先月に続き、病院の売店で宇江佐真理著書「ひとつ灯せ」を購入。
大江戸怪奇贉と副題がついている。気分としては好みではないのですが、なにせこの本を含め3冊しか陳列されていなかった。
近世人の魑魅魍魎と同居した世界観を違和感なく表現してくれる一冊だ。
甚助に、宇江佐氏の死生観を語らしめている。
「怖さと寂しさは同じものさ。おれはそう思っている。人は一人で死ぬのが寂しくて、怖いと思うのさ」
最後に、
「怖くなかった。たまらなく懐かしい気持ちになっただけだ。死への恐れは、もう清兵衛にはなかった。」
氏は曽根崎心中の道行の下りが好きなんだろうな。
「この世のなごり、夜もなごり、死にに行く身をたとふれば。あだしが原の道の霜。一足づつに消えて行く。夢の夢こそあはれなり。あれ数うれば暁の。七つの時が六つ鳴りて、残る一つが今生の。鐘の響きの聞き納め。寂滅為楽と響くなり。鐘ばかりかは。草も木も。空もなごりと見上れば。雲心なき水の音。北斗は冴えて影映る。星の妹背の天の川。梅田の橋を鵲の、橋と契りていつまでも。我とそなたは夫婦星。かならずさふと縋り寄り。二人がなかに降る涙。川の水嵩も増さるべし…」
大江戸怪奇贉と副題がついている。気分としては好みではないのですが、なにせこの本を含め3冊しか陳列されていなかった。
近世人の魑魅魍魎と同居した世界観を違和感なく表現してくれる一冊だ。
甚助に、宇江佐氏の死生観を語らしめている。
「怖さと寂しさは同じものさ。おれはそう思っている。人は一人で死ぬのが寂しくて、怖いと思うのさ」
最後に、
「怖くなかった。たまらなく懐かしい気持ちになっただけだ。死への恐れは、もう清兵衛にはなかった。」
氏は曽根崎心中の道行の下りが好きなんだろうな。
「この世のなごり、夜もなごり、死にに行く身をたとふれば。あだしが原の道の霜。一足づつに消えて行く。夢の夢こそあはれなり。あれ数うれば暁の。七つの時が六つ鳴りて、残る一つが今生の。鐘の響きの聞き納め。寂滅為楽と響くなり。鐘ばかりかは。草も木も。空もなごりと見上れば。雲心なき水の音。北斗は冴えて影映る。星の妹背の天の川。梅田の橋を鵲の、橋と契りていつまでも。我とそなたは夫婦星。かならずさふと縋り寄り。二人がなかに降る涙。川の水嵩も増さるべし…」