MONOGATARI  by CAZZ

世紀末までの漫画、アニメ、音楽で育った女性向け
オリジナル小説です。 大人少女妄想童話

灼熱プレート

2018-12-12 | 絵葉書

Scrap Metal Series

Photography by Nicola Gissing

 

召し上がれ

中古のロボットがそう言って

差し出したのは

一枚の皿であった

 

熱々のコイルが

まだ煙を上げている

 

こんなものは人の食うものじゃない

俺がそういうと

ロボットは少しだけ悲しそうに

これはアートです

目で楽しむものなのです

と答える

 

どうやらこの星も俺の

目ざす目的地ではないらしかった 

 

 

 

 

。。。。。。。。。。。。

以前、診察を待っていた病院の待合で

母親にすごく罵られている少女を見かけたことがあります。

とにかく患者らしい母親は付き添いの女の子を

顎で使うその言い回しがすごく痛い、きついのです。

その子の車椅子の扱いなどをいちいちダメだしし

馬鹿だのグスだの付け加えます。何もかも気にくわない。

他の人も聞いているその場所で、

その子の日常まで全否定です。

その合間に携帯で話している相手

どうやら家で留守番している男名前(弟?)には

小さい子に話すような猫なで声

我慢して待っててね、などと口調までガラリと変わる。

終始無言で暗い表情の中学生ぐらいの彼女に

私はかつての自分を見るような気がしました。

そのうち少女はまた怒られて

どうやら院内にお使いに出されるようです。

追うようにトイレに立った私は最後まで迷います。

『逃げれるから』

そう言ってあげねばいけない気がしました。

『早く大人になって、働いて逃げればいい。』

 

私がそうだったように。

 

だけど結局のところ

それを言ってあげることはできませんでした。

 

それを言われたところで

彼女が受け入れてくれるのか

私は自信がなかったからです。

 

 

 

今でも

思い出すと

今も

迷います。