ブックエンド

永年、埃を被った重石の山を整頓と日々意気込。
図書目録作成奮闘日記の目論見。

宇江佐真理氏の逝去を知って

2016年01月22日 | 書評
1/21手術後6ヶ月の検診で市民病院を訪れ、時間待ちの間面白い雑誌でもと売店に行った。
宇江佐真理氏の「彼岸花」の文庫本が陳列されていた。何気なく手に取ると、
ハカマの「追悼」の文字が目に入りびっくりその文庫本を購入した。
昨年11月7日死去とのことだ。

 「心に吹く風」の”文庫のためのあとがき 平成25年64歳の誕生日の後で” 中で
氏が癌であると記載されており、私も肺癌の手術の後だっただけに同病相哀れむ心境でした。
「この先、どうなるかは私もわからないが、たとい、余命5年と言われても、3か月と言われても、
多分、私は同様しないと思う。その日まで、いつも通り、食事を作り、洗濯、掃除をして、
そして作品を書いていればよいのだから。」この言葉に救われる思いもした。

氏は、江戸人の、死生観、倫理観を的確に小説中に表現されておられ、
江戸人の魑魅魍魎とした思慮分別を「大江戸怪奇譚 ひとつ灯せ」の文中に書いている。
もちろん、我々は、現代人の価値観で江戸人を推し量っているのですが、しかし、氏の文章には
江戸人の息遣いを感じさせられてしまう。

場当たりに購入した著者の文庫が書棚に16冊になった。これからも増えていくことだろう。

氏の逝去を悼み ご冥福を祈り申し上げます。