Diary of Caviargirl

ホラー、ゾンビ、チェコ、虫、ヤドカリ、コマ撮り、ピンクな物事…キャビアガールの好奇心日記。

最近のこと

2011-03-20 21:43:42 | daily life
何を書いたらいいのかわからず、ご無沙汰してしまいましたが、元気にやっております。

地震が起きたときは、銀座のオフィスにいました。
帰ろうかどうしようか悩んだ挙句、夕方6時に会社を出て、3時間半歩いて帰宅。
家も、物が散乱してお皿が何枚か割れたりしていたけれど、無事でした。
両親や親戚も無事です。

前の記事まで「ゾンビゾンビ」言っていたのに、まさか、その数日後、ゾンビ映画で描かれるような光景が、この日本に広がることになるとは…思ってもみませんでした。


先週は、結局毎日出社し、早めに帰るようにしてましたが、普通に仕事をしていました。
といっても、自宅待機となっている会社も多く、予定していたアポが飛びまくって空き時間もあったので、その間に会社の近場でできる備えをあれこれと。
予備の眼鏡作ったり、薬をもらいにいったり、家具転倒防止の金具を買いに行ったり。
電気のことや電車のこと、普段より不自由なことはありますが、被災地の方々のおかれている状況に比べれば、全然たいしたことない。

いままで気付かなかったこと、考えも及ばなかったことに、おびえたり、落ち込んだり、心配したり、泣きたくなったり、開き直ったり、逆に期待したり、少しわくわくすることもあったり…そんな毎日を過ごしています。

「風が吹けば桶屋がもうかる」じゃないですけど、ひとつの出来事がどんどん他のことに影響を及ぼし、枝分かれして、さらに影響が広がっていくという、その波及力、誘発力に、いまさらながら驚いています。
原発や放射能のことはもちろん、自分の日常への影響のことも。
いままで、自分がどれだけ目先のことしか考えていなかったのか、気づかされる。

さらに、ネットやテレビで、デマも混ざった大量の情報が垂れ流される現在、何を信じるのか、そして、その自分が信じたことに対してどう&どこまでレスポンスしていくのか、その力が試される時なのだと感じています。


女性誌の編集という、被災地の直接的な支援には遠い仕事をしているため、「この作業は、果たしていま必要なことなんだろうか…」と少し考えてしまったりもしましたが、やっぱり、タレントさんインタビューも、新色コスメ情報も、恋愛のアドバイスも、お料理のレシピも、これからの占いも、日々楽しく過ごすために必要なものだと思っています。
いまは「無駄」「余分」な部分と思う人もいるかもしれないけど、世の中、「余分」な部分がなければ楽しくない。
いま「不謹慎」と言われているものだって、人に元気を与えるかもしれない。過度の不謹慎意識は危険。
一日も早く、日本人全員が、また「余分」を楽しめる心を取り戻せる日が訪れることを、祈っています。



東京国際ゾンビ映画祭

2011-03-08 19:31:18 | movie
先々週~先週、ビューマントラストシネマ渋谷で行われた「東京国際ゾンビ映画祭」、結局3作品観ることができました。
上映された16作品中12作品は観たことがあったのですが、スクリーンで観たことがないものも多く、今回は大好きなルチオ・フルチ作品を大画面で観ることを目標としました。

まず観たのは『サンゲリア』(フルチ監督)。
これはもうね、砂嵐の中地中から蘇りふらふらと彷徨う、西部劇調ゾンビがあまりにかっこ良い作品。
初めて観た時、かなりシビれましたもん。
舞台となる、ブードゥー信仰の残る小島の雰囲気もいいんですよね。能天気なBGMがまた効いていて。

フルチのゾンビって、もうカラカラに乾涸びてて、きったなくて好き☆
ロメロのゾンビより、モンスター色が強いというか、人間やめてからかなり日が経っている感じ。
肌表面はカラカラでも、頭かち割ると、超フレッシュな脳みそと血がドバーっ!
あと、すでにぐちゃぐちゃな顔に、さらにミミズを大量に目に突っ込んだりしていて、一見ちょっと無駄とも思える“ちょい足し”感覚も素敵。
ジャネット・デ・ロッシさん(特殊メイク担当。『ハイテンション』の特殊メイクもこの方)、いい仕事してるわ。

あと、フルチの映画って、噛まれたり撃たれたりで傷ができた途端、その傷口をバーンっとクローズアップする傾向があるような気が。カメラマンのクセなのかな。
「ほら、ここ! 見てや! ぐちゃってなっとるデショ!」っていうフルチの声が聞こえてきそうで、なんか好感が持てます。


次に観たのは、同じくフルチの『ビヨンド』。
こちらは、蜘蛛好き必見の名シーンがあります!
てゆうか、フルチさん蜘蛛好きでしょ!(それか、逆に恐怖症??)
改めて観ると特殊効果のチープさにも気付いちゃうんですが、あんなシーンを撮ろうと思ったフルチさんに感服。

あと名シーンは、「なんでそうなるの?」と皆がツッコまずにはいられないであろう硫酸と少女のシーン、そして最後の病院ゾンビ大発生シーンでしょうか。
病院で、磨りガラスごしに見えるゾンビは、ほんとに美しい!
あと、ゾンビの、まったくやる気のない動きも良いです。『28週後…』の全速力ゾンビと対極!
「もう肉とかいいや…。たまたま人間に会ったりしたら、とりあえず食べとくけど。疲れたし…。つうか地獄もうヤダなー…」みたいなスタンス?
造形はかなり不気味なんだけど、なんかあまり怖くない。哀しさがあります。


そして最後に観たのは、映画祭のクロージング作品『ヘルドライバー』。
奇抜な特殊メイクでおなじみの、西村喜廣監督の最新作です。
これが、もう“祭!”って感じの勢いがあるゾンビ映画で、最初っから最後までフルスロットルで駆け抜ける痛快作でありました。
『ビヨンド』の脱力ゾンビから一転、超ハイパーなご機嫌ゾンビだらけ!
西村監督がトークショーでおっしゃっていた「浅草寺の仲見世感覚の特殊メイク」を施された、ド派手造形のゾンビが大量に出てきます。
ストーリーといい、キャラクターといい、メイクや特殊効果といい、西村監督のサービス精神はハンパないです。
みんなでワイワイ観るのにぴったりな作品。
ヒロインの原裕美子ちゃんもかっこよかった(トークショーでの天然っぷりとすごいギャップ)。
終映後には、監督がふんどし姿で、赤ちゃんゾンビをふりまわしながら登壇。
赤ちゃんゾンビ、すごく可愛いの。
ピーター・ジャクソンの『ブレインデッド』の赤ちゃんゾンビに次ぐ可愛さでした。


今回の映画祭のきっかけとなった、超低予算(約5000円!)ゾンビ映画『コリン』も、先日、公開より一足先に観せていただきましたが、こちらにも大いに刺激を受けました。
荒廃した町をさまよう1人のゾンビの目を通して、淡々と終末世界を見る…そんな新鮮な体験ができる作品です。
ゾンビ映画のお決まりをおさえつつも、最後には他のゾンビ映画では見たことないような切ないオチが用意されていて。
ちょっと尺の長さが気になったり、粗さが目立つ部分もありましたが、またゾンビ映画の新しい可能性が出てきたぞ、とワクワクしました。


てことで、映画祭をきっかけに、ゾンビと一言で言っても、姿形も動きも強さもテンションも設定もさまざまだなと、改めて気付くことができました☆
しかし、どのゾンビも魅力的なので、“理想のゾンビ像”を語ることは、“理想の恋人像”を語るよりきっと難しい…かも。
“走る”か“走らない”か、その時点ですでにどちらかに絞れないし…。


アンチクライスト

2011-03-02 19:23:58 | movie
ラース・フォン・トリアー監督の新作『アンチクライスト』、初日に観てきました。
公開前からずっと観たい観たいと思っていたものの、「海外の上映で失神者が出た!」とか前情報聞いてしまうと、若干ビビってしまったりも。
でも、今日行っとかないとさらに足が遠のいてしまうと思い、エイヤっと行ってきました、シアターN。

で、いろいろ「なんでっ??」と突っ込みたい部分が多々あって混乱したり、「痛い!!!」ってとこもあったけれど、失神することなく鑑賞できましたよ。
でも、それは、ボカシのおかげかも…。
あの、女性にとっては痛すぎるシーン、ボカシがなかったらとても正視できなかった。
初めて修正に感謝した!

森が好きな身には、森の美しさや恐ろしさが濃く描かれていたのが魅力的でした。
ドングリが降り注いだり、鹿が尻からなにやらぶらぶらさせてたり、ヤバいことになってる狐がしゃべったり、土の中からカラスがでてきたり…何が起こるかわからない場所ですね、森は。
ああいう森のコワさを知った上で“森ガール”は名乗ってほしい。
シャルロットばりに森で“セルフプレジャー”してこそ(一応柔らか表現)、ほんとうの森ガールだ!…って言いたい。

そして、スーパスロー映像で見せられるプロローグは、悲しいシーンなのに、とてつもなく美しく、ため息ものでした。
あと、ラストシーンの顔のない女たちもよかったなー。
映像美が売りだったころのトリアー作品好きとしては、ちょっと嬉しいものが観られたという感じ(ドグマ時代の作品は、実はあまりちゃんと観ていない…)。


視覚的にも心理的にもギリギリと締めつけてくる作品ではあるので、万人にはオススメしませんが、私は思っていたより楽しめました。
“楽しむ”って感覚ともまた違うけど。