茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

雨香(うこう)

2009年06月24日 | Weblog
雨が降り出しそうなとき
まだ、雨は降っていないのに
雨のにおいを感じることがあります
空を見上げたりして
ちょっと空気を意識するからでしょうか
土の匂いのようであったり
葉の匂いのようであったり
かすかな花の香のようであったりします
この雨降り前の香りを
雨香というのだそうです
そして
降り出した雨がまた
目を閉じて息を深く吸いたくなるように香しい時
その雨を香雨というそうです

『日本植物方言集』には
「雨降り花」という花が紹介されています
その花を摘むと雨が降るといわれている花で
ホタルブクロ、ヒルガオ、ギボウシ、シロツメグサ、イチリンソウ
などです
雨の頃、はっと気持ちを和ませてくれる花たちですね

しとしとと降り続く小雨を見つめていると
まだ降っているのに
空がふと明るくなって
あ、やむのかなと思わせるとき
これを白映えといいます
空の心を読むような気持ちで雲を見つめていると
また暗くなってしまうほんの少しの間の
雲のいたづらです

何とか雨を楽しみたいと思っても
いつもいつも心に余裕があるわけでもありません
心が疲れているとき
気持ちが晴れないときの雨は
目も口も鼻も塞がれそうな陰鬱さを連れてきます
そんな気分の時の雨を
鬼雨(きう)というそうです
鬼はおっかない赤鬼ではなくて
姿の見えない亡霊のこと
沈んだときの長雨は
亡霊に取り憑かれたかのように
さらに心を落ち込ませるものです

でもそんな時は
そう
熱いほうじ茶をいれて
おいしいお菓子を並べて
ヘキサゴンでも見て
大きな声で笑えばOK!
いつのまにか雨も笑い出します