ブックエンド

永年、埃を被った重石の山を整頓と日々意気込。
図書目録作成奮闘日記の目論見。

茫々

2011年07月17日 | 書評
7/17久ぶりに文庫本を買った。
宇江佐真理氏著作 「無地、これ名馬」です。
”ああ、あれから茫々と時はすぎた。まるで夢のような日々だったと吉蔵は思う。”
この段落こそ、氏は書きたかったのではと思ってしまう。
平家物語に、”清見が関うちすぎて、富士のすそ野になりぬれば、北には青山峨々として、松吹く風索々たり。南には蒼海漫々として、岸うつ浪も茫々たり。”とあるそうですが、劣らず引かれたしまう。「茫々と」はなんと素敵な言葉だ。茫々と時を過ごしてみたい……。

大辞林(三省堂)では、
①果てしなく広々としているさま。
②ぼんやりとしてはっきりしないさま。
③毛や髪が草が生い乱れているさま。
④風や波の音などの激しいさま。
なるほど、茫々は、”時の過ぎ行くままに”ではありえない。
「…とあったが、今見渡すと過ぎ越しき日々は広々な草原の只中にあり」
コメント
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