チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

一流チェリストの若き日の葛藤が面白い

2011年05月30日 15時02分09秒 | レッスン

いま「語り継ぐ 齊藤秀雄のチェロ教室」を読んでいる。


そもそも我が師匠に再入門しようと思ったきっかけの一つに、この書籍もあった。
堤剛、藤原真理、山崎伸子など16人の超一流チェリストが、齊藤秀雄に師事した若き日の
レッスンのありようを、何グループかに分けて語り合っている。

あるものは小学校時代、ある人は高校から。
また時代的には戦前に習っていたひとも、
戦後多くの海外アーチストと接点ができてから教えてもらえるようになった人も。
時代によって齊藤秀雄の教えは進化(変化)していったことも語られている。

会話の中身は、無論チェロ一色。
「僕は左手の叩きだけ3ヶ月かかった」
「弓を持たせてもらえるまで長かった」
「親指を離して押さえることばかりやらされた」
「何を怒られてるのかも分からないまま怒られ続けた」
といった調子で、ベートーベンのソナタやら、コンチェルトを子どものころから
弾きこなしていたような才能ある子どもたちが、
基礎の基礎から叩き込まれた様子がありありと語られてゆく。

思えば堤剛さんも、ヨーロッパデビューしたあと渡米してシュタルケルに(だったと思うけど)師事したが、
最初の1~2ヶ月かは音階しかやらせてもらえなかったってTVで話していたな~。

「語り継ぐ」に値するのは、サイトウキネンに集う多くのプロを輩出した齊藤秀雄のチェロ教育の姿勢なのだが
ぼくにとって一番価値を感じたのは、一流のチェリストたちが、若き日に、どのように感じ、葛藤し、乗り越えて行ったか・・
彼らのチェロとの、音楽との真剣な格闘の軌跡だ。

高齢者になってチェロに初めて触れた人は「文句が多い」と我が師匠は嘆かれる。
そのお気持ちが少し感じられる気がする。(我が師匠はこの学派ではないと思うけど・・・)
子どものころは、先生の言うままに、習うより慣れろで努力したからこそ、
今のプロとしての自分がいる・・ということなのだと思う。

一流プロの思い出話だけではなく、左手親指の位置、ポジションのとり方など細かな技能・技術の指導内容や、
海外アーチストとの接触で技術が進歩してゆくさまが写真入りで解説されているのも面白かった。

ずでに絶版になっているが、嬉しいことにamazonでまだ入手できる。
チェロ、座右の書が一冊増えた。

コメント (4)
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