茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

茶叶

2008年11月30日 | Weblog
杭州のコンビニ、可的便利店で
緑茶のペットボトル見つけました
源叶緑茶2.8元、約40円
あとは
利趣抹茶なる抹茶ラテ、3.8元、約55円
抹茶慕斯味なる抹茶味ポッキー、7.5元、約100円
中国のペット茶って、何茶かな~と
とっっっても楽しみにゴクンすれば

甘っ!
「アジアでは緑茶にお砂糖が」
というのは重々承知しておりまする
でも
ちゅ、ちゅ、ちゅーごくでも~

よく見れば、
真正茶叶泡制・充分自然・含点滴真正蜂蜜
とありました
NESTEA、NESTLEさんです
そのコンビニには5種類の緑茶ペットボトルがありましたが
全部「低糖」でした
もっと大きいスーパーで
甘くないお茶のペットボトルを求めたら
キリンさんの「生茶」が登場~


もちろん茶館も繁盛していて
茶葉でお茶を飲む習慣はあるわけですから
中国発甘くないお茶ペットボトルを作る必要はないのかも?
いえいえ
杭州の亀仙人は
日本に学ぶべき点が多々あると言っておいででした
日本は若い人の生活スタイルの中に
しっかり日本茶を定着させていて素晴らしいと

ペットボトル茶なんてダメだーとか
急須でお茶はもうダメだーとか
日本茶業界でのそんなバトルが思い起こされてしまいましたが・・・
日本、尊敬されているんです
茶文化山の亀仙人と茶産業山の亀仙人と
ぜひ仲良く共にパワーアップしていただきたいです

ところで
「茶叶」って、うっかり茶汁かと思っていたら
「茶叶」とかいて「茶葉」のことなんですって

新字源によりますと
「叶」は「協」の古字でもあり、
十人の人の意見が一つに合うの意味
新漢語林によりますと
多くの人の言葉と言葉が調和するの意味

「茶の葉・言の葉」の「葉」が中国では「叶」だなんて

「叶う」という言葉の意味を改めて認識できて
それだけでも杭州行ってよかった!

ひとりで頑張っていてもだめ
多くの人と調和するとき
夢が叶うんだね

急須で龍井

2008年11月29日 | Weblog
渋谷にある「華泰茶荘」という中国茶館で
私は初めて本格的に中国茶をいただきました。
その頃は、
中国茶=ウーロン茶という認識でしたので、
コップに揺れる中国緑茶は新鮮で
大変やわらかい口当たりに、
なにやら奥深いものの予感を感じていました。

今回杭州で指導を受けた緑茶点前も
コップを使うものでした
コップに龍井茶を入れ、そこにお湯を注ぐ
コップの中に漂う茶葉を避けてお茶をいただく・・・
でもね、どうしたって
口に入るんですよ、お茶の葉が
食べていけないものではないわけですが
なんか落ち着かなくて。
急須で淹れてみたい!
という思いで帰り着き、
さっそく急須でいただいた龍井茶は
おいしいし安心
いいじゃん?でもね

教科書的にはですね
陶器は味や香りを吸収しやすく移しやすいので
ガラスがよいのです
そして急須で一回ごとにあけきってしまって
一煎目二煎目という二つの味ではなく
少し飲んだらお湯を足す
という風にして、
お味の微妙なうつろいを楽しむのです
だから
陶器の急須でもガラスの急須でもなく
コップがよいのです
それが茶葉にあったベストな茶器なのです

杭州での授業中、
絶えずお湯のサービスがありました
席に着くとすぐに蓋碗(蓋つきの大ぶりなお湯飲み)が出され
始終やかんをもった人がテーブルを回っていて、
飲みきらないうちにお湯が足されるのです
これなら、蓋で茶葉をよければよいので
お茶の葉が気になりません
でも、
両手を使わないとお茶が飲めないなんて
授業中めんどーという感想も耳にしました

やっぱり
コップがベストなのです

行く先々で
コップ茶を飲む人の口元を見ていました
おねえさんもおじさんも
きれいに難なく飲んでいるではないですか
しかも
飲み口に葉っぱがべったりなんてこともなくて

使っている唇の神経の数が違う!?!
中国の人アタマいいあるよ
しばらくコップで龍井、はまりそうです
うつろいを味わえるように

素晴らしい中国

2008年11月28日 | Weblog
飛行機の窓から見えた杭州の大地は
整然と区画された畑が並び
一区画ごとに3階建て位のかわいいビルが建っていました
空港に迎え出てくれた通訳のT君の説明によると
だいたい家族で一つのビルを所有し
3世帯とか4世帯とかが一緒に住んでいるとのこと
農家さんたちのおしゃれな家なのだそうです
「すべての国民に農地を」政策進行中
中国すばらしい

朝6時、ようよう西湖畔も白々としてくると
待ってました!
太極拳のお爺さんが一人二人
そしてあっという間に
湖畔はお祭りの夜のような人の数
霧の濃い朝の湖畔での太極拳
大人数の静と動
少しすると
そこここに集まって今度はトランプ
お年寄りが本当ににこにこと元気元気
「人間、年をとることは自然なので、
 それが『老人問題』だと騒がれるのは
 よくよく世の中がゆがんでいるからなのです」
という日本社会への住井すゑさんの言葉を思い出しました。
この活気と高らかな笑い声溢れるお年寄りのコミュニティには脱帽
中国すばらしい

画像はお茶を頼むともれなくついてくるおつまみ
春巻き、カボチャのお餅、栗、お饅頭、しょうがの葛湯、
すいか、みかん、ザクロ、めろん、キュウリ、ニンジン、
ひまわりの種、カボチャの種、クルミ、アーモンド、
筍の干物、干し大豆、ピーナッツ、ジャイアントコーン、
手羽先、ワンタン、ビーフン、角煮、おこわ等々・・・
茶館という喫茶店のような町の食堂のような空間が
杭州だけでも1000件あるということです
子供づれの家族、アフターファイブのサラリーマン、年配の方々
あらゆる年代のお客様で賑わう夜の茶館
500円位で1種のお茶を頼むと
おつまみから軽食から食べ放題
2時間でも3時間でもお茶をお代わりしながら
小皿を並べ会話がたえません
お酒なしですよ
お茶で紡ぐ
活気あふれるコミュニケーションの場がいっぱい
中国すばらしい

古代から日本は中国に多くを学んできたわけですが
現代もまた学ぶべき点がいっぱいだと
しみじみと感じる場面の多い1週間でした

祈り

2008年11月26日 | Weblog
試験の結果はまだ..
お茶の神様あ~
今日は私の誕生日なのですう~
どうか微笑んでください

今日の課外授業は
念願の茶葉博物館
なあああんと
雲南の陳年餅茶を煎れていただきましたのですです
ホントーに幸せ
え お茶の神様?
プレゼント、こっち?
そ、そんなのなし~
神農帝さま陸羽さまあ~

茶館

2008年11月22日 | Weblog
難しーいご講義
中国茶の歴史や茶道具の変遷など
(ってったって、中国語なので,ちんぷんかんぷん、いいのか~?)
そのあと
龍井茶のお点前実技
きれい!
そして、茶館視察

ニイハオ~

2008年11月21日 | Weblog
杭州に来ました。
明日から缶詰で中国茶のお勉強です。
先生は
中国国際茶文化研究会、
農業省茶葉科学研究所
樹人大学茶学部
から
そうそうたる亀仙人(?)がおいでです。
感動のご報告は帰国後に!


杭州

2008年11月20日 | Weblog
1168年4月3日
栄西は博多の袖湊をあとにし
宋に向かいました。
明州の港に着いたのは4月24日
「澎湃(ほうはい)と寄せ来る波濤に翻弄されつつ
 大海原を一枚板の帆船が進み行く」こと3週間だそうで
あー、こわい
強風の葉山の海に立っていても
見ているだけで怖いのに
みんな、勇者だったのですねー
私はほんの3時間ほどで
ぴょーんと飛んで、その明州に行ってきます

栄西の頃、明州
現在、浙江省東部杭州
その寧波(にんぽう)という港は
遣唐使をはじめほとんどの日本からの船の寄港地です
そして
留学僧たちの行動範囲はさほど広くなかったので
「日本に入ってきた中国文化」といっても
それは
実は浙江文化のことであったようです

もっとも当時の寧波は
日本だけでなく
朝鮮半島や東南アジア諸国、アラビア等との貿易が盛んで
中国全土からの物資が集まっていた都市でもあったので
全国的な物流はあったようですが
浙江文化の伝達という要素が強かったということは
重要なポイントであるようです

新羅・高麗やペルシャの人々が行き交う町
言葉ってどうしていたのでしょう
通訳の最初の最初の最初の人は誰に習ったの?
なんてつまらないことに悩んでる場合ではない・・・

中国茶いっぱい飲んできます
何とか通信できますことを祈って
行ってきま~す





宗旦狐

2008年11月19日 | Weblog
11月19日は宗旦忌
宗旦は利休さんの孫、三千家の祖です。

京都の相国寺境内に
宗旦稲荷というのがあって
このかわいい宗旦狐がいました

宗旦に憧れて
宗旦になりすましては
茶会で茶を点てたり
雲水に化け禅の修行をしては
寺の運営を助けたり
町衆の力になったり
正体はばれているものの
みんなに愛されている狐だったそうです

ある時、
町の豆腐屋さんが
宗旦狐から受けた親切へのお礼で
鼠の天麩羅をつくってくれました
ところが、
これを食べると狐は神通力を失い
犬に追いかけられて井戸に落ちて死んでしまったとか

なんとも哀しいお話ですが
さて、
このお稲荷さんは
何を後世の人に伝えているのでしょう
この狐は
誰かだったのでしょうか
またはこの狐で
宗旦は何をか伝えたかったのでしょうか

宗旦といえば
茶禅一味の精神に熱心に励んでいた人です
禅の公案に
「百丈野狐」というのがあって
そこには
「不落」(因果に落ちない)と
「不昧」(因果にくらまされない)
というキーワードがでてきます

このテーマと宗旦狐の伝説がどう絡むのか
宗旦という人の置かれていた立場を思うに
政治との関わりの中で
お茶をするしかなかった男の方々が
気の毒に思えてしまいました

相国寺の参道の両脇に
ずっっと茶の樹が植えられていました
ちょうど花が咲いていて
這いつくばってクンクンしてきました
あー、いい香り
あー、ほんとうに
私は自由で有り難いと思いました

文献に刻まれてきた茶の歴史の外に
私みたいに軽くて暢気なお茶好きがたくさんいて
そんな無名の一般大衆茶人は
地位ある茶人が求めていたものを
結構簡単に手に入れていたのかもしれません

もってのほか

2008年11月18日 | Weblog
煎茶のお稽古で
「菊香煎」のお点前をいたしました
湯がいた菊にごくごく軽くお塩をしたものを
お煎茶茶碗にとってお湯を注ぐだけ
(画像は菊茶です)
菊の香りが立ち上がり
清々しい気持ちになります

この紫の菊「もってのほか」は
お湯を注ぐとうっすらと紫がひろがって
それはそれはきれい
10月の終わりから収穫が始まる
山形県の名産品です

菊は中国からやってきました
不老長寿の霊草とされていました
奈良時代には日本にやってきて
平安の頃には重陽の節句に菊花酒で邪気を払い
長寿を願う儀式が行われていました

鎌倉時代になり
後鳥羽上皇が菊を大変好み
ご自分の印として使われるようになり
それが
天皇家の菊の紋章の由縁となっています

ですから
天皇家の紋を食べちゃうなんて「もってのほか!」
ということで
この食用菊はこんな名前になったそうです
もともと菊はちょっと苦いですが
「もってのほか」は品種改良された
エディブルフラワー
しゃきしゃきと歯ごたえもよく
香りもよく色もよく
もってのほかおいしい菊です

ネットで販売されていますので
菊茶でも菊酒でも、是非お試しを
お酢を少し入れたお湯で湯通しして
(色が鮮やかになるので)
ざるに空け(しぼらない)
軽く塩を振って
お湯やお茶やお酒にいれてください
または
塩をふらないでポン酢でいただいても
とってもおいしいです!

実際、食用ぎくには、
悪玉コレステロールを抑制するのによいクロロゲン酸、
発ガン予防に優れているヘリアントリオールCとファラジオールが
多く含まれているということが
山形県の衛生研究所で実証されたそうです。
昔の人はすごいですね。

中国

2008年11月17日 | Weblog
これが雲南省の黒茶、
一口飲んだときに
体中の細胞に5千年前の記憶がよみがえった!
運命のお茶です。
ただただ
黙してお茶を飲み
「なにこれ」
という言葉しか出てきませんでした。

お茶の扉がまたドカーン開いてしまったのです。
でも、
中国茶の領域に入るともう大変、
種類は日本茶の比でないですし、
漢字苦手ですし・・・
緑茶もまだまだ何もわかっていないのに

いろいろに自分を抑制してきたのですが
縁ハズカムということで
今週末から中国に行ってきます。

2008年が始まったときには思いもしなかったのに
春には韓国で日本茶を紹介するお仕事が入り
そして一気に韓国の茶道文化に引き寄せられていきました。
そちらも全然勉強が進んでいないままですが
今度は中国であります。

今回は杭州ですが、
いつか雲南に行きたい。
雲南の地図を見ていたら、
昔すぐ近くまで行っていたのだということを発見。
もう20年も前ですが、
チェンマイより北にあるチェンライという町から
車でさらに北上し、
ほぼミャンマー国境あたりまで入りました。
アカ族の村にトイレを作りに行ったのです。
行って初めて気がついたこと、
そうか、まだトイレないんだ・・・
と、大変な思い出のある村でしたが、
鳥居があったり注連縄があったり、
そう!葉っぱをつまんでお湯に入れて飲んでいた!
そんな所でした。
雲南はそのほんのちょっと北。
あの時お茶を知っていたらな~。
「知らない」ということは、
もったいないことです。

亥の子餅(いのこもち)

2008年11月16日 | Weblog
11月は茶の正月
炉開きをする月です
それは亥の月の亥の日(旧暦)が
陰である水の力極まるとき
それで
昔からこの日に炬燵を用意したり
炉に火を入れたりして
一年、火災から逃れるよう祈ったといいます

そしてまた
炉開きの時には亥の子餅というお菓子をいただきますが
これは奈良の昔からおこなわれていることで
期限は古事記に遡ります
むかしむかし
三韓征伐から戻った神功皇后の生んだ応神天皇に
跡目争いの時に神託で猪が加勢したので
その神意に感謝し
毎年猪の月の猪の日に
もち米と小豆でお餅をついてお祝いをしてきているというもの
さらに猪は子だくさんで有名
繁栄を象徴しています

菓子器に並んだ「うりぼう」はなかなかかわいいものです
今年のうりぼうはふとっちょだわとか
ころころでも無病息災が一番よねとか
ますます子孫ご繁栄をとか
そんな言葉が席中にのぼります

ところが
和菓子屋さんから「うりぼう」が消えている・・・
うりぼうでなく、ただの米小豆餅になっている・・・
「亥の子餅」売れないのだそうです
猪というイメージから
お茶関係者以外では買い求める人があまりいない
畳のお部屋が減って炉を開くお稽古場もなくなってきたし
まして亥の日に炉開きができる社中はそんなにない
などなど
お茶人も年中行事や陰陽五行から離れてきているようです

んー、うりぼうの危機です
猪の形をしていると、
そこからいろいろお話がひきだせて
楽しいのにな
来年はどうなっていることでしょう