茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

氷淹(ひょうえん)

2010年08月31日 | Weblog
先日、お煎茶のすだれを利用したお点前を紹介しましたが、
あれは煎茶の設えで、
水の音を楽しみながら、熱々の煎茶をいただく夏のお点前でした。
今日のお道具組みは淹茶のお点前になります。
湯冷ましをして温度を下げたお湯で
じっくりと時間をかけてお茶を出すのですが、
夏はお水で淹れるということもします。
特に、今日はお水指の中には丸い氷が入れてあります。

宝瓶にお茶を投じたら
小さな柄杓で冷たいお水を掬うのですが、
その時に氷のぶつかる音がして、
ああ、冷たいお茶がくるぞ~と
イマジネーションが高まります。
ごくっ・・・てな感じ。
お水を一杓掬い、二杓めは氷を掬い、
宝瓶の中でほんの50ccほどの冷たい水が
お茶の葉に少しずつ浸みていきます。

じっと待つ間に
立てかけた柄杓から水かポトッと落ちました。
ああ~いい~
小学生の夏休みを思い出しました。
私は水を撒くのが好きな子で、
バケツに水を汲んでは
アスファルトの道に手で水を撒いて歩いていました。
いくら撒いてもすぐに夏の太陽に持って行かれてしまいます。
競争するように撒いていました。
バケツが重かった。
懐かしい夏の匂いが思い出されました。

みんなはこの3分の静寂の時間に
何を想っていたのかな。
冷たい滴りを注いで、
ほんの一口のお茶をいただきました。
あ~、足りるじゃない。
暑さも喉の渇きもだるさも
この一滴で十分に癒えるのでした。

鶴瓶の家族に乾杯

2010年08月30日 | Weblog
石坂浩二さんが茶畑にやって来ました。
横浜に住んでいる石坂さんは
自分の地域をより知りたいということで
神奈川県も西端の山北町一帯を歩きました。
神奈川に茶畑があるんだ、
お茶工場があるんだ、
足柄茶なんて神奈川ブランドのお茶があるんだと
神奈川再発見のよい旅だったようです。

画像の茶色い茶畑は、
台切りという作業をしているところです。
今年の春の遅霜で
芽の成長がばらばらになりました。
凍結の影響が深刻な枝もあります。
それで、
30㎝ほど深く刈り込んでいるのです。
次の春、また、元気に芽を揃えてくれるように。

石坂さんが驚いていたように
足柄茶、知名度低いですよね~。
生産量が少ないから近隣で販売される他、
生協さんのお店にあるぐらいです。
同様に、日本中たくさんの地域でお茶が生産されていますが、
知らないお茶、たくさんあります。
ぜーんぶ、飲んでみたい!と思うのは私だけでしょうか。
有名なお茶がいいのでしょうか。
以下は一例です。

檜山茶 桃生茶 村上茶 久慈茶 福井茶
中居茶 鹿沼茶 黒羽茶 猿島茶 古内茶
狭山茶 秩父茶 伊那茶 木曽茶 南部茶
美濃茶 本山茶 川根茶 磐田茶 天竜茶 
菊川茶 安倍茶 岡部茶 藤枝茶 島田茶
西尾茶 伊勢茶 度会茶 伊賀茶 亀山茶
朝宮茶 近江茶 宇治茶 和束茶 綾部茶 
丹波茶 大和茶 柳生茶 熊野茶 鹿野茶
島根茶 美作茶 世羅茶 防長茶 阿波茶
高瀬茶 新宮茶 伊予茶 土佐茶 きつき茶
八女茶 嬉野茶 矢部茶 知覧茶 五ヶ瀬茶 
霧島茶 頴娃茶 碁石茶 沖縄茶 種子島茶 
屋久島茶

あ~、旅したい。
 

お茶パスタ

2010年08月28日 | Weblog
「お茶でパスタとか茹でるとどうなるの?」
突然、息子がそう聞いてきました。
「お茶まぜて打たなくてもお茶のパスタができるの?」
え・・・
母は、明日、試験で、
全般において余裕がないっちゅうー時に
なんという素敵な質問をしてくれるのだ。

はい、もう本など読んでいられません。
そうか、
どうして今までそういうことを考えなかったのだろう。
ぶつぶつとお湯を沸かしながら、
お茶の選定にかかります。
急須で淹れたお茶でパスタを茹でるのは無理。
そんな大量に今からまったりお茶を淹れていられません。

このお鍋に茶葉を投入して、
パスタと一緒にぐらぐらできるお茶・・・
碾茶?在庫ないない。
玉露?もったいない~。
上級煎茶?もったいないけど、
そうだ、口をあけて夏を過ごしてしまったお茶があった・・・
もう煮出せる状態ではないかなあ・・・
と思いきや、
素晴らしい香りに熟成しているではありませんか。

最近つくづくわかってきたのですが、
よいお茶は、常温で夏を越そうが、
封を切って時がたとうが、
どんどん熟成して味わい深くなっているのです。
一方、2週間も放っておくと
色が変わってしまったり香りが飛んでいたりする
お茶もあります。
お値段だけの問題ではありません。
お茶の体力です。
作り手の愛です。

茹で上がりは、よいお茶の色、香りもgooです。
お茶の葉とシラスと生クリームと一緒に和えました。
紫蘇も加えてきれいな緑も。
おいし~~~♪
さすがにゆで汁飲まないし、
ちょと、もったいないけれど、
生クリームを使ったパスタはちょっと重いという方に
絶対お勧めの方法です。
使ったお茶の葉は10gほど。
200円くらいかな。


ストレス

2010年08月24日 | Weblog
今日は足柄にある神奈川県の合同庁舎で
農業技術センターの研究成果を拝聴してきました。
茶農家の皆さんが会議室にあふれんばかりに集まって
熱心に聞いておられます。
なんちゃって茶ポーターの私も、
一生懸命聞いてきました。

内容は、
インストラクター試験を受けた人なら
特に難しいことはなく、
私の関心は、
こういう研究を仕事としている方がいるということが
とっっってもうらやましいという方向に向きました。

なかでも、
GABAティーの商品化の可能性を探っての実験は
生葉を水道水につけて
嫌気状態(酸素のない状態)に置いてストレスを与え、
どのくらいで
GABAティーの基準である1.5mg/gをクリアするか、
というもので、
お願い、私にもやらせて♪という気分でした。

 お茶の葉は正常な呼吸ができなくなると、
 嫌気条件化での代謝に移行する。
 その時に、
 グルタミン酸脱炭酸酵素の活性が上昇し、
 細胞内のグルタミン酸がGABAに変化する。
   (インストラクター講座の教科書より)

水に漬けられたお茶の葉が、
く、苦しい・・・もうだめだっ
という状態でビュワンとGABA力アップするなんて、
ポケモンの進化みたい。
頭の中はまた
GABAになるお茶の葉のアニメの妄想で
いっぱいになりました。
艱難辛苦汝を玉にすです。

茶の葉を水に浸すなんて
プールでもないとできない、
それをどうやって製茶するのか、など
質問が飛び交いました。
水に浸すのは18時間が必要だったそうですが、
窒素ガス充填なら5時間なはず。
  (これも教科書に)
そっちの実験はいつやるのかなあ。
5時間お茶の葉を観ていたい♪

生きる

2010年08月23日 | Weblog
2年前に辞めたお茶の先生のお宅に
お顔を見に行ってきました。
少し前にご主人様を亡くされて
お一人で毎日をどうしておいでか気になっていました。
先生は思いの外お元気でした。
お部屋に上がると、
テーブルの上に本と虫眼鏡、
古い便せんに鉛筆で何やら書き綴っておいでです。

本には図書館のラベルが。
「先生、この暑い夏も図書館にかよっているのですか」
「そうよ、調べていることがあるの」
本は『日本の歴史』でした。
便せんの文章は「昭和15年」で始まっていました。
「通信使としてインドネシアですごした日々のことを
 思い出しているの」
と、もうすぐ90歳の先生。

かき氷かいてくれる?と頼まれて
がりがりと冷たい氷をいただきました。
お茶は召し上がってますかと聞くと、
「涼しくなったらお客さんが来るから
 お茶を点てるの」
と楽しみにしておいででした。
息子さんが時々友人を招いては
お茶飲ませてやってよと
先生のところに連れてくるのだそうです。
「足がちょっといたいけれど、
 そういうときはちゃんとできるの
 お茶は、ずっと、終わらないの」

「独座観念」という言葉が思い起こされました。
井伊直弼の『茶湯一会集』にある言葉で、
 茶会の後に一人釜の前に座り、
 二度と繰り返すことのできない
 たった今の貴重な一期一会を振り返り、
 一人お茶を点てて自己と向き合うことが大事
といった極意ですが、
先生のペンを執る姿に
それを思いました。


葉巻

2010年08月22日 | Weblog
夏休みの楽しい工作の時間です。
夏の茶畑の葉っぱは、こんなに大きくなっています。
しかも、柔らかいです。
何か巻きたくなります。
で、お茶の葉の葉巻をつくりました。
お茶の葉をお茶の葉で巻いて、
火をつけ茶ったりなんぞして。

生葉ですから、
直ぐに消えてしまいます。
そもそも葉巻って、
葉で巻いてあるのでしたかしら。
たばこって、どうしてどーと燃えないのかしら。
考えてみると、何一つよくわかっていません。

ちょっと出たけむりの香りはなかなかよいです。
薫製を作っているときの香りにそっくり!
いや、昨日の薫製の香りが
たんに家中に残っているだけかも。
でも、たばこというのは煙の香りでなくて、
吸ったときの香りが大事なのでしょう。
喫煙しないのでよくわかりませんが、
無謀にも吸ってみました♪

ゲホゲホ~。
焦げた香りが一気に漂いましたが、
火がつきました。
口の中は・・・微妙~~~。
(注:よい子はまねをしないで下さい)
でも、悪くはない感じ!
かな。

化学的に
とんでもない物質を吸っていたらどうしましょう。
でも、お茶のたばこだったら
いくら吸っても体によさそう。
きっと誰か研究していて
報告書ができているかも。
でも製品化されていないのだから、
ろくな物ではなかったのか。

知識というのは
いつどこで何が必要になるかわかりません。
お勉強というのは
するべき時にちゃんとしておかねばです。
自分のやっていることが全くよくわからない・・・。
大変くだらない、
でも・・・、大変楽しい時間でした♪

お茶で薫製

2010年08月21日 | Weblog
茶畑作業の後、
みんなで近くの川へ行き釣りをしました。
いつも作業をしている畑から
車で10分ほど山を入ったところです。
こんな素晴らし場所が、こんな近くにあったなんて♪
いきなり深い山の香に包まれ、
温度もぐっと下がってきました。
清川という地名にふさわしく
冷たく青い水がゆく渓流です。
清川のお茶は、
こうした土壌で育っているんだなと感じました。

川を覗き込むと、
青い水の底に動く物が見えます。
行楽の皆様が残していってくれたニジマスちゃん達。
さっそく、竿を手にみんなあちこちに散っていきます。
私も2匹釣り上げました。
山女魚も一匹釣りました。
河原で飲む足柄茶のおいしいこと!ってウソです~、
ビールはお預けで残念でしたが、
炭で焼いたお魚は絶品でした。

たくさん釣れたので、
うんと塩をふって持ち帰りました。
この熱気ですから塩竃状態。
帰ってみるとすでに相当塩がいっています。
よし、薫製にしよう♪と
いつもの桜のチップを探しているとき、
ふと、お茶だけでやるべしと閃いてしまいました。

ほうじ茶風味の虹鱒になるかしら?
と思いましたが、
まったく、そうはなりませんでした。
この香りは・・・
そう、製茶工場の匂い!
どこかで草っぽくて、
どこかでお茶っぽくて、
遠くでちょっとこおばしいような、
そんな香りです。

こんなときにワインがない・・・
無念にもまたお茶で虹鱒の薫製をいただきました。
それでも、キーンと冷えた足柄茶を
気分だけでもワイングラスに注ぐと
酔ってきた気がしますから不思議です。



妄想

2010年08月20日 | Weblog
お勉強のしすぎで
甘いものが食べたくて食べたくて、
大好物のホットケーキをつくりました。
蜂蜜とチョコレートシロップとお抹茶をどさっといれて、
焼き上がったところへ
メイプルシロップを浸みるほどかけて、
幸せなひととき。
夏のお抹茶は、どんどん色褪せ、香りも飛ぶので
お稽古の残りはいろいろに使い切ってしまいます。

今一番好きなのは、
お抹茶を練り練りしたところに
三ツ矢サイダーを加えて
バニラアイスをのせて
あわあわと戦いながらいただくものです。
日本の茶道のすごいところは、
このお抹茶の開発ですね。
お茶の葉をこんなにおいしい粉粉にして。
もう座禅しなくても日々是好日、
煩悩も妄想も跡形もなく払拭され、
慈愛に満ちてくるではありませんか。

ところで、
禅語の章(茶道検定の)を読んでいて気になったのが、
この「妄想」ということばです。
禅の修行は、
執着、苦悩、迷い、束縛、妄想といったものから
離れること、のようですが、
はて、妄想ってなんでしょう。
「心配」と思っているものも「妄想」?
「心配」だと、
「心を配る」でそんなに悪くない感じです。
でも、「妄想」は、
「根拠のない主観的な想像や信念」ですから、
ちょっと危ない感じ。

なにか心配事が浮かんだら、
それは根拠があるかないか!
と自問してみたらいいかしら。
主体性を確立して行動すれば(随処作主)、
真の自由が得られ、
心は秋の月のように清らかなのだそうです。
(吾心似秋月)

主体性を確立するって、どゆこと?
秋の月は遠いです。



試験

2010年08月19日 | Weblog
茶道検定をあと1週間後に控え
焦っています。
「いいなおすけ」の「弼」が書けない・・・
それどころか、
「井伊」って「伊井」だったかな
なんて一度考えるとわからなくなるのはなぜでしょー。
武野紹鷗の「鷗」すら自信がなく、
「躙口」なんぞ書けないんです~。

「利休弟子衆七人衆」も
織部と高山右近と細川三齋はいいけれど、
蒲生氏郷と牧村兵部、柴山監物はちょっと不愉快、
瀬田掃部なんて許せない。
だってこの人セタカモンって読むのですよ。
去年までは、マークシートだから、
織部、右近、三齋と
ガモちゃん、ヘイちゃんが堅物(かたぶつ)とソウジする
って覚えてたらよかったのに。

この七衆を記してあるのは、
3代宗旦の三男宗左の『江岑夏書』で、
松屋久重の『茶道四祖伝書』では、
瀬田掃部に代えて
加賀の前田利長が七哲のメンバーになっています。
あ、こっちの方が覚えられる。
松っちゃん、私は貴方を支持します!
七哲といえば利長よねー、利長。

と、独り言を言いながら
夜中に勉強をしている自分の姿が情けない・・・。
しかも、
この度、はじめて虫眼鏡なるもを座右に置き、
「建盞」とか「棗」とかを覗いてたりして。
ふと、漢字をど忘れして(ど忘れじゃないですね)
「瀬田かもん」と回答したらどうかしら、
と思ったら、
しっかり、「漢字でしるしなさい」と問題にありました。
恐れ入りましたあ。
でも、はねるところがはねてないとか、
一本足りないとかだったら△くらいくれるのかなあ、
など考えている閑があったら
勉強せい!でした。

すだれ

2010年08月18日 | Weblog
葉っぱを
お盆にしたり、水指の蓋にしたり
托子(たくし:茶托)にしたりして
お水を存分に使う盛夏のお点前の次は、
このように簾を取り入れて、
残暑を処す風情でお点前をします。

度々、とっても度々、
水指の蓋になっている簾をはずし、
庭先の葦簀のように立てかけては
小さな柄杓でお水を数度に分けてとる
ということをします。
水が動き、水の音が鳴り、
簾がしっとりと濡れていきます。

それでも、
火が見えたり、
動きが多いのは暑苦しい・・・ということで、
お客様は御簾の向こうにお座りになります。
点前座はちらりと見えるだけで、
水の音だけが届くという距離です。

御簾で空間を分けるというのは、
源氏物語にも
小倉百人一首にも出てきます。
葦簀を組んで下げるだけで
涼も呼びますし、
近くなのに、そことここができあがります。
日本の素晴らしい空間演出ですね。

お茶が入ると
お童子さんが運びますが、
やはり暑いので、わさわさ動かず、
お正客にお盆ごと預けて
「どうぞお流しを」とお願いするのです。

お茶の香りがやって来ます。
熱々のお茶をいただくと
ほんの少しで喉の渇きが癒えていきます。




***
パソコンが治りました
うれしい~~~
歩きたいのに痺れているような、
爪を切りたいのに手袋しているような
そんな、暑くて辛い2週間でした!
でも、何で治ったのかが、よくわかってない・・・
いろいろお返事させていただきまあす。
様々に失礼いたしました。

ティー・ディバ

2010年08月17日 | Weblog
このお茶の葉っぱの
右の方にいるのは、虫ちゃんです。
ティー・ディバというのは、
お茶の神様という意味ですが、
この虫が、その神様のことなのです。

ルドルフ・シュタイナーという人の教育法は
日本でも広く受け入れられていますが、
シュタイナー博士は、
実は農業にも熱心に取り組んでいて、
有機農法ではまだ足りない、
そんな地球次元での取り組みを越えて、
種まきや収穫などを
天体の動きと合わせて行うべきであるという
「バイオダイナミック農法」という形を提唱していました。

そのシュタイナー氏が、
 もしも農業が
 真にホリスティック(全体の調和が繋がっている)な状態で
 行われているのであれば、
 重要な作物には
 擬態(生き物)ができるだろう
と語っていたそうですが、
インドにある茶園で初めて
その擬態が確認されたのだそうです。
もう20年も前に。

ダージリン地方にあるこのマカイバリ茶園は、
総敷地面積670haですが、
その3分の1(270ha)が茶畑で、
残りの3分の2(400ha)は原生林のまま。
無数の野生動物が生息しているその広大な森は
茶園にエネルギーを与える重要な空間で、
あえて、3分の2を残しているとか。
トラやヒョウのいるその森を毎朝見回り、
虫、鳥、動物がどのような状況で生息しているのかを
きちんと把握して
共生を進めている農園なのだそうです。

世界にはいろいろな茶園があるのですね。
様々な取り組みがあるのですね。