日々茫然

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『トニー流幸せを栽培する方法』

2007-06-21 | 本と漫画の話

 来なさい、来なさい、誰であっても。
 たとえあなたが、異教徒、拝火教徒、偶像崇拝者であっても。
 我々のこの集会所は絶望のところではないのだから。
 たとえ100回も誓いを破ってきた者であっても
 さあ、来なさい。


この言葉に、ちょっと涙出そうになりました。
トニー・ラズロさんの「トニー流幸せを栽培する方法」という本に出てきた詩です。

 
この本は、『ダーリンは外国人』シリーズ(小栗左多里さん作のコミックエッセイ)に出てくる小栗さんの“ダーリン”、トニー・ラズロさんのエッセイです。

タイトルの通り、さりげない行動方針や気持ちの持ちようを示して、凝り固まった思考を切り替えたり解きほぐす手助けをしてくれる、肩の力を抜いてくれるような内容です。
各章の冒頭には、内容に即した色んな格言などが書いてあり、冒頭の詩は最終章に使われていたものでした。

元は、イスラム教「スーフィー」の1派「メヴレヴィ」という教団に伝わる詩だそうです。
イスラム教というと、どうしてもテロとか過激な思想に走りやすい排他的な宗教のイメージがあるのですが、宗派の違いなのか、こんな寛容な思想もあるんですね。
とにかくクルクル回る「セマ(セマー)」という舞踊でも有名なのだそうです。

宗教や人種・思想・文化の違いによって戦争が起きるほど、人は「自分とカテゴリーが違う者」と理解しあえないものなのに(イジメとかもこれで括れますね)、この詩では、誰でも受け入れようとしているところに感動。
この思想が広まったら、テロとか戦争なんか無くなりそうなのに…
そう簡単にはいかない所が悲しいです。
第一、この思想とほぼ変わらない思想・教義が、他の宗教にもちゃんとあるんですよね。
どんな宗教でも、殺生は禁じられているし、
「汝の隣人を愛せよ」など、“自分達と違う人々も平等に愛しなさい”みたいな思想があるはずなのに、「あいつらは自分達とは違うからいいんだ」みたいな言い訳をして…

ちょっと鬱陶しい話になってしまいましたが、この本、小栗左多里さんのイラストエッセイも入っていて、気軽に読める軽い感じの本なので、一度読まれてみてはいかがでしょう?

コメント (4)
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