茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

水淹(すいえん)

2009年06月16日 | Weblog
大きな八つ手の葉っぱをお盆にして
その上にぴょこんと座っている白磁の茶碗。
葉脈が元気で、
お茶碗達はちょっとあちこち傾いで、
その様がとってもかわいいのです。

水指の蓋も八つ手の葉っぱ。
お水を掬うたびに葉っぱを下ろしたり戻したり。
「間」ひとつで、
その移動は涼やかにも見えるでしょうし、
暑苦しくもなるのでしょう。
大きな葉っぱがゆらりさらりと動いて、
宙に涼しさが舞うように、
そんなことを考えて葉を扱ってみました。

柄杓で摂ったお水を茶器にあけるときは、
葉の上にお水がこぼれてもいいのです。
水の動き、水の音、ころがる水滴、
それらが全部涼しさを演出してくれます。

今日は玉露をお水で淹れました。
たっぷり時間を取るために、
花のお話などをします。
本日のお花は、
紫の紫陽花と枇杷。
この組み合わせで、
「紫球琥珀」という雅題となります。
雨のこの季節、
外に目をやれば、
紫陽花や枇杷に
雨のしずくがきらりと光る。
そんな様子を、
アメジスト(紫球)と琥珀に見立てています。

お水でゆっくりと抽出された玉露は、
すっきりとした深い甘みが味わえます。
葉っぱのお茶托(托子:たくし)に乗せて、
それらを葉盆(葉っぱの形の木地)に乗せて、
ご正客の前にお運びします。
「どうぞお流しください」
お一つずつお茶碗を取り入れ、
葉盆が涼しげにお隣の膝前に流れていきます。

お手前の最後は、
「お暑うございました」とご挨拶し、
ご正客は、
「涼ませていただきました」と受けます。

ピカッごろごろ~と空が騒がしい中、
最後は、
暑い茎茶に梅干しを入れてごくん。
お土産の黒糖ういろうがおいしい♪
あ~、涼しい演出もいいし、
熱いお茶もいい!
梅雨もとっても楽しいです