茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

幸せでいる責任

2014年03月18日 | Weblog
今日は、茶道教室をさせていただいている大学の卒業式でした。
この一年、アジアの国々から留学している皆さんと
時に筆談を交わしながらお茶のお稽古を重ねてきました。

ひとコマ45分が月に2回でワンクール半年、
しかも10名。
言葉もどれくらい通じているかな?という状態でのお稽古です。

何を伝えよう。どの部分を扱おう。
考え続けた一年でした。
どれだけ伝えられたかわかりません。
たくさんの反省を抱えながら、
でも、とても楽しかった一年を振り返りつつ、
式に参加していました。

「一期一会」とか「和敬清寂」とか
四つの漢字だけでものすごいメッセージがあると
感動していたのは漢字の国の学生でした。
陰の足でとか陽の手でという言葉に
陰陽って何ですかと聞いてきたのも道(タオ)の国の学生でした。
私の中にある先入観をたくさん正してもらったこの一年でした。

台湾総領事館からの来賓の方のお言葉が心に残りました。
この門出に当たり、
ご家族や先生などお世話になった方へ感謝するために
「あなた方には幸せでいる責任があります」
とおっしゃられました。

幸せでいる責任・・・
式典の間、ずっとこの言葉が心に響いていました。

誰一人、紙を読まない卒業式は、初めての経験でした。
とても心のある卒業式でした。
夢を持ち、努力を重ねている若い命が
本当に愛おしく感じられました。

小さな選択から大きな決断まで
日々、岐路の連続です。
迷ったときは、美しい方を選べるようであってほしいと
そう願ってさよならをしました。


百音

2013年10月19日 | Weblog
昨日、この元気な10月の新芽を摘んで
今年最後のお茶作りをしました。
さすがにお茶もおねむの季節です。

畑は今、お茶の花が咲き乱れ、蜂達が群れ飛んでいます。
その蜂達の中に入ってお茶を摘んでいる自分が不思議でした。
去年は、蜂を一匹目撃しただけでも、
もうこわくてこわくて畑に入れませんでした。
それから一年の間に何が起こったのでしょう・・・。

ブーン!と耳元を駆け抜けていっても、
服にとまっていても、
進行方向前方にブンブンいても
「ちょっと通るよ~」な感じでさくさく行けちゃいます。
テレビでよく見る、蜂の中、平気でニコニコしている養蜂園のおじさん、
それが今の私だ~と感じました。

約七ヶ月、茶畑にいた時間は長いです。
お茶を摘もうと手を伸ばすと、ささっと逃げる虫達がいっぱい。
とにかく、たっくさんの出会いがありました。
バッタと目が合うという感覚、
お互い間を計っているという感じ、
(たとえば、蜘蛛が「ここに今、巣つくってんだよ」という構えでこちらを見るけれど、
 「いや、その芽、摘みたいんだけど」みたいな・・・)
お腹の大きいバッタに道ゆずったり、
獲物を狙うカマキリの呼吸が気になったり。

今まで聞こえなかった音が聞こえるようになっているようです。
今までより見える世界に色が増えたようでもあります。
まだ聞こえないもの、まだ見えていないものを感じるようにもなりました。
ですから、
来年は、もっと、お茶の声が聴こえるようになると思います!

 
大切な人が逝ってしまったり、
子どもが巣立ったり、
戦争もなくならないし、
大きな災害も相次ぐのに、
お茶のおかげで夢を繋いでこれました。

虫の息、鳥の声、川のせせらぎ、やさしい雨や嵐、
そんな百の音が
勇気を思い出させてくれているようです。




ポツダム看護婦

2013年08月15日 | Weblog
5つ前の夏の日のことでした。
その頃のお稽古は、先生と二人きりのことが多かったのです。
その日もとても暑い日でした。
私の点前を見てくださった後、
先生は私に一服点ててくださると言って
点前座につかれました。

お湯をとりながら、
「蛍がね、蚊柱が立つように群れて光ってたのよ」
そうおっしゃると、しばらく手を止めて
釜から立つ湯気の向こうに遠い記憶を尋ねているようでした。

「どこでご覧になったのですか?」

「ボルネオ。戦争に行っていたの」

びっくりしました。
先生が、戦地に行っていらしたなんて、初耳でした。

「お茶はいいわねえ。
 どんな気持ちも受け止めてくれる」
先生は泣いておられました。

その年の暮れ、先生はふとお稽古を終わりにされ、
お目にかかる機会も少なくなりましたが、
お家に伺うたびに
戦争の記憶の断片を文字に起こされているお姿がありました。

2009年3月14日「一碗」
2010年8月23日「生きる」
2010年9月4日「生きてこそ」

そして、この度、その貴重な物語が一冊の本になったのです。
ジャーナリストの村上和巳氏が巧みに聞き取りをなさり、
散らばる哀しみや憤りを見事にまとめてくださいました。
私はテープ起こしのお手伝いをしました。

「当時はみんな一生懸命だったの
 お国のために頑張らなくちゃならないと思ってたの
 兵隊さんを助けなくちゃいけないと必死だったのよ」

「でも、戦争なんて、けっしてあってはいけないの」

何十年も、茶が先生の胸中を引き受けてきました。
そして、今、次代へのメッセージを残すことができました。


ポツダム看護婦 (上) [Kindle版]
村上 和巳 (著)
出版社: アドレナライズ (2013/5/20)
販売: Amazon Services International, Inc.


紅茶

2013年07月06日 | Weblog
7月の畑は雨もふらず、
といって晴れるわけでもなく
どんよりとして、
でも、川面から上がる風が心地好い限り♪
お茶摘みにはもってこいです。

約2時間、新芽を摘んで
丸一日室内でザルに広げて置きました。
画像は、翌日、約1時間、布にくるんで揉んだところです。
マーブル模様がきれい!
いい感じです

これからまた揉んで、それをまた一日置いておいて
翌日乾燥させると
約20gの紅茶になりました。
このサイズだと、女性の手でも満足のいく揉捻ができました。
掌の中で、お茶の葉の柔らかさや暖かさを感じ取ることができるのです。
全体に力が伝わっていく感じもわかるし
撚りも効きます。
あ~、これが「掌握する」ってことか
茶畑でガッテンする日本語がまた増えました。

マーガレット女王もヴィクトリア女王も
夢見る茶畑の紅茶無くしてティーパーティーは語れないって
あ、清川村のまーがれっと&う゛ぃくとりあね。

3日かけなくても一日で凝縮して紅茶をつくることもできますが、
(強制発酵で半日でも)
キャンプや温泉を楽しみながら、丁寧に紅茶をつくる夏休みもいいものです。
多田元吉氏の「製茶ノ事ヲ論ス」を読んだり
「祁門紅茶の生産及び運銷」なんて紐解いてみたり
紅茶の歴史に
たくさんの人の熱い熱い取り組みが見られ
うれしくなります。

自分を魅了したその香りと色を
記憶の中に辿って
揉んだり待ったりしてきた人々の人生を
いろいろに想像したりする夏です。


まかないのお茶

2013年04月29日 | Weblog
にゅんにゅんと伸びてくるお茶の柔らかい葉っぱを目にすると、
どのようにして美味しく食べようか、
どうやって飲んでみようかと
いろいろな工夫が頭に浮かんできます。

普通に考えるのは
茹でてみよう、蒸してみよう、炒めてみよう、焼いてみよう。
ちょっと冒険して
漬けてみよう、干してみよう、煮てみよう。
さらには
凍らしてみよう、腐らせてみようなど。

とにかく、いろいろやってみました。
そして、その度に、どれもこれも美味しくて
そして何よりも経験したことのない香りに目眩がしたり
幾重にもうつろうパステルカラーにため息をついたり
ただただ発見の連続でした。

自分と同じようなことは、
古今東西、たくさんの人が経験してきているのではないかと思います。
インドのお母さんたちが
家族の好みや体の調子に合わせて
食事の都度、スパイスをいろいろに調合するように、
まかないのお茶にもいろいろあったのではないか。
製茶の歴史を横軸に
それに逆行したり飛び跳ねたりする形で
様々なお茶が存在したように思うのです。

我が家で今好評なのは
摘んだお茶をそのまま乾燥させただけのお茶です。
専門的に括ると「白茶」ですが、
このようにするとお茶はサトウキビのように甘く
咲き始めのバラのようなほのかな香りを漂わせます。
やぶきたで、です。

一昨年、中国雲南省の村々を訪ねて
お母さん達のつくったお茶をいただく機会に恵まれました。
民族ごとに決まった製法があるとはいえ、
家庭により殺青も発酵も保存もいろいろで
それぞれのおふくろの味があることを体験しました。
お母さん達、「自分の好きな感じ」でお茶作りを楽しんでいました。

夢見る茶畑も
そんなまかないのお茶作りを応援したいと思います。
自分の夢見るお茶、つくりにきてください!

(画像はお茶を煮詰めているところ)

夢見る茶畑

2013年04月27日 | Weblog

去年の夏、ひまわりを植えた茶畑を
「夢見る茶畑」と名付けました。

お茶を知りたくて清川村へ通い始めたのが3年前、
お茶を育てたくなって清川村へ移住したのが2年前、
その後、お茶をつくりたくなってお茶畑をお借りするようになって
この一年、感じるままにいろいろなお茶をつくってみました。

収穫期の違い、揉みの強さの違い、発酵の違い、乾燥の度合いの違いなどなど
加工の手加減が変わる度に
お茶の葉は
踊り出したくなるような甘い香りと優しい色で
いつもいつも五感を興奮させてくれました。
まだまだたくさんの不思議が
お茶には秘められているようでなりません。

この辺りのお茶摘みは
長い間連休明けに行われていましたが、
今年はちょっと早くて
ちょうど連休に一番茶の収穫ができます。
そこで、
夢見る茶畑でも
5月2日の八十八夜の前後、
お茶摘み園として営業することにしました。

Facebookに「夢見る茶畑」でページをつくりました。
(まだ、よくできてませんが・・・)
お茶摘みをして、お茶をつくるところまで
楽しんで頂ける場です。

近くには魚のつかみどりや渓流釣りが楽しめる場所もあります。
BQもできます。
キャンプ、コテージ、ログハウス、ツリーハウスなど
アウトドアも楽しめます。
 リバーランド 
 リッチランド 
 丸太小屋 
美人の湯もあります。
 温泉
陶芸の工房もあります。
 現成窯 

  胸躍る 大好きな舞台に
  みんなで駆け上がれ Oh!!

ゆっくりとお茶に向かいあっていると
桑田さんのLet’s try again!!な気分になってきます。

連休の一日、是非、お立ち寄り下さい!!




お茶の色

2012年09月24日 | Weblog
今日は楽しい高校茶道の日。
秋休みということで丸一日かけて
ちょっとお茶で遊ぶことにしました。

持ち寄ったお茶は6種、
媒染液は2種です。
上段がみょうばんの媒染液を使ったアルミ媒染。
下段がおはぐろの媒染液を使った鉄媒染です。
お茶は、右から
矢部の釜炒り茶、
雲南省の黒茶、
インドのCTC紅茶、
和束の碾茶、
清川のお茶の枝、
佐渡の番茶です。

こんなに様々な色が揃いました。
黒茶はなかなかいい味を出しています。
アルミ媒染はウコン布のようです。
釜炒り茶の鉄媒染もまたたまりません。
でもでも
ため息が出るほどに美しかったのが
お茶の枝を煮出した時の色です。
やさしい透き通ったピンクです。
桜の花びらのような、アセロラの飴のような・・・
いつまでも眺めていたい美しいピンクでしたが、
残念なことにその色が留まりません。
媒染液の濃度を濃くしたりしましたが
ほんのりというまでも染まりませんでした。

おはぐろ媒染液というのは、
酢と水、同量に古釘を加えて煮立て、
水分が半分になるまで煮詰めたら
約1週間ほど保存しておいて
それから釘を取りだして漉したものです。
この原液を希釈して使います。

みょうばん媒染液は
スーパーの食品売り場かドラッグストアで
みょうばんを買ってくればすぐに使えます。

三脚台に石綿金網を置いてビーカーをのせ
ガスバーナーに火をつける午後、
いろいろなお茶の香りが交互におそってきて
仕上がりへのワクワクが高まります。
青も緑も出てきません。
ピンクや黄色や紫がどこからか現れてくるのです。
お茶って面白い。

先生、ご協力ありがとうございました。
男子が中華鍋を振るって作ってくれた焼きそばも
とってもおいしかったです。

2012年09月23日 | Weblog
青茶(烏龍茶)をつくりました。
摘採から乾燥まで丸一日かかりました。
最初に葉を天日に晒して水分を蒸発させますが
これを晒青といいます。
次に室内でさらに萎凋し
数時間おきに撹拌しました。
これが揺青。
ここまでで10時間以上かかって
もう夜中です。
でも、葉っぱはまだだよと言っています。

室内は林檎の香りでいっぱいです。
このお茶の葉の中に
こんなに甘酸っぱくてさわやかな香りがいたなんて。
数時間ごとにその甘さもいろいろに変わり
その度に感動のため息をついています。
よくわからないながらも
葉の周辺や葉脈の色が変わってくるのを見ながら
お茶の合図を待ちます。

お茶畑の向かいにある
陶芸の先生の工房を使わせていただいての作業です。
この日は村内放送があって
ツキノワグマが出たからみんな気をつけなさいとのこと。
お茶の香りに誘われてクマ来るかな・・・
お茶の横でうとうとしているとこわいかな・・・
ということで
工房の前に駐車してある車に移って
運転席を倒して横になることにしました。

うとうとしていると車が揺れて目が醒めました。
クマかイノシシか地震か?
なんだったのだろうと辺りを見回している時
工房の屋根の上辺りに
青い閃光を見たのです。
きれいでした。
小さな小さなオーロラのようでした。
不思議な体験というのはいくつかあるものですが、
私にとってこれもその一つとなるのでしょう。

そんな夜も白々と明ける頃
お茶を炒って発酵をとめました。
殺青です。
それから乾燥させることしばしですが
途中でお味見、夜明けの烏龍茶です。
葉は、何色かといえば
青です。

お彼岸の朝の、青い、青い、青い不思議な一日でした。

長い間会っていなくても
いつも心の中で大きな存在であり続けている人が誰にもあると思いますが、
私にとってそんな大切な方が
半年も前に亡くなっていたのを最近知りました。
お年賀状に添えられた
「ブログの更新がなくて寂しいぞ」
という言葉が最後のメッセージになったのです。

PCのコミュニケーションチャネルは
電気の無駄遣いな気がしていたのですが、
また、少し向かいあおうかなと思ったりしました。

夏の虫

2012年08月11日 | Weblog
バッタと目があった気がします。
「暑いのにごくろーさん!」と言ってくれた気がします。
さざえさんのあなごさんの声(若本規夫さん)でした。
これだけ暑いと、もう、何が何だか。

ところで、バッタ君、貴方はここで何を食べているの?

お茶の葉を少し食べるくらいは許してあげます。
そのうち、バッタが噛んだ葉っぱでつくったお茶にも
なにか特別の効果がでるかもしれないですから。
(ウンカという虫が噛んだ葉は、ウンカ芽と呼ばれ、
 その甘さと香りが高く評価されるようになり、
  害虫と呼ばれていた日々は過去のこととなりました)

お茶の葉を巻いて住み家にするハマキという虫が何種類かいますが、
この子を食べてくれるなら
食後に少しお茶も食べていいから
あなごさん、頑張ってね!とエールを送りたいところですが、
このバッタ君はいかに。

害虫の本たぐる夏せみしぐれ

4月からもう5ヶ月にわたり、
摘んでも摘んでもウイウイと出てくるお茶の命を
いかにしっかりと受け止めるかに追われていました。
一般の茶農家さんと違い
6aという畑の広さは、手のかけ方にいろいろ悩みます。

やろうと決めたのは害虫にやられる前に摘む!
あとは益虫に任せる!
という方法でした。
でも、
愛情と知恵と体力全開!で走った夏でしたが
器小さいと振り絞ってもたかがしれており
お茶ごめん!な夏だった。
害虫の全勝、
まだ大丈夫と思っているうちに
ことごとく、やられちゃいました。
虫たちのために、お茶を育てていたみたい。

疲れて疲れて疲れて・・・
もうホントにまいりましたが、
しかし、葉っぱも虫もすごいなあ~と
感心すること大の夏でした。
こんな大事なことを知らないままいたら
人生薄かったと思います。
農に身を置くにはちょっと遅かったけど、
それもまた何か意味があるのかもです。

土にまみれつつポツンポツンと頭に浮かんだことを
じっくり考える秋にしてみましょう。



茶摘み田楽

2012年06月08日 | Weblog
機械を入れていない茶園は
ただ今、上にも横にも元気はつらつに広がっています。
一番茶の摘み残しが育ち、遅れ芽の遅れ芽が芽を吹き、
二番茶の新芽が気配を見せ、にぎわっています。

そんな畑に思い思いのお茶摘みを楽しみにいらっしゃいませんか。
ご希望のメールをくださいませ。
いろいろなお茶をつくりましょう。

近いところでは、6月10日に何人か集まります。
この日は梅雨の入りです。
天の糸を呼びおろす田楽な茶摘みになりそうです。

雑草を刈り、地を清め
太鼓や笛を打ち鳴らし
歌や踊りもお好きにどうぞ
10時頃から集まって
17時頃までのんびりと
摘んだり揉んだり蒸したり炒ったり
中国製の釜炒り茶の釜とか
家庭用の蒸し器とか
今回、ほうろくを買ったので初使用
そんな道具たちを茶畑の横に並べます
キャンプのような河原乞食のような田楽のような
そんな一日になるのかなという感じです。

お昼頃には天ぷらの用意をしますので
摘みたてのお茶の葉の天ぷらがいただけます。
お茶の道具も用意しますので
作りたてのマイ茶を淹れてお茶の時間を楽しみましょう。
格別なお茶会になりますよ。

いらしていただける方は、メールをくださいませ。
場所などご連絡をいたします。
ご参加に際し、1000円のご寄付をいただければうれしいです。

今年は、何もかも手探りで年間計画が上手に立てられません。
ご案内が直近で申し訳のないことです。
でも、いつでも何かができるお茶畑です。
ぜひぜひ、いつでも遊びに来て下さい。

画像はどくだみの花。
「麻中之蓬(まちゅうのよもぎ)」という言葉がありますが
こちらは「茶中之蕺」
さて成分はいかに。

お茶の不思議

2012年05月13日 | Weblog
結果が出ました。

「検出せず」

というお電話での速報は畑で受け取りました。

基準値内だったとしても、
どのくらいの値だったら製茶しようか、
そんなことを次に考えなくてはならないと
思っていましたが、
検出限界値以下という結果は、
一切の問題をすっきりと取り払ってくれました。

ふー

「完治」ということですね。
お茶達~~~、よかったね。
お茶の頭をなでるように畝間を歩いていると
とても不思議な気持ちになりました。

ひまわりも頑張ってくれたし、
畝間の土や刈り落としてあった汚染された枝葉を
すっかり取り除いたこともよかったのだと思うのですが、
「検出せず」までに到ったのは
お茶が頑張った
と、そう感じたのです。

茶道でお点前をしている時も感じることがある、
急須でお茶を淹れている時も感じることがある、
なにか
お茶の心が通じる感じ・・・

あ、MINAKOさん、嬉しすぎてちょっとヤバイ?

さあ!!
茶摘みだ、茶摘みだ!
来られる人はいつでも来てね♪
メールしてくださあい。

ヤッッッッッホーーーーー

畑仕事は一人ではできないことです。
支えてくれた皆さんに
本当に感謝の気持ちでいっぱいです!


(画像は、今日ふわふわと訪れたウスバシロチョウ)


行ってこい!

2012年04月24日 | Weblog
検査に出したかわいいみる芽です。
3月下旬に深く台切りし、
刈り捨てた枝葉は掻きだし、
5月中旬、新芽がすっかり出開いたところで
出ている葉を刈り落とし、
刈り捨てた枝葉は掻きだし、
8月、畝間にずらりとひまわりを植え、
10月、ひまわりを抜き、
また深く刈り落とし、
3月、春整枝をした茶園です。
かわいそうなくらい傷めつけてしまいました。

昨日お茶を作っていたときは、
残留セシウムがどのくらいかということよりも
何度も刈り落とされて
お茶がそうとう疲れているのではないか
畝間の古葉もとりのぞかれてしまい
足もとかなり寒かっただろう
お茶のパワーも滋味も大丈夫だろうか
そればかりが気になっていました。
ところが、
本当に素晴らしい旨味のお茶に仕上がったので
心の奥にまで甘露がしみ渡ったのであります。

この一年、日本中のいろいろな農家さんの声を聞きました。
いち早く、自分の育てている作物を検査に出した人がいました。
行政の検査があるから自分でする必要はないと判断した人がいました。
OKが出ても、検査を継続している人がいました。
悪い結果が出ると恐いから自分の畑は絶対に調べないと言う人がいました。
調べなくては自分の作物を人に売ることは恐くてできないと言う人がいました。
人が検査をすることを阻止しようとする人がいました。
結果を伏せようとする人がいました。
結果を伝えるべき所に伝えようとする人がいました。
九州のような遠くでも検査を継続している人がいました。
肥料まですべてチェックした人がいました。
セシウムセシウムと騒ぎすぎだと嘲笑する人がいました。
人様の子供の未来を心配して駆け回る人がいました。
今しか見ない人がいました。
未来を見ている人がいました。

十分な仕事をするには、
私は勇気も知力も体力も足りませんでした。
せめて目の前の6aの畑だけは
次の時代に引き渡せるように守ろうと
自分にできる限りのことをやってみました。
どんな結果が返ってくるか。
茶葉よ、行ってこい。

あ、
やり残しがありました。
畑で音楽かければよかった。
雲南の曲をかけたらお茶は喜んだかな。
故郷の遠い記憶にめきめきパワーアップしたかもです。
太陽エネルギーを利用してCDをかけるのって
どうすればいいのかな?
今からでもはじめよう!

0番茶

2012年04月23日 | Weblog
2センチに満たない黄緑の小さな芽が
今年もお茶の季節が来たことを告げています。
数週間すると
一番茶を刈る時を迎えます。

でも今日は、その時を待たずして
その小さな芽のお茶摘みをしました。
一番茶前のお茶摘みなので
名付けて0番茶摘み!
茶ポーターのKさんが命名して下さいました。

中国の釜で龍井茶もどきを作ってみました。
緑の葉っぱが
高温の釜の中で青く光り始めました。
美しいお茶ができました。
カッコイイお茶ができました。
5人で5煎飲んでもまだまだ旨味の落ちない
素晴らしい味わいのお茶に仕上がっていました。

本当は、セシウムの検査に出すために作ったお茶なのですが、
飲んじゃいました。
みんな、「絶対飲みたいにきまってるでしょ」と言って
飲んじゃいました。
相当!いいお茶でした。
この一年助けてくれたたくさんの皆様のお陰様で
今日、畑のお茶は天からの甘露になりました。

除染のためバリバリ刈り捨ててくれた貴方、遠くからありがとう。
畝間の堆積物を丁寧に掻き出してくれた貴方、暑い中ありがとう。
一緒にひまわりを植えてくれた貴女、忙しい中ありがとう。
見苦しい堆積物の山を置かせてくれた貴方、親切をありがとう。
セシウムの情報を送り続けてくれた貴方、力をくれてありがとう。
畑を探して手伝いに来てくれた貴女、優しさをありがとう。
検査代を引き受けてくれた貴方、思い遣りをありがとう。
海の向こうから取材に来て暮れた貴方、報道をありがとう。
ひまわりの取り組みを世界に発信してくれた貴方、支えてくれてありがとう。
美味しいランチに誘ってくれた貴女、暖かさをありがとう。
数え切れない差し入れをしてくれた貴女、励ましをありがとう。
畑を使わせてくれた貴方、目をつぶってくれてありがとう。
後方支援してくれた貴方、守ってくれてありがとう。
手入れの方法をアドバイスしてくれた貴方、元気をありがとう。
復興の再スタートをきった貴女、希望をありがとう。
重い話をいつも受け止めてくれていた貴女、真心をありがとう。
励ましのメールをくれた貴女、心遣いをありがとう。
そして、
このblogに来てくれているあなた、帰る場所をありがとう。
それぞれの場所で、頑張っているあなた、勇気をありがとう。

畑へ向かう車の中、
ユーミンの「やさしさに包まれたなら」が浮かんでいました。
柔らかい雨、流れる霧、川の音、
「・・・やさしさに包まれたならきっと
  目に映るすべてのことはメッセージ!」
なにもかもが優しく聴こえた一日でした。


お茶が教えてくれた

2011年10月02日 | Weblog

畑に鮮やかな向日葵色が目立ってきました。
緑の茶畝に沿って
大きくて元気なひまわりの笑顔が
だあ~~~と並ぶ様を思い描いていましたが、
う~~~ん、
畝間のひまわりちゃんはもやしっ子で
気の毒なくらい細い茎で立ち上がっています。

実に
陽を受けただけ育つという感じです。
ですから、
よく陽が当たるようにって、
お茶の枝をバリバリ切り捨てたりして、
落ちた枝がひまわりの細い茎を折ったりして、
お茶!ダメじゃん!と叱ったりして、
なにがなんだか。

道行く人が
声をかけてくれるようになりました。
みんな立ち止まって
おおお~~と嬉しそうな顔をします。
だって
ぜったいかわいい!

どうしてお茶畑にだけセシウムが降ったのかねえ
と聞かれました。
1人や2人ではありません。
そうか、そんな風に認識しているのかと
あらためて思い知りました。

お茶は口に入れるものだから測った、
そうしたらセシウムがあった、
汚染が広範囲に及んでいることを
5月にお茶が教えてくれたのでした。
(実際は露地野菜の数値は3月から上がっていましたが、
 基準内だったので発表されていなかっただけです)
そこいらの木々にだって
ガイガーカウンターを持って行くと
数値は上がります。
僕も除染して~って言ってるんでしょうね。

汚染の事実は
隠そうとする人がたくさんいる中で
きちんと公表すると判断した人がいました。
お茶が教えてくれた事実を
しっかりと受けとめてくださったその方に
敬意を表します。


茶畑に太陽の花

2011年09月21日 | Weblog
茶畑の畝間に植えたひまわりが
どんどん大きくなってきました。
今朝は
堅いつぼみが黄色くほころんでいるのが
確認できました。
緑のジュータンをバックに映るにひまわりの黄色は
植物の不思議や優しさを感じさせてくれました。

土壌汚染の除去実験を行っていた農林水産省は14日、
放射性セシウムを吸収するとされていたヒマワリには
「ほとんど効果がない」との実験結果を発表しました。
〈1〉表土を削り取る
〈2〉水でかくはんし、流す
〈3〉表土と地中の土壌を入れ替える
〈4〉ヒマワリなど植物に吸収させる――の4種のうち、
最も効果が薄かったのが〈4〉だということです。

うん、それは、そうでしょう。
大事なことは
5月に種をまき、8月に花が咲いた時点で調べた結果、
1キログラム当たり、茎と葉には52ベクレル、
根には148ベクレルの放射性セシウムが含まれていました
というところです。(福島のプロジェクトの結果)

福島の広範囲で高濃度の汚染除去のためには
ひまわりは選ばれなかったけれど、
ここの茶畑ではどんな結果になるかわかりません。
植物と土の相性はいろいろで
たった5aの畑でも
日当たりや水はけや土の硬さなどが違い
お茶の樹勢も違うのですから。

今、畑に共生している
スギナ、カタバミ、ヒメジョン、ニシキソウ、エノキグサなども
みんな内部被爆したり外部被爆したりしてるのでしょう。
ミミズもアリもセミ達もそうでしょう。
土中のセシウムはこの台風でなお
どんどん海に流れていくのでしょう。
だから
少しでも土中の汚染を除去したいと思います。
そのひまわりどうするんだという課題を抱えつつ
少しでも
除去したいと思うのです。