴るようになったということか・・」と思いながら
G線でのダウンから開始し、D線、A線、C線と進み、次にアップで各弦を鳴らしてゆく。
ところが最後のC線で行き詰ってしまった。
C線は最も低い弦だけに弦そのものが太く、弓の毛が「噛みにくい」のではあるが、
今回はC線をアップで噛まそうとしても、なかなか弦に毛が食いつかない。
「おかしいな~」と何回もアップで、トライするが、上滑りな音しか出てくれない。
無論、二本の指で辛うじて支えているくらいの持ち方でやっているのだが・・
見かねたのか、先生はご自分のチェロを持ってきて同じようにアップでC線を弾かせてくれる。
するとどうだろう、軽々と、何の力みもなく、鳴ってくれるではないか。
「先生のチェロは何の力みも必要ないくらい、すぐ食いついてくれますね・・
同じ弾き方なのにどうして先生のチェロは鳴るんですかね?」
「・・・・(にこっ)」
「これがチェロの良さの違いということですか!」(先生のチェロは超高級外車1台分だ)
「そうです。皆さんは、もともと鳴りにくい、難しいチェロを弾いているうえに、
無理な演奏でチェロが抵抗しているので、大変弾くのが難しいわけです」
ということで、ここから弦の再調整が始まった。つまりチェロの「整体師」をやってくれた。
ペグ、駒などあちこちの点検しなおすと今までとは響きの違うチェロになってしまった。
チェロがリラックスしたんだということだ。
さて、このあとは、アップダウンの切り替え練習に入っていったが、
ここで先生は謎めいた言葉を発した。
「これができると、すごいことになります」と微笑んだ。
その練習とは・・
開放弦で、4拍子の一拍目をダウン、二拍休んで、四拍目をダウンで弾くと弓を返し
次の小節の一拍目をアップで演奏する。
同じく、二小節目はの2,3拍目は休んで、四拍目をアップで弾き、そのまま弓を返して
次の一拍目をダウンで演奏する。つまり4拍目と次の1拍目を連続で演奏する練習だ。
何回かやってみるが、先生のようには行かない。
どこが違うかというと、弦を返した瞬間に微妙な「間」が開いてしまうのだ。
「間を開けずにに、切れ目なく出来るかどうかですね・・」
「そうです。アマチュアの人はこの返しで指を離してしまうことが多い。
だから、これができるとすごいことになります(笑)」
このドリルの真の成果は、午後からのアンサンブルで練習で使う予定だった
モーツアルトのMenuettの譜面を先生が演奏されるとすぐに分かった。
返しで音の響きが連続するかしないかで、曲想が全く違ってしまうのだ。
10年選手の先輩も「音が切れてしまう」ことからまだ開放されていなかった。
基本中の基本だけど「切れ目の無い弓の返し」が大きなチャレンジ目標に加わった。
チェロの練習風景が手に取るように分かりまして興味深いです
チェロという楽器も繊細なんですね~
普通は、ソリストの先生に習っている方が多いようで、次々と曲を仕上げていっているように感じ、羨ましい気持ちもありま。
でも、僕はオケやアンサンブルが目的なので、徹底した基礎の積み上げはありがたいと感じています。
良いドリルを頂戴した気分です。やって見ます。