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Diary of Caviargirl

ホラー、ゾンビ、チェコ、虫、ヤドカリ、コマ撮り、ピンクな物事…キャビアガールの好奇心日記。

改めまして、逆回転

2008-10-17 23:00:38 | movie
『僕らのミライへ逆回転』、いやいや、愛くるしい映画でありました。
映画作りへの愛がパンパンに詰まっていて、はち切れんばかりです。
無理のある設定やら話の流れもかなり多く、詰めの甘さが気になりはするんですが、それを補って余りある愛。

寂れたビデオレンタルショップの店員たちが、突然の事故で中身の消えたVHSテープを復元するため、知恵を絞って有名映画を自己流リメイク。そのビデオが町で話題になってしまい、いろんな人を巻き込んでいく―というストーリー。

ミニチュアや書き割りで遠近感を出したり、廃材で衣裳を作ったり、物を糸で吊って浮遊させたり、そのリメイク製作がほんとに楽しそうで、最高にワクワクさせられる。あの、古い映像を表現するテクニックには恐れ入った!
昔、精一杯アイディアを振り絞って、Hi8カメラでコマ撮りをしたり、安っぽい特殊効果のまねごとを撮影したりしていた中高生時代を思い出して、思わず泣きました。

“切断されたエイリアンの手首が動く”っていうのをどう撮ろう、とかね、真面目に考えてましたよ。あの頃の自分。
(ちなみに、手にスライム塗りたくって、手首から上に黒い布巻いた手を黒背景の上に置くと、布巻いた部分が背景に溶け込んで、切れたエイリアンの手に見えるんですよ、微妙に。あ、指の輪郭を黒絵の具で塗ると、細く見えて、さらに気持ち悪い手になります)
いくつになっても、ああいった物作りへの初期衝動は忘れたくない。
「アナログVSデジタル」(CGと手作り特殊効果、とか、フィルムとDVとか)についても、中学生の頃から散々考えてきましたが、いくつになっても惹き付けれられるテーマです。

ジャック・ブラックは相変わらず。この人は、最近どの映画に出てもジャック・ブラックだなあ。ある意味、どの映画観ても一緒っちゃ一緒なんだけど、やっぱり芸達者なもんだから、ついつい目がいってしまいますね。

ミシェル・ゴンドリーの監督作では、『エターナル・サンシャイン』に続いて好きかも。『恋愛睡眠のすすめ』は、やろうとしていることにはものすごく共感できるし、手作り感溢れるキュートなビジュアルも私好みで大好きなんだけど、一本の映画として観たときに、とっちらかっていて、残念ながら集中して観るのが難しかったので。


あー、まだ観たい映画いろいろ残ってるなあ。
今週末も何か観に行けるだろうか。東京国際映画祭もありますね。

僕らのミライと残酷警察

2008-10-15 20:36:32 | movie
連休中は、映画2本鑑賞。
『東京残酷警察』と『僕らのミライへ逆回転』。

片や壮絶な血のり量を誇るR20映画、片やキュートでハートウォーミングなお茶目さん映画(バカみたいな表現で失礼)。
でも、どちらにも共通するのは、度を超した愛でできている、ってことでしょうか。

『東京残酷警察』は、おなじみシアターNのレイトショーで。
なんと、劇場外まで人がはみでるほどの大盛況!ほぼ満席。いいねー、あついねー。
黒いTシャツorシャツでメガネをかけた男子で埋め尽くされ、女子率は1割以下。
Nにくると、ほんと毎回マイノリティ気分を味わえます。
ここにくるのもマイノリティ、そしてここでもマイノリティ。
しかも、遠慮してくれているのか何なのか、満席に近くても、男子は女子(私)の隣に座らない。ただ単に、私がヤバい面をしていただけかもしれませんが。

さて、映画は、海外資本だからあえてなのか、兜、日本刀、着物、援交、ハラキリ、と、外国人が考えるようなザ・日本な要素をぎっしりと詰め込んだ構成に。
脚本は、かなり?な部分が多く、描写の勢いで押し通していた感じ。でも、その描写がほんとにほんとに激しいもんだから、もうそれでお腹いっぱいになっちゃいます。
犬女とかイス女とかワニ女とか、かなりヤバいもの。イス女・・・思い返しただけでゾワッとする。
残酷描写も、普通見せない瞬間までしっかり見せるし。“ちゃんと刺さってる”感が伝わってくるというか。
もちろんそこが、数々の映画で残酷系特殊効果を担当してきた西村喜廣監督の腕の見せどころになるわけです。

私、ガスマスク系やラバー系(ゴム素材のボンテージ等)は好きですが、和テイストのサイバーパンクとか人体改造方面には興味が薄いため、正直ちょっと趣味はズレるんです。
しかし、こういう、有無を言わさない、突き抜けたものを作ってくれる人が日本にいるって、なんか心強くて安心します。ある意味、ものすごく愛に溢れた作品だし。
西村監督、これからも丸くならず、どんどん自分の世界を構築していっていただきたいです。

永井豪の『バイオレンス・ジャック』を思わせる要素が多く、久しぶりに読み返したくなった。あと、『ホステル』の影響もかなり感じました。
そうそう、『ホステル』はじめ、海外ホラーによく出てくる“ブッチャー(肉屋)”系キャラ(大抵、体が大きくてエプロンしていて、食肉工場的なところにいたり、死体解体を行ったりしている人)を、今作ではジジ・ぶぅさんが見事に演じてました。
ジジ・ぶぅさん、猫ひろしさんの取材で2度程お会いしたことがあり(付き人をされているので)、すごく穏和そうな方だったのに・・・。

と、なんせR20の過激度ですから、ホラー苦手な人は絶対観ないほうがいいと思いますが、血しぶきが大丈夫で気になっている方は、観て損はないんじゃないかな。ちなみに、私はやっぱりリスカ描写がいちばんキツかった。精神的にどうしても嫌です、あれは。


長くなったので、『僕らのミライへ~』の感想は次項で~。





ウォンテッド

2008-09-21 23:50:42 | movie
昨日は、渋谷で『ウォンテッド』を観てから、下北沢に移動し、本多劇場でNYLON100℃『シャープさんフラットさん』(ブラックチーム)観劇。

まずは、『ウォンテッド』の感想から。

評判どおり、最高に面白いです!!も一回観たいくらい!
『マトリックス』ミーツ『ファイトクラブ』、そこにロシアンウィットをプラス、といった感じ。
冒頭の暗殺者襲撃のシーン、いきなり興奮して体が熱くなりました!
映像の遊びはもちろん、機織工場とか回復風呂とか、暗殺組織のトンデモな仕組みも私好み。ブッチャー風男と肉の貯蔵庫でナイフの特訓とか、正直“何の役に立つの?”な訓練も面白いです。
銃を、ビシッと狙って撃つのではなく、集中してから、バッと振り上げざまに撃つ、というスタイルも“ありえない!”と思いつつもかっこいいのです。

物語に正確さや緻密さを求める人には不満でしょうが、かっこよければ大体のことは許せてしまう私には、かなりかなり楽しく、血が沸きたつ映画でした。若干破綻してる部分もあるかもだけど、脚本も好きでしたよ。
ちょっと『プラネットテラー』を思わせるテーマ曲もかっこいい。
って、思ったら、音楽ダニー・エルフマンだった!さすが、いい仕事してます(調べたら、テーマ曲、エルフマン自ら歌っているのだそう)

ジョリ姐さんの、極限まで引き締まった顔と体も、文句なく素敵。彼女が出るからと、変にお色気シーンを入れたりしない姿勢にも好感が持てました。
あれだけ子を持つと、さすがどこか母性が漂うのね。
しかし、自分を罵る元カノの目の前でジョリと…って、最高だなあ。

そして、愛しのマカヴォイ。
彼のルックス的な部分では、やっぱり『ペネロピ』のときが今のところナンバーワンですが、今回ももちろんかっこよかったです。
自分に天才暗殺者の血が流れているとわかって、妙にうかれちゃうところの演技とか、見てて恥ずかしくなるくらいで、可愛らしかった。

なんか景色がチェコっぽいかも?と思ったら、やっぱりチェコロケしてたみたいですね。エンドクレジットにもチェコ人らしき名前がたくさん。

ティムール・ベクマンベトフ監督の作品は、『ナイトウォッチ』しか観てなくて、続編『デイウォッチ』は未見。
『ナイトウォッチ』は、確かに映像のアイディアが素晴らしいのだけど、ストーリー展開とか設定のわかりにくさの点で、ちょっと見づらい部分があった。
しかし、今作で一気に洗練された感が。自分の趣味を多いに出しつつ、観客を楽しませる要素を目いっぱい詰め込んで、素晴らしい。
ハリウッド進出大成功ですね。次回作も楽しみです。

クリスピンに会いに、金沢へ。

2008-09-15 20:15:12 | movie
金沢より戻ってまいりました。

土曜日の昼間に仕事が入ってしまい、泣く泣くスケジュールを少し短縮しましたが、大充実で、大満足な旅でした!

ひとまず、この旅のメインの目的であった、「カナザワ映画祭2008 フィルマゲドン」で催された『クリスピン・グローヴァーのビッグ・スライドショウ』の様子からご報告。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のジョージ・マクフライ役、『チャーリーズ・エンジェル』の“痩せ男”役で有名な俳優・クリスピン・グローヴァーが映画を撮っているらしい、しかも、かなり奇妙奇天烈な代物らしい、と知ったのは、つい最近、柳下毅一郎さんのブログでの紹介記事ででした。
紹介文&ビジュアルを見る感じ、かなり気になる。
自身がフィルムを持ってアメリカ全土を巡業するという上映形式のため、そう簡単には観られないというこの映画、なんと金沢に本人共々上陸する、と聞いて、即チケットを取りました。

“IT”トリロジーと呼ばれる3作品のうち、第1作と2作を2晩続けて上映するというこの企画、もちろん当初は2晩ともチケット取っていたのですが、仕事のため、残念ながら2晩目のみの参加に。

会場である21世紀美術館内のシアターに行くと、そこだけ渋谷・シアターNのような雰囲気&客層(実際、シアターNのホラー映画上映でよくお見かけする男性がいらっしゃいました)。メガネ男子率高し!

で、入場をし、まずは上映の前にクリスピンによる“スライドショウ”が始まります。
これが…びっくりした!
スクリーンに、印刷文字と手書き文字と古めかしい写真をコラージュした本のページが次々と映し出される前で、本人が淀まぬ口調でそれを朗々と読み上げる、といったもの。
その内容が、ものすごいナンセンスで、なんとなく醸したい雰囲気は伝わってくるものの、意味はさっぱり!でもおもろい。
のっけから「卵農場!卵農場!・・・それとも、私は家にいるのか?・・・NO!!! 私は卵農場にいるのだっ!」って調子だもの。
これが、ひたすら続く!1時間近くあったんじゃないかしら。
頭ん中“?”でいっぱいだけど、そこを圧倒的なテンションと演技力で押し切られる快感。
さすが俳優さん、空気作りが上手で、見ていて飽きることはなく、作品世界にのみこまれました。
ハリウッドで活躍している俳優の生芝居(?)を間近で見られる機会なんてそうそうないだろう。貴重な体験だ。

休憩を挟んで本編“It is Fine! Everything is Fine.”の上映。
ロングヘアーフェチの脳性麻痺患者である主人公が、長い髪の女たちと繰り広げる殺人ノワールファンタジー、とでも言えばいいのだろうか。
なんと、主演のスティーブン・C・スチュワート自身が書いた脚本を映像化したものだそうで、彼はこの作品の完成を待たずして亡くなってしまったという。あれを書き上げて、自ら演じる、ってすごいエネルギーだ。
彼の台詞はほとんど聞き取れなかったのですが、だんだん、何を言っているのかちょっとずつわかるようになってくるのが不思議だった。

『白鳥の湖』をBGMに繰り広げられる障害者同士のセックスシーンは強烈でしたが、レトロでポップな色彩と大胆な照明使いがとても美しい映画だった。セットも素晴らしかったな。
そして、ラストへのつなげ方もお見事。切なかった。
とにかく、いままで体験したことのない映画でした。
クリスピンは、チャリエンのギャラでこの作品を撮ったそうだ。いい話~!

上映後にQ&Aが行われ、その後、場所を移してサイン会。
前日にサインをしてもらった人が多いようで、この日並んでいたのは20名程。
クリスピン&通訳の柳下毅一郎さんのいる映画祭の事務室にひとりずつ入り、話をしながらじっくり丁寧にサインをしていただける、という素晴らしいサイン会。

ついに順番が来て部屋に入ると、ものすごくフレンドリーに話しかけてくれるクリスピン。
こちらから質問する隙もなく、「昨日の作品は観た?」「どこから来たの?」「いつ帰るの?」「電車と飛行機、どっちで帰るの?」「映画、楽しんだ?」「この映画のこと、前から知ってた?」と、向こうから矢継ぎ早に質問が飛んでくる。超ハイパーテンション。
途中少し柳下さんに助けていただき、なんとか英語で会話できました。
嬉しい! こういうとき、英語を勉強しといてよかったなと思います。もっと話せばよかったな。緊張してしまった。
サインをいただき、いっしょに写真を撮っていただき、握手していただき、も、も、もうお腹いっぱい!大興奮!
いやー、クリスピン、ハンサムなんですもの。あの髪を耳にかける、神経質そう&ナルシスティックな仕草が、タイプです。美形の変人、大好きです。

というわけで、濃すぎる4時間を過ごし、興奮冷めやらぬままホテルへと戻り、しばらくドキドキして眠れませんでした。
またクリスピン監督の作品を日本で観られる機会が訪れることを、心から願っています。




この上映会以外の旅の様子については、次項以降で!




20世紀少年

2008-09-06 22:02:51 | movie
観てきました。六本木にて。

要所要所、いまいち盛り上がりにかける気もしましたが、原作ファンとしては、ひとりひとりのキャラが実写の中で動き回っているのが面白く、なんだかんだ楽しんだ。
唐沢はやっぱりいい役者だな。他の俳優にはない、リアルで親しみやすい魅力がある。独特な存在だと改めて思いました。

とにかく脇役までキャストが豪華なのがまた楽しいのだけど、特に原作の絵にそっくりだったのが、子供の頃のヤン坊&マー坊と、遠藤憲一。あ、あとピンクの電話の人!
遠藤憲一は、浦沢直樹の絵から抜け出てきたような顔でハマり過ぎ。衣装変えて何役もできそう。

次章の予告編を見て初めて知ったけど、古田新太が春波夫をやるんだ!
ナイスキャスティング。楽しみ楽しみ。
第3章には高橋幸宏が出るみたいですね。すごいことになってるなあ。


夜は、久しぶりに自炊。
冷や汁の素を買ってあったので、雑穀ご飯で冷や汁にしました。
豆腐、大葉、きゅうり、ねぎ、みょうが、しらすなど、薬味をたっぷりのせて。
あとは蒸し野菜&きのことさんまのお刺身。
野菜をたくさん補給できました。




セックス・アンド・ザ・シティ

2008-08-29 01:58:14 | movie
まだまだバタバタ状態は続いていますが、いっしょに仕事をしているスタッフのみなさんのおかげで、だいぶ光が見えてきました。もうひと踏ん張りです!来週は、大好きなあの人の顔も拝めるし、それを励みにしよう。

書きたいことはいろいろあるものの、落ち着いて書く余裕がないため、先日書きっぱなしにしていた、映画版『セックス・アンド・ザ・シティ』の感想でも引っ張り出して、ちょこっとアップしてみます。
先行上映に行ったときのです。



ひたすら目の保養&涙の2時間半。
ちょこちょこ全編通して泣いてた気がする。

もちろんTV版よりゴージャス度アップしてるんだけど、変に映画仕様にしようとしてなくて、TV版を何話分か観ているような感覚で、それがまた良し。
だって、TVシリーズが最高に面白かったから、それ以上何も求めないもの。
いい意味でだらだら観られた感じでした。
あの4人がダベッている姿を見ると、ほんと幸せな気持ちになります。
シャーロットの可愛いアジアン娘ちゃんもいいスパイスになってました。

しっかし、あのクローゼットっ!!すごいわ~。ほしいわ~。あんなに服ないけど。
みんな、どんだけ金持ちなんだ。メキシコのリゾートも、サマンサのLAの家もすごいし。各家のインテリアを見ているだけで楽しい。キャリーの家の壁の色も素敵だったな。

ちなみに、誰の言葉や行動に共感したかというと、意外にサマンサだったりする。
「なにより自分が好きなのよ!」ってスミスに切実に語るところとか、記念日の演出に凝るところとか(さすがに私、女体盛りはしませんが…)。スミスとの関係の行く末は、ちょっと切なかったけど。

そして、キャリーの携帯電話はさすがキラキラ仕様になっていて、キラキラ魂がうずきました。真似したい!

ダークナイト

2008-08-16 01:47:16 | movie
いつの間にか入稿が始まり、いつの間にか終わっていた。
今回の号はそんな感覚でしたが、思い返せば、けっこう必死に原稿書いてたんでした。


で、次の号の仕込みも大詰めにきてるんですが、今日は会社帰りに『ダークナイト』を観にいってきた。恐ろしく評判のよいこの作品、いやでも期待が高まる。

ティム・バートン監督の頃はファンタジーだったバットマンが、こういう風に描かれる時代になったんだ、と、時代の変化を強く感じた。
バートンのゴッサム・シティは黒のイメージだったけど、今回のゴッサムは、どこか青白いイメージ。
冷え冷えとした街に響き渡るジョーカーの高笑いと、グロテスクな赤い“傷口”(文字通り、傷でできた口)、そして爆発の炎が目に焼きついた。

ぐっとリアルになったゴッサム・シティで、ヒーローはもはやバットマンではなく、正義感溢れる熱い検事。その裏で、地味に地味に、ひたすら割を食いながら生きるバットマン。
この作品、もはやヒーローものではありませんでした。
でも、“ほんとのヒーローって何?”と考えさせられるという点では、ヒーローものといえるのかな。
アメコミヒーローもののファンタジー感を残しつつも、ぎりぎりまでそぎ落として、リアルな街を舞台に展開させている、という、とてもオリジナルな雰囲気のある作品でした。
アメコミ発の物語をこんな風に描くなんて、その発想力、世界を創造する力が素晴らしいです。

とにかく、脚本がすごく上手い!
ハービー・デントの物語の中の役割とか、なんかもう、ものすごいもの。
最初は、「なんだ、このチャラいやつは」と思ったけど、話が進むにつれ、どんどん存在に重みが増していく。
そして、観る前は全く意識していなかったけど、あいつはアレになるキャラだったんですね。そうか、トミー・リー・ジョーンズか。
身体の傷と精神状態のシンクロさせ具合も面白い。
ひとつひとつのキャラクターの配置の仕方が見事なんだよなー。
ノーラン兄弟恐るべし。『バットマン・ビギンズ』の汚名(?)を完全に返上しましたね。

キャストは、やはりなんといっても、ヒース・レジャーの哀しき熱演に拍手。
○○○姿のジョーカーが病院から出てくる場面のビジュアルは最高。
脳内のジャック・ニコルソンのジョーカー姿が完全にかすみました。

クリスチャン・ベールは、また痩せていた。
あの人、映画ごとに激痩せしたり、太ったり、大丈夫なんだろうか。
今回は、素の顔で出る場面が少なかったけど、顔に心の不安定さとか暗さとかがくっきり出ていて、「バットマン、だ、だいじょうぶか~」と心配になってしまうんだけど、それだけに、颯爽とバイクで走るラストは泣ける。




片腕マシンガール

2008-08-03 23:08:00 | movie
昼間、今日は実家のほうにお客様が来るというので、私もちらりと参加。

久しぶりのブランボラーク。マジョラムとニンニクをたっぷり入れたら、かなりチェコの味に近くなった。


うちのランチ会の定番メニューとなっているフルーツポンチ。
今日はドラゴンフルーツを投入。そしたら、サイダーが赤紫色に染まりました。



そして夜は、シアターNへ『片腕マシンガール』を観に行ってきました!
いま、観たいレイトショーが多いな。


劇場で、特製うちわもらいました。
それから、ほしいと思っていた『デイ・オブ・ザ・デッド』(もうすぐ公開のリメイク版)の“今日は何の日?死人の日!シール”もゲット。

映画は、噂どおりの血糊量。ハンパなく吹き出します!
しかし、ゴア描写自体は怖くない。怖いのは、残酷で卑劣な人間たちの言動。
過剰なまでの残虐非道っぷりにブルブル震えながら笑いました。
女としては、あのドリルブラはかなり精神的に痛く、ギリギリの気持ちで正視。

女子高生同士のたわいない会話とか、なんでもないシーンも普通には見せない、井口演出はやはり素晴らしい。
そして、八代みなせの睨み顔がいいなあ。

同じくNで上映中の『赤んぼ少女』観ようか迷い中。
この間原作の新装版を買って読んだところ。タマミが哀しい。

この夏いちばんマッドな映画

2008-07-31 23:07:47 | movie
と言い切ってしまおう、もう。
それが、『崖の上のポニョ』。
今日、母とふたりで観てきました。

観る前は、“なんだかんだ、魚と人間の愛に感動して泣いちゃったりするんだろうなー”とか、“かわいいポニョの姿とあの歌が頭から離れなくなるんだろうなー”とか思っていたのですが…実際観た後私たちの頭の中には、無数の?マークが、ポニョの妹たちのごとく泳ぎ回ることになったのでした。

ここ最近観た映画の中で、いちばんマッドでシュールでアバンギャルドな作品であり、宮崎駿が繰り出してくる放置プレイの数々に、もうクラクラ。
そういえば、このあいだ撮影で会ったモデルちゃんがポニョを観たというので、「どうだった?」と聞いたところ、「…。半魚人になったポニョが…キモかった…」と一言だけつぶやいていた。今は、彼女の気持ちがとてもよくわかる。

もう、何も言えなくなってしまうのだ。ひとつひとつの場面も、人物設定も最終的にどこにもつながっていかない。説明のないことがあまりにも多すぎる。カタルシスなんて言葉は存在しない。
途中まで、ちょっと深読みしようとしながら観ていたんですが、それもバカらしくなってくる。
私たちは、ただ、脳みそをからっぽにして、駿氏のフェチズムの海を泳いでいくしかない。
不気味な海洋生物が蠢き、赤毛の幼児が無邪気に笑う海を。

短いスカートから白いかぼちゃパンツを眩しくのぞかせキャッキャと笑う少女、彼女への愛を、こんな壮大な規模でうたってしまった宮崎氏。やっぱりタダ者じゃなかった。
『千と千尋の神隠し』の、あからさまに“春を売る少女”な設定にもびっくりしましたが、今回の突き抜けっぷりにもまたびっくり。
ある意味気持ちがいい。そして、観客放置な趣味全開作品をこんな大規模で公開できてしまうこと、正直うらやましい。

この夏、彼のフェチズムが日本中に混乱をもたらすのではないだろうか。


あ、ちなみに、海洋生物好きの私たち母娘は、もちろん、クラゲとかフナムシとか奇妙な生物が跋扈する古代チックな海描写も、十分に堪能いたしました。




いつもポケットに縄

2008-06-20 19:12:05 | movie
いま実はかなり忙しい時期なんですが、昨日は超特急で仕事をして8時過ぎに会社を出、渋谷ユーロスペースへ。
この間の飲み会で意気投合したM系美女さんと、約束通り『縛師』観にいってきました!
会うの2回目にして、いきなり緊縛ドキュメンタリーを一緒に観にいくって、ちょっと不思議な気分。

会場内は、中年以上の男性率高し。黒ずくめのおじいちゃんとか、ボンデージ風ファッションの女性とか、ホンキ度高めの客層。

映画は、濡木痴夢男、雪村春樹、有末剛という3人の個性溢れる縛師たちの縛りを追ったドキュメンタリー。「SM」の一言では到底片付けられない、奥深い世界を垣間見てきました。
観終わったあと、ふたりで「深いね」「うん、深い」、「縄はいいけど、蝋燭はつらいね」「うん、そうだね」としみじみしてしまった。

緊縛師とモデルさんのセッションを見ていて、緊縛というものは、縛る側と縛られる側の共同作業であり、戦いである、ということを改めて感じました。
もちろん、とてもセクシャルでエロチックな行為なんですが、それ以上に、縄を通した究極のコミュニケーション作業、という印象を受けた。
そのふたりの気が入りまくっている緊縛の時間はものすごくスペシャルで唯一無二な時間であって、縛られている人はどんどんキレイになっていくし、縛師も一見普通のおっさんなのに、ものすごいセックスアピールを放っていく。まさにマジックモーメントでありました。

SとMについてもまた考えさせられ、いままでのSMの概念が揺らいだかも。
MがわがままでSのほうが優しさがある、とか、なるほど、と思ってしまった。
だってね、緊縛師のみなさん、いわゆるSには見えないんだよね。基本責め姿勢だけど、すごく優しくて、雪村さんが言うように女性に奉仕しようという気持ちが見える。
SとMの境界線のあやふやさを感じました。
そして自分がSなのかMなのかもよくわからなくなってきた・・・。
でも、もしも縛られるとしたら、意外に(?)痴夢男さんに縛られたいかも。
キャラクターとトークが面白いから。


昨日は、終映後に監督&縛師・雪村さんのトークショーもあり、それがまたすごかった。
司会役の宣伝担当の女性が「縛られたことないんですよ」と言い出すと、雪村氏が「じゃあ、縛ってみよかー」とおもむろにポケットから縄を取り出し、急遽ミニ緊縛会とあいなったわけです。
ほんの数分の縛りなのに、そこに生まれた空気の濃いこと濃いこと。
お互いの気が入っていく様子を目の当たりにし、思わず鳥肌。
ほんとにすごいよ!びっくりしたもん。
洋服の上から何巻きかしただけなのに、“見ちゃいけないもの見てしまった”感がひしひしと。雪村さんの息づかいと大阪弁(「おお、縛られとる・・・」とか呟く)がまたエロいのよね。
そして、縛られている女性の“恥ずかしい”という気持ちがビンビンに伝わってきて、こちらも正視しているのがやっと、という感じ。
いやいや、貴重な体験させていただきました!
こっちまでヘロヘロの腰砕け状態になりました。


登場した有末剛さんの小説『緊縛師A 恍惚と憂鬱の日々』もちょっと前に読んだのですが、本人の語りを見て、本の主人公のキャラクターとぴったり重なりました。あれはやっぱりほとんど実話なのかしら。改めて読み直してみたくなった。
あと、有末さんのプロフィールにある、ユニット「東京緊縛オーケストラ」というのがとても気になります。いったい・・・何っ??