茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

行ってこい!

2012年04月24日 | Weblog
検査に出したかわいいみる芽です。
3月下旬に深く台切りし、
刈り捨てた枝葉は掻きだし、
5月中旬、新芽がすっかり出開いたところで
出ている葉を刈り落とし、
刈り捨てた枝葉は掻きだし、
8月、畝間にずらりとひまわりを植え、
10月、ひまわりを抜き、
また深く刈り落とし、
3月、春整枝をした茶園です。
かわいそうなくらい傷めつけてしまいました。

昨日お茶を作っていたときは、
残留セシウムがどのくらいかということよりも
何度も刈り落とされて
お茶がそうとう疲れているのではないか
畝間の古葉もとりのぞかれてしまい
足もとかなり寒かっただろう
お茶のパワーも滋味も大丈夫だろうか
そればかりが気になっていました。
ところが、
本当に素晴らしい旨味のお茶に仕上がったので
心の奥にまで甘露がしみ渡ったのであります。

この一年、日本中のいろいろな農家さんの声を聞きました。
いち早く、自分の育てている作物を検査に出した人がいました。
行政の検査があるから自分でする必要はないと判断した人がいました。
OKが出ても、検査を継続している人がいました。
悪い結果が出ると恐いから自分の畑は絶対に調べないと言う人がいました。
調べなくては自分の作物を人に売ることは恐くてできないと言う人がいました。
人が検査をすることを阻止しようとする人がいました。
結果を伏せようとする人がいました。
結果を伝えるべき所に伝えようとする人がいました。
九州のような遠くでも検査を継続している人がいました。
肥料まですべてチェックした人がいました。
セシウムセシウムと騒ぎすぎだと嘲笑する人がいました。
人様の子供の未来を心配して駆け回る人がいました。
今しか見ない人がいました。
未来を見ている人がいました。

十分な仕事をするには、
私は勇気も知力も体力も足りませんでした。
せめて目の前の6aの畑だけは
次の時代に引き渡せるように守ろうと
自分にできる限りのことをやってみました。
どんな結果が返ってくるか。
茶葉よ、行ってこい。

あ、
やり残しがありました。
畑で音楽かければよかった。
雲南の曲をかけたらお茶は喜んだかな。
故郷の遠い記憶にめきめきパワーアップしたかもです。
太陽エネルギーを利用してCDをかけるのって
どうすればいいのかな?
今からでもはじめよう!

0番茶

2012年04月23日 | Weblog
2センチに満たない黄緑の小さな芽が
今年もお茶の季節が来たことを告げています。
数週間すると
一番茶を刈る時を迎えます。

でも今日は、その時を待たずして
その小さな芽のお茶摘みをしました。
一番茶前のお茶摘みなので
名付けて0番茶摘み!
茶ポーターのKさんが命名して下さいました。

中国の釜で龍井茶もどきを作ってみました。
緑の葉っぱが
高温の釜の中で青く光り始めました。
美しいお茶ができました。
カッコイイお茶ができました。
5人で5煎飲んでもまだまだ旨味の落ちない
素晴らしい味わいのお茶に仕上がっていました。

本当は、セシウムの検査に出すために作ったお茶なのですが、
飲んじゃいました。
みんな、「絶対飲みたいにきまってるでしょ」と言って
飲んじゃいました。
相当!いいお茶でした。
この一年助けてくれたたくさんの皆様のお陰様で
今日、畑のお茶は天からの甘露になりました。

除染のためバリバリ刈り捨ててくれた貴方、遠くからありがとう。
畝間の堆積物を丁寧に掻き出してくれた貴方、暑い中ありがとう。
一緒にひまわりを植えてくれた貴女、忙しい中ありがとう。
見苦しい堆積物の山を置かせてくれた貴方、親切をありがとう。
セシウムの情報を送り続けてくれた貴方、力をくれてありがとう。
畑を探して手伝いに来てくれた貴女、優しさをありがとう。
検査代を引き受けてくれた貴方、思い遣りをありがとう。
海の向こうから取材に来て暮れた貴方、報道をありがとう。
ひまわりの取り組みを世界に発信してくれた貴方、支えてくれてありがとう。
美味しいランチに誘ってくれた貴女、暖かさをありがとう。
数え切れない差し入れをしてくれた貴女、励ましをありがとう。
畑を使わせてくれた貴方、目をつぶってくれてありがとう。
後方支援してくれた貴方、守ってくれてありがとう。
手入れの方法をアドバイスしてくれた貴方、元気をありがとう。
復興の再スタートをきった貴女、希望をありがとう。
重い話をいつも受け止めてくれていた貴女、真心をありがとう。
励ましのメールをくれた貴女、心遣いをありがとう。
そして、
このblogに来てくれているあなた、帰る場所をありがとう。
それぞれの場所で、頑張っているあなた、勇気をありがとう。

畑へ向かう車の中、
ユーミンの「やさしさに包まれたなら」が浮かんでいました。
柔らかい雨、流れる霧、川の音、
「・・・やさしさに包まれたならきっと
  目に映るすべてのことはメッセージ!」
なにもかもが優しく聴こえた一日でした。