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ブックエンド

永年、埃を被った重石の山を整頓と日々意気込。
図書目録作成奮闘日記の目論見。

みだれ髪 チョコレート語訳②

2014年03月02日 | 書評
3/2
夜の帳にささめき尽きし星の今を下界の人の髪のほつれよ
最初の一首で意味不明。あきらめて、「あとがき 晶子の匂い」を先に読み始める。
「…いくつかの有名な歌は、教科書などで読んで知っていた。そういう何首かに出会うと、ほっとするぐらいによくわかるのだが、それ以外のものは「?」の連続だった。…」
俵万智氏が{?」なのだからと安心しました。
「ことばの音楽を聴くように入っていくと…」「甘くて、ちょっぴり苦くて、食べ過ぎは良くないと想いつつ、つい手を出してしまう。…」
そんな気分で、チョコレート語訳を聴いてみょう。

チョコレート語訳
 星たちが恋のささやき交わす今下界の我は心乱れる

「髪のほつれよ」を「我は心乱れる」と訳されるのか。
もちろん一首目であるから、髪のほつれ⇒みだれ髪⇒心乱れる でしょう。
ただ、みだれ髪に手をやる女の情景を想ってしまうのです。
ささめき尽きし星とは、夏の夜なのか 冬の夜なのかで趣が変わってしまう。 

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みだれ髪 チョコレート語訳

2014年02月23日 | 書評
2/22 俵万智氏のチョコレート語訳「みだれ髪」を見つける。1998/7初版
さほど売れなかったのだろう。Netで初版本が251円(古本とは思えない)でした。
みだれ髪というと、与謝野晶子の作ですが、教科書で以下の詩が必ず掲載されていた。

ああ 弟よ 君を泣く
君死にたもうことなかれ
末に生まれし君なれば
親のなさけは勝りとも
親は刃をにぎらせて
人を殺せと教えしや
人を殺して死ねよとて
廿四まで君を育てしや

境の街のあきびとの
老舗を誇るあるじにて
親の名を継ぐ君なれば
君死にたもうことなかれ
旅順の城はほろぶとも
ほろびずとも 何事ぞ
君は知らじな あきびとの
家の習いに無きことを

君死にたもうことなかれ
すめらみことは 戦いに
おほみづからは出でまさね
互に人の血を流し
獣の道に死ねよとは
死ぬるを人の誉れとは
おほみこころの深ければ
もとより如何で思されん

ああ 弟よ 戦いに
君死にたもうことなかれ
過ぎにし秋を父君に
おくれたまえる母君は
嘆きのなかに いたましく
我子を召され 家を守り
安しと聞ける大御代も
母の白髪は勝りゆく

暖簾のかげに伏して泣く
あえかに若き新妻を
君忘るるや 思えるや
十月も添わで別れたる
少女ごごろを思いみよ
この世ひとりの君ならで
ああまた誰を頼むべき
君死にたもうことなかれ

つい全文を転載してしまった。チョコレート語訳「みだれ髪」なかなか面白そうです。
ひま折々に読み進めています



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コールドウェル短編集

2013年12月26日 | 書評
12/26 突然のことですが「コールドウェル短編集」という著作名を思い出した。
昭和40年春 大学教養部の英語テキストとして使った本だった。
どうして思い出したのか、何かの連想からでもなく。
本の要約など全く記憶になく、著作者のアースキン・コールドウェルついても記憶になかった。
もちろん講師の先生の名前などはるかかなたのことです。
外国語が苦手な小生にとって、その時 読破するわけもなく、不思議なこととしか言いようがない。
咽喉元に刺さった小骨のようにどうしても頭から離れないもので、Netで古本を探して購入。

コールドウェル短編集 西川正身解説注釈 研究社小英業書(業は叢)初版1955年4月20日

「はしがき」に以下のように記載されている。
Caldwellは、1930年代を代表する長編作家の一人。…1903年南部のGeorgia州に生まれ、
…作風から分類すると
①黒人や貧しい白人を主人公にした社会抗議の作品
②ユーモアを特徴とする作品
③少年や自然の風物を取り扱った抒情豊かな作品。この三種類である。

もちろん原文を読解することもできず、ついで訳本を購入。
生きとし生けるものの物語 アースキン・コールドウェル短編集 加藤修 訳 新樹社 初版2001年6月4日
訳文としては、以下の短編が一致。
苺つみの頃 The Strawberry Season
心変り Visitor
黒人クリスティが射殺されたわけ The End of Christy Tucker
昇る朝日に跪け Kneel to the Rising Sun

訳本を読み進めているうちに想いいたった。
最近「夜の大捜査線」を再観して、彼方のコールドウェルを想いだしたのだ。
殴り返した黒人刑事を土地の有力者が警察署長に射殺を迫るシーンが黒人差別の過大表現では考えたのだが、
そのシーンが短編集を思い出させたのですね。
それが真実だったと想い至らせてくれる一遍でした。
コールドウェル。アメリカの良心です。

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麦わら帽子(かすみ草のおねえさん)より

2013年04月18日 | 書評
病院の診察時間の合間に最近は、俵万智氏の「かすみ草のおねえさん」をながめている。
文春文庫301P プレゼント 「この夏の心を予約するように贈られている麦わら帽子」
…結局はそこに至る気持ちがモノをいう。どれだけ迷ったか。どれだけの思いが込められているのか。
…私がもらったプレゼントのなかで一番心に残っているのは、ある夏のはじめの麦わら帽子―なのです。

麦わら帽子と聞くと、白いランニング下着にネズ色の半ズボン。黒いゴムの短靴。補虫網。麦わら帽子。と直ちに頭の中が反応して、ぐるぐると走りだしてしまう。
男にとって、若い女性に夏のはじめの頃。麦わら帽子を送るということは、子供の頃夏休みに過ごした情景を、確実に念頭に浮かべていると思うわけです。
男は、どんな思いで、麦わら帽子を送ったか。夏に麦わら帽子をかぶりデイトを重ねようというだけなのか。

いろんな妄想がわいてきてしまう。……

2013/2/4 小学生のころだっただろうか。
近所に、家から70~80m離れたところに小さな和菓子屋さんがあった。
母が家でお茶の練習をお友達とよくしていた頃です。
それで、お手伝いに和菓子を買いにやらされたことが幾度かありました。
夏の頃だったと思います。
店番をしていた女性の方が、それは美しく。
当時の田舎では、マニュキュアなど誰もしていなかった。それは、銀幕の世界の天上の天女。
妖しい雰囲気に心躍らせて、お使いの声がかかるのを待ち望んだものでした。
麦わら帽子というとなぜか思い出してしまいます。
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聞き屋与平

2012年10月05日 | 書評
月1に通う病院の売店で 宇江佐真理著 「聞き屋与平」を見つけ購入。
氏の著書を購入するのは6冊目となります。もっぱら文庫本しか買わないのですが。
先立つものが無いこと、場所を占めないことで文庫本を購入することになってしまう。
ひとつ灯せ 無事これ名馬 三日月が円くなるまで あやめ横丁の人々 十日えびす と買い足してきている。淡々とした切り口がやみつきとさせられる。

”両国広小路のたそがれは、どこかうら寂しい。”
どこかうら寂しいをを証拠だてるために三十行ほど費やし時代考証をしている。
これで、「聞き屋」などというまやかしい職業が辻占と同様に存在したかのように読人に思わせ引き込んでしまう。とにかく人件費の安い近世だからいろんな商売が成り立ったのだろう。あっても不思議ではないとおもわされてしまい、一揆に読み終えた。

昨日と同じ夜が今日も続く。だが、昨日と今日は確実に何かが違う。
宇江佐真理氏の死生観に…
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ひとつ灯せ

2011年09月29日 | 書評
 先月に続き、病院の売店で宇江佐真理著書「ひとつ灯せ」を購入。
大江戸怪奇贉と副題がついている。気分としては好みではないのですが、なにせこの本を含め3冊しか陳列されていなかった。
 近世人の魑魅魍魎と同居した世界観を違和感なく表現してくれる一冊だ。
甚助に、宇江佐氏の死生観を語らしめている。
「怖さと寂しさは同じものさ。おれはそう思っている。人は一人で死ぬのが寂しくて、怖いと思うのさ」
最後に、
「怖くなかった。たまらなく懐かしい気持ちになっただけだ。死への恐れは、もう清兵衛にはなかった。」

 氏は曽根崎心中の道行の下りが好きなんだろうな。
「この世のなごり、夜もなごり、死にに行く身をたとふれば。あだしが原の道の霜。一足づつに消えて行く。夢の夢こそあはれなり。あれ数うれば暁の。七つの時が六つ鳴りて、残る一つが今生の。鐘の響きの聞き納め。寂滅為楽と響くなり。鐘ばかりかは。草も木も。空もなごりと見上れば。雲心なき水の音。北斗は冴えて影映る。星の妹背の天の川。梅田の橋を鵲の、橋と契りていつまでも。我とそなたは夫婦星。かならずさふと縋り寄り。二人がなかに降る涙。川の水嵩も増さるべし…」

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「三日月が円くなるまで」

2011年08月20日 | 書評
著作に嵌まるのかな。先月に引き続き病院の売店で文庫を購入。
なんといっても能筆です。生善なる人々を愛でる。
…「お世話になりました。どなたさんもお倖せに。小十郎はまた呟いた。」
…「仇討など、この程度でよかったんだ。さすれば庄左衛門の首も繋がっていただろう」
…人間、何が幸いし、何が不幸になるか知れたものではない。徒に落ち込むことはないのだ。その内に解決の糸口はきっと見つかる。…

自爆テロ。神風特攻。回天。ここには何時も平気で”死の切符”を切る輩が必ずいる。私は彼を憎悪する。宇江佐真理氏の述べる「死んだふり」がいい。”命を懸けた行為”なぞ知るものか!

8/29 角川文庫「三日月が丸くなるまで」縄田一男氏の解説について。
 『彼は、この小説の解説欄を拝借し、池田晶子氏の解説をしているのであって、宇江佐真理氏の当小説をの解説しているわけではあるまい。
「死を持って抗議するということは、その善し悪しは別にして、人間jだけ可能な行為である。埃のために死ぬ。正義のために死ぬ。人間jは命より大事なものがあるとおもうから、この行為は成立するのである。受ける側もその意味を理解する。……』「小十郎こそは、命の重さをしっかりと、受け止める側の人間ではないのか」

 宇江佐真理氏はそんなことを語ってはいないのでは?」。
「志摩の上の別邸だった。だが、白木門を見た途端、二人は声を殺して笑った。その門には巨大な陰茎が黒々と描かれていた。…本所の上屋敷にも同じような落書きがあるそうだ。」「仇討など、この程度でよかったんだ。さすれば庄左衛門の首も繋がっていただろう」
藩主の見栄と屈辱感のために、”藩主=国=武士の一分=命を賭して戦う”…死んだふりがいいといっているのです。
「替え玉を立てたら、忠義にならないわけで、未払い給与が支払われない株式会社の倒産捥がれにすぎない」。忠義とは、たとえ改易に逢っても主家の血筋を護ことでしょうが。状況次第で、正義のために死を賭しているわけで。指示する輩がいなければ、特攻機も回天も、桜花も作られない。組織的扇動なわけです。自爆テロなど賛美することはできない。
「…下々は、死んだふりがいいい、そのうちに解決策の糸口はきっと見つかる」…そのうち真実が見えてくるから焦らずに「死んだふりで待つ」がいいのだろう。
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茫々

2011年07月17日 | 書評
7/17久ぶりに文庫本を買った。
宇江佐真理氏著作 「無地、これ名馬」です。
”ああ、あれから茫々と時はすぎた。まるで夢のような日々だったと吉蔵は思う。”
この段落こそ、氏は書きたかったのではと思ってしまう。
平家物語に、”清見が関うちすぎて、富士のすそ野になりぬれば、北には青山峨々として、松吹く風索々たり。南には蒼海漫々として、岸うつ浪も茫々たり。”とあるそうですが、劣らず引かれたしまう。「茫々と」はなんと素敵な言葉だ。茫々と時を過ごしてみたい……。

大辞林(三省堂)では、
①果てしなく広々としているさま。
②ぼんやりとしてはっきりしないさま。
③毛や髪が草が生い乱れているさま。
④風や波の音などの激しいさま。
なるほど、茫々は、”時の過ぎ行くままに”ではありえない。
「…とあったが、今見渡すと過ぎ越しき日々は広々な草原の只中にあり」
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少年少女古典文学館2 竹取物語・伊勢物語を読む

2011年03月03日 | 書評
2/25に図書館より借り出し、伊勢物語中の和歌の比較表を作った。先程完成(3/3夜)。
111首を俵万智氏が現代短歌に置き換えられている。

「歌をこんな風に表現するんだ」と改めて感じた。
「恋する伊勢物語」の解説者:武藤康史が引用されなかった歌を上げる。

13段  武蔵鎧さすがにかけてたのむには 問わぬもつらし問うもうるさし
万智氏 両足をかける君からくる手紙 あればうらめしなければつらし

16段  手を折てあいみしことを数うれば 十といいつつ四つはへにけれ
万智氏 十、二十、三十、四十と指を折り 妻と暮らした月日を数える

23段  君来むといいし夜毎にすぎぬれば 頼まぬものの恋つつそぶる
万智氏 まちぼうけ頼る心はなくなれど 恋うる心はいよいよ深く

65段  さりとも思うらんこそ悲しけれ あるにもあらぬ身をしらずして
万智氏 君はまだ夢の続きをみているの? 悲しいけれど我は抜けから

比較表を掲示できないのが残念です。書評なしで比較表だけ掲載したら著作権に引っ掛かり?

ぜひ、一読をおすすめします。小・中学生のための古典解説本ですが、どうしてどうして、、このシリーズは、早々たる方々が執筆されています。
太平記の平岩弓枝、西鶴名作集の藤本義一、山椒大夫のねじめ正一など垂涎です。

伊勢物語は富山市図書館には3冊ありました。余り貸出されていないみたいで残念です。
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恋する伊勢物語の読書記をまとめ

2011年02月21日 | 書評
 ひねもすの闘病記で勝手に書き散らした「恋する伊勢物語」の書評(そんなにも大袈裟じゃー無いんですが)をまとめて一文にしようと整備中です。
 途中からblogに掲載始めたものですから、1章から18章まであらためてよんでいます。そうすると、最後までもう一度塾読したくなり、思ったほど進みません。自堕落な時間をもう少し楽しませてください。
「返事こぬ手紙いくどもしたためて頼まぬものの恋つつぞふる」69P 章頭に歌われた短歌が、幾度の夜を経て読まれたものか。など想い始めると進まなくなってしまいます。

2/22どうにか纏めができて、PDFで埋め込もう。GooブログはPDFを入れ込めない?

「恋する伊勢物語」書評
ちくま文庫 著者:俵万智 1995/9/21初版
1991年1月~12月「読売新聞」に週一連載 
書評著:款談庵 富山市呉羽

Book Log:「本棚の重石」レビュー
2011/01始めから入院している。医者は2月一杯は出れないという。この齢では、朝暮に雑誌・テレビだけでは1日を過すことは難しくなってきている。それで、以前に買いおいてすどうしで読んでおいた「恋する伊勢物語」を精読することとした。
“なにを軟弱な“と思い起こしの向きもおられようが、当方至ってミーハーであり。著者は、我が故郷武生の育ちなのだ。
 女房に岩波文庫「伊勢物語」大津有一校注を届けさせ各段を比較しながら読み進めています。現在20段まで進んだところで、ブクログを思い出し掲載したわけで。思い綴るままに書き足してまいる所存です。
 まあ楽しい、洟垂れ小僧の高校生が50人ほど詰め込まれた教室で、万智先生から古文の授業を受けている。こんな高揚した気分です。
”男に一言、言ってやりたくなる時もある。そういった「余計なこと」や「付け加えたくなった話」や「男への一言」を取りまぜながら…”おとこの機微が面白く、この書の読みどころなのだろう。
一方、この本はどうも、古文の副読本ないしは、教科書としての狙いもあるようで解説書としても推奨です。
今朝は23段 この段に「11章妻が公認する浮気」実に13ページを割いている。女の恋愛・結婚への思いが迫る。「恥ずかしい」というのだけは恋は恋でも初恋に… レモンの味というのでしょうか!

1章から19章までを追補(2011/2/17-2011/2/ )
2/17恋する伊勢物語 1章とりあえず、男がいた
章頭の歌「名にしおはばいでこと問はむ葉月草 八月生まれの人の心を」は、「名にしおばいざ言問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと」の本歌取り。わが思う人→8月生まれの人 で格別に迫って来る。
むかし男ありけり→過去の助動詞 「人づてに聞き知った過去」だそうで!
 「余計なこと」や「付け加えたくなった話」や「男への一言」を取りまぜながら、これから『伊勢物語』の魅力を探っていきたい、と思う。…14p

2/17恋する伊勢物語 初段 2章短歌は必修科目
「むかしの人は、かくいちはやくみやびをなむしける」いちはやき=激しい、みやび=風流なこと…若者の率直さや積極性の背伸びや情熱といった様々な要素が含まれているのだろう。…19p

2/17恋する伊勢物語 2段 3章きぬぎぬの心
男女が過ごした翌朝を「後朝(きぬぎぬ)」というそうだ。
恋が成就した後の悩みを、帰り来て、いかゝ思いけむ…と完結に表現している。
後朝の歌
 「起きもせす寝もせて夜をあかしては春のものとてなかめくらしつ」
起きもせず寝もせで…は寝苦しい夜を明かしたという意味なのですね。今日的感覚では、激しい夜を明かし、今朝は気怠く昨夜のあなたを思つていますよ。相手には直球勝負。←?

2/17恋する伊勢物語 4・5段 4章身分違いの女(ひと)
業平と高子のゴシップなのです。
「月やあらぬ春やむかしの春ならぬわが身ひとつはもとのみにして」
……。巧い…。

2/18恋する伊勢物語 6段 5章殺し文句は永遠に
「白玉かなにぞと人の問いし時露と答えて消えなましものを」
…言葉は古くならない。その言葉を覚えて入る限り、思い出は、その時の鮮度をずっと保ち続ける。だから、愛の殺し文句は、どんなプレゼントよりも、愛を永遠にする。…32P

2/19恋する伊勢物語 9段 6章風流心は忘れない
短歌の修辞技巧『折句』
「から衣きつゝなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思う」
…相手の心を思いやり、気にかけていることを伝える―これは、今も昔も変わらない恋文の大切なポイントだろう。…45P

2/19恋する伊勢物語 10段 7章母のがんばり
…古典の世界では、「もう一つの意味」として恋を詠みこんで、歌のやり取りをする場合が多い。…歌は残っても、傷は残らない…52P

2/19恋する伊勢物語 14段 8章大いなる誤解
…堂々と男に恋の歌を届ける。「好き」と思ったら一直線―この大らかさ、この大胆さ。私は拍手を送りたい。…53P この奔放さが―俵万智の世界が好きだ。

2/19恋する伊勢物語 16段 9章去っていく妻へ
「手を折りてあい見しことをかぞぶれば十と言いつゝ四つは經にけり」
「年だにも十とて四つは經にけるをいくたび君をたのみ來ぬらむ」
吾が妻をおもうことのみ。

2/20恋する伊勢物語 21段 10章突然の破局
「いと」・「かしこく」…程度が並々でないこと。
「思うかいなき世なりけり年月をあだにちぎりて我やすまいし」
…揺れる男の気持ちが、よく出ていて…P67

2/20恋する伊勢物語 23段 11章妻が公認する浮気
「返事こぬ手紙いくどもしたためて頼まぬものの恋つつぞふる」68P 章頭の句
…「恥ずかしい」というのだけは、恋は恋でも初恋に限られた感情…71P
「筒井つの井筒にかけしまろがたけすぎのけらしな妹みざるまに」 妹…妻か恋人
「君こむといひし夜ごとに過ぎぬればたのまぬものの恋つつぞふる」
…「たのまぬものの恋ふ」―よほど強い心がなくては、そんな風にいいきることはできないだろう。…頼りにできるとわかってはじめて、恋をする。そういうパターンの多い現代にあっては、高安の女の生き方は逆に新鮮だ。…82P
章頭の歌、俵万智嬢の“生きざま“挑戦状では。

2/20恋する伊勢物語 24段 12章三年目の悲劇
…鴻上尚史さんのエッセイ集「恋愛王」の中に、始める時は…恋愛を終わらせる時のエネルギーに比べたら、はるかに少ないものです。そして、恋愛の終わらせ方に、その人の本質がでます。…91P
…24段の彼のこの態度、これは男の虚勢ですか…93P 
「あい思わでかれぬる人をとどめかねわが身はいまぞ消えてはてぬめる」 
『絶唱』と言い切る激しさ。

2/21恋する伊勢物語 45段 13章告白できずに
「暮れがたき夏の日ぐらしながむればそのこととなく物ぞ悲しき」
…漠然とした人生の悲しさを、男が感じ…98P

20/21恋する伊勢物語 50段 14章どっちもどっち
…思わぬ人を思うものかは
…人の心をいかが頼まぬ
 困った時の便利な下の句として覚えておこう。

2/21恋する伊勢物語 60段 15章別れたあとで
「五月待つ花橘の香をかげばむかしの人の袖の香ぞする」
出家して尼さんになることについて、
…別れた人はいいところばかり思い出され、そばにいる人は欠点ばかりめだってしまう…109P
どうだろうか?

2/21恋する伊勢物語 62段 16章いやな男
…伊勢物語に登場する中で、最もいやな男…114P
男はよほど未練があったのだろう。いやな男であることには変わりはないか。
だれか、60段についして継ぎ足したのかな?

2/21恋する伊勢物語 63段 17章年老いて、なを
恋せじといふ楔ありされど吾は恋して傷つくはうを選ばむ…115P 章頭の句

世ごころつける女=好色
…精神の筋肉だって、肉体の筋肉と同じこと。…126P

2/21恋する伊勢物語 65段 18章どうにもとまらない
…水の尾の御時なるべし。大御息所も染殿の后なり。五條の后とも。…実名を挙げている。歌は読人不知ですが。ゴシップでは済まない話が、どうして最も長い章段で伊勢物語に挿入されたか。ある種の腐臭を嗅ぐのはいけないのかな。

Blog「ブックエンド」に掲載(2011/1/28-2/11)
1/28恋する伊勢物語 81段 19章斎宮の青春
かち人の渡れどぬれぬえにしあれば
また逢坂の関はこえなむ --恋のフルコースを味わってみたいものだ。

1/29恋する伊勢物語 82段 20章櫻の花は罪作り
世のなかにたえて櫻のなかりせば春の心はのどけからまし
バリエーションをつければいろんな歌にということで
 剣山にたえて雪のなかりせば春の連山はのどかなりにし 
な~んて、へたくそめ。ここしばらくは立山連峰が見えていない。呉羽の一番の良さ 呉羽山系の上に聳える雪を抱いた立山連峰がよい。
県道で呉羽山の切り通しを過ぎた瞬間の連峰の眺めが良い。追突多発で要注意ですが。
剣は、水橋~滑川あたりの8号線からの眺めが好きだ。

1/30恋する伊勢物語 84段 22章さらぬわかれ
22章巻頭の歌「あすの夜はあすの桜が匂うから心おきなく言えるサヨナラ」引用163P
ベットで櫻の香がする男つて、いい男なんんだろうな!! 下衆じみて勘繰りすぎなのか。いや。

1/31恋する伊勢物語 86段 23章 縁がなければ
 縁(えん、えにし、えに)例によって「あんちょこウイキペヂア」
1、めぐりあわせ(運命) 2、血縁 3、住宅の縁 4、仏教(因縁・縁起)因縁生起
―「2人の人生のタイミングが合う―これを縁と言わずして何と言おうか。」
さまざまな彼我の関係を縁として括りまとめ上げる精神行為 ←暇にまかせて定義づけ

2/1恋する伊勢物語 87段 24章
辛辣な章である。「だから出世しない」
ぬきみだるる人こそあるらし白玉のまもなくちるか袖のせばきに 業平
 …ただ結句「袖のせばきに」はいただけないな、という気が私にはする。要するにこれは「羽振りが悪い」ということ意味しているわけで… …私はシラケてしまったため… 182p183p引用
美しい瀧の描写と持ち上げておき、一転、地獄まで逆落とし。
最後に、…なま宮仕えらしく、まともな宮仕えしている人にはとてもできないような歌を、詠んでほしい。…183p引用
何の言い訳もありません。仰せのとおりです。

2/2恋する伊勢物語 90段 25章約束の楽しみ
 デートには、あらかじめ約束という言葉が含まれている… 会うまでの楽しみ・会ったときの楽しみで2倍楽しもう。
前項24章は、業平の経歴からみても「だから出世しない」というのはきつい。万智嬢が1991年29歳のお年に書かれた随筆だからだろう。
現在であれば幾分違った解釈をされるのではと推察。
文徳天皇の皇子惟喬親王に仕えたことが「目先がきかない」言われるとすれば仕方がない。
平安初期の貴族がまだ武人の様相を残していた狩り好きの男の「実力と運」を、「だから出世しない」とは若者の放漫な顔が浮かぶ。

2/3恋する伊勢物語 94段 26章 通い結のせつなさ
 千々の秋ひとつのはるにむかわめや紅葉も花もともにこそ散れ 
 …女は情熱は必ずさめるものだと知っている。…192P

2/4恋する伊勢物語 95段 27章言葉の力
 …このうためでてあひにける…
倭の国は…言霊の幸はう国と語り継ぎ 言い継ひける…(万葉集)
 「また電話しろよ」「待っていろ」いつもいつも命令形で愛をいう君  引用「たしかサラダ記念日に記載」?
歌人は言葉を大事するんだな。←無味乾燥な感想ですみません(ごろあわせまで)

2/5恋する伊勢物語 96段 28章 結婚モラトリアム
「かのをとこは、天の逆手をうちたててなむのろい居るなり…今こそ見めとぞいうなる」←96段文末
世の女性へ。男の恨みだって怖いんですよ。ストーカーになんかなりませんが。
でも、男はだっまって「私が悪い」の一言がいい。

2/6恋する伊勢物語 99段 29章短歌でナンパ
 知る知らぬ何かあやなく別いてはむ思ひのみこそしるべなりけり
 「ナンパされるときの女の気持ち」だそうです
 私の18才時の友人?知人?に、ニヒルなイイ男(それは鼻筋の通ったアランドロンのような)がいた。
 「僕は10人に声掛け1人成功する。君は1人も声をかけていない。ナンパが出来るわけがない。」
 と言われたと記憶している。彼とは38年会ってないな!。

2/7恋する伊勢物語 30章 ゆっくり噛んで
 影印本というものを知りました。写本や版本の写真撮りを印刷したものだそうで、古本で470円だったので購入。
 …昔の人も、わりとゆっくり読んでいたと思います。句点も読点もないし、濁音もついてもいない。そうスピードを出して読めるものじゃありません。噛みしめるように読んでいくなかで、いろいろと想像も広がっていったんでしょうな。…216P引用 
に力を得て「ゆっくり噛んで」みようと思います。

2/8恋する伊勢物語 101段 31章 藤の花かげ
「咲く花のしたにかくるる人おほみありしにまさる藤のかげかも」
解釈の難しい歌ではないか、いつ頃読まれたかにより意味が異なってくるのでは。
狩り好きの業平であるから恐持てである。「囲んで射とってしまえ」なんて言わないか
子規の歌が紹介されている。自分独自の視線が許される現代短歌。
 「瓶にさす藤の花ぶさみじかければたゝみの上にとゝかざりけり」
病床に横たわり見上げるという情景なればこその歌ということだそうです。
もちろん”みじかい”がかけられているのだが。
昨日:今日は病院に行けないと女房に告げられ送ったメール
 呉羽山窓辺に近くみゆるとも君は雪の遠きにありかな
返歌
伊勢物語の受け売り?!(^^)!

2/9恋する伊勢物語 105段 32章 女もつらいよ
「むかし、をとこ、「かくては死ぬべし」といいやりたれば、女
 白露は消なば消えなむ消えずとて玉にぬくべき人もあらじを
 といへりければ、いとなめしと思いけれど、心ざしはいやまさりけり」
…あえて極端な態度をとった女の、心の深さを、私は読み取りたい…226P
でも、僕は「いいお友達でいたい」と言われた方が好い。

2/10恋する伊勢物語 106段 33章 龍田川をめぐって
「ちはやぶる神代も聞かず龍田川からくれなゐに水くゝるとは」
…からくれなゐに水くゝるとは…あまりに有名で美文すぎる。
だから、落語の「ちはやぶる」が揶揄してできたのでしょうね。
小峡谷な浅瀬の黒い川面にしな垂れ架かった紅葉が映り、そこに、ツーと1・2葉流れ落ちて来る。
日本に生まれてよかったなーという瞬間です。

2/10恋する伊勢物語 107段 34章 代筆の妙技
懐かしい代筆ソフト。そんなのありました。MS-DOSの世界です。
便利なソフトがどうして無くなったか明かですよね。すぐにバレだして噴飯でした。
「かずかずに思い思わず問いがたみ身をしる雨は降りぞまされる」
代筆だろうとなんだろうと、万が一、こんな歌送られたら、やはり飛んでいきます。

2/11恋する伊勢物語 118段119段 35章せつない話
女は男の浮気を喜ばない。
「形見こそ今はあだなれこれなくは忘るる時もあらましものを」
形見を残すなんて男のカッコづけ。浅はかな考えとスパッと切り捨てられてしまった。
これ以上の言及は”いろいろと”…

2/11恋する伊勢物語 123段 36章無欲の勝利
「野とならば鶉となりてなきをらむ狩にだにやは君は来らざむ」
…相手の気持ちを考えるやさしさ…246P
チャンドラーの「長いお別れ」だったと思うのですが? …2/28プレイバックでした。
「男は強くなければ生きていけない、しかし、優しくなければ生きていく価値がない」
2歳年上の姉から私が高校生の時あづかった本に朱引がありました。
姉が引いたものではなかったように思います。最初の持ち主の書き込みでした。
今でもこの本は、黄色く変色したまま本棚に鎮座しています。
「やさしさ」そうありたいといつも願っています。
ちょっとだけ多く願っているだけのことなのですが。

2/11恋する伊勢物語 125段 37章いつかゆく道
定家本最終章 時世の歌。
「ついにゆく道とはかねて聞きしかどきのう今日とは思わざりしを」
…死を前にした人間の率直な気持ち…250P 
己なら、その時に至ってても、もっと悪あがきしていそうな気がする。
呼吸が止まるまで…今日あすとは思わざりや…となってしまう。

最後に
万智様。自称弟子のかってな言及にお許しをいただきたく存じます。

2/16退院後追補 
解説 恋する俵万智  武藤康史 氏
 …少年少女古典文学館2「竹取物語・伊勢物語」(講談社)で伊勢物語の現代語訳を俵万智さんが担当され。その終盤に差し掛かった頃、恋する伊勢物語の連載が始まった。…261P
と本著誕生の経緯を書いておられる。
原文の和歌をひとつひとつ平易な現代短歌に作り直してみせ…両著を比べ現代語訳によってわかり易い短歌が琴線にふれる。…264・265P

第21段 元歌 人はいざ思いやすらむ玉かづら面影にのみいとゞ見えつゝ
俵万智 人はみな軽い女というだろうふたりのことはわからないから  …264p

第23弾 元歌 君来むといいし夜ごとの過ぎぬれば頼まぬものの戀ひつゝそぶる
俵万智 まちぼうけ頼る心はなくなれど恋うる心はいよいよ深く …267p

第24段 元歌 あらたまのとしのみとせをまちわひてたゝこよいこそにひまくらすれ
俵万智 三年を君にささげてまちわびて今夜打たれるはずのピリオド    …265P

第62段 元歌 いにしえのにおいはいづら櫻花こけるからともなりにけるかな
俵万智 これがまあおれから逃げたおんなとはどこにほれたか見るかげもなし …264p

第65段 元歌 思ふには忍ることぞ負けにける逢ふにしかへばさもあらばあれ
俵万智 がまんする心は恋に勝てなくて君にあえればどうにでもなれ     …264p

第118段 元歌 玉かづらはふ木のあまたなりぬれば絶えぬ心のうれしげもなし
俵万智 たくさんの木にからみつく玉葛その木のなかの一つね私       …264p

「竹取物語・伊勢物語」記載和歌の万智氏の現代語訳を鑑賞しなくては、この旅を収めることが出来そうにもない。さあ、図書館に行こう。

退院に際して、感謝の二首。
立山の雪より白い看護服君のやさしさ忘れべかりや
夜勤あけ掻き揚げる髪凛々しくて窓見る雪もいろあせにけり  款談庵
コメント
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