チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

今度こそ、ボーイングものにするぞ!

2012年10月21日 22時12分02秒 | レッスン

オケの定期演奏会などで、お休みしていたレッスンに久しぶりに向かった。
友人からダメ出しされたボーイングを直すヒントをぜひともつかみたいと思いながら。

師匠は 早速チェロを調整してくれたあと、いつもの通りダウンからレッスン開始。
ダウンを何度も繰り返す間は一言もおっしゃらず
「A線からアップで」珍しくA線でのアップを指示された。

A線のアップは体から一番遠くまで腕を伸ばさなければならないので苦しい。
肩の力を抜いて、力まずに・・・と思ってもあっちの方から、こっちの方にボーイングすると、
どうしても力が入ってしまい、弾き始めに弓の先端が弦に当たるときに、
弦の上でバウンドしたり、接点が決まらなかったりで納得ゆくボーイングにならない。
音も安定せず、芯まで届いておらず「何回やってもだめか・・・」という思いも兆してくる。

見かねたのか、師匠にしては珍しく、ボーイング練習の意味を言葉で説いてきかせてくれた。
「ボーイング練習は、いかに大きな音を出せるかを練習しているんです」
「チェロの芯まで届く音でないと演奏には使えないから大事な練習なんです」と、
ボーイングの引き始めに2~3度試し弾きしていることの意味も具体的に示してくれた。
それを示すため、アウフタクトがアップボーイングで始まる曲や
途中でダウンからアップになってもクレッションドし続ける曲など弾いて見せてくれた。

師匠の方針は理解しているつもりだし、何度も教えられてきた。
でもうまく行かない。だからこそ、今日こそは掴み取ろうと、
師匠の指など上から、下から、横から点検しまくり、
弓を持つ強度などを、実際に指を引っ張ったりして何度も確認させてもらった。

やはり師匠の手も指も柔らかい。
その力は、かろうじて弓が落ちない程度しか入っていない。
それなのに、自分の楽器とは思えない程の音が響き渡らせている。


しばらくして、ボーイング練習は切り上げて、左手のレッスンに移ろうとされた。
でも今回は逆らって、ここを逃してなるものかと、ボーイングの基本練習に戻してもらった。

自分でやってみると、アップになるとどうしても右手が落ち着かない。
特にアップからダウン、ダウンからアップへの移行前後になると
弓を掴んでいる右手親指と中指の間で弓がずれてきて、弓を持ち直すことにる。

「なんでこうなるんでしょう」
「やはりどこかに力が入っているからです」
「アップでも力は要らないんですね」
「弦に乗せてるだけです」

ほんのちょっと弓をつまむ感じで弦に弓を乗せてアップしてみると
「そうです、それでいいんです」
「えっ!」
「鏡を見てください。きれいな形になってるでしょう。」
確かに、今までになく繊細な姿の右手が写っている。

「これでいいのか!本当に、こんなんでいいんだ」
「今までは、弓がずれないように力を入れ過ぎていたんだ!」
師匠は呆れ顔で、「百年前から言っているでしょ!」と言いたげだった。


その後も左手レッスンを続けられようとしたけど、
右手の0.1ミリ程の違いが、巨大な一歩だと直感していたので
「もう今日はここでいいです。あんまり沢山教えてもらっても、忘れちゃうから」
と切り上げをお願いした。
最近はとても一度に覚えられなくなっている。
というか一度に一つ気付けば儲けもんだ。

ボーイングのことは心に置いておき、迫っているアンコンの曲、
ブラームスのクラリネット五重奏3楽章の楽譜を引っ張り出して教えてもらった。
師匠は全部演奏して見せてくれ、演奏が難しいところはポジションの取り方も
書き込んでくれた。こうしたサービスには本当に感謝したい。ありがたかった。

でもでも、運指は演奏方法はやっぱり当面対策にすぎない。
本当のチェロの音が出せるためには、ボーイングが8割なんだから。
右手に残った、ボーイングの感覚を大事に、
長年困っていた「踊る弓」からの解放に向けて・・・ものにしたい。

コメント (2)
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