茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

2010年09月30日 | Weblog
NHKプレミアム8『「100年インタビュー』、
最後の方をちょこっと観ました。
大宗匠がお話されていました。

 今回のゲストは、
 茶道裏千家大宗匠の千玄室(せん・げんしつ)さん(87)。
 千さんは、裏千家の15代家元として、
 国内だけでなく60以上の国を訪ね、茶道の普及に努めてきた。
 そのモットーは、「一碗からピースフルネス(平和)を」。
 出会った人に心を尽くすという茶道の精神を広めるため
 「茶碗の中の緑は地球をあらわし、茶道にこそ民主主義がある」
 と訴えてきたのだ。
 千利休から受け継がれた「茶のこころ」を
 現代に生かそうとしてきた千玄室さんの軌跡と
 その思いを京都・裏千家でインタビューする。

という番組だったのです。
立礼席でのインタビューでした。

私がちょうどテレビをつけたとき、
今の人間関係は、
親と子、先生と生徒というように
間に「と」を立ててしまっている。
親の子であり、子の親である、
先生の生徒であり、生徒の先生であるという関係性が大事、
「の」が大事なんです、
とおっしゃっていました。

「の」!
裏千家ではお茶筅でお茶を泡立てますが、
最後に茶筅をお茶碗から上げるときに、
「の」の字を書きます。
それは、
振っていた茶筅を畳に置くのに都合がよいように
手の角度を調節できるとか、
ふわふわがお茶碗の真ん中に集まって
美味しそうに見えるとか
そんな理由を考えていましたが、
これだったのかあ~と感動しました。

私のお客様、お客様の私。
そんな意識をぐっと込めて茶筅を抜き
お茶碗をとってお出しするならば
まあ~~~、
なんていい感じ。
さっそく、今度、
「の」を込めて一服さし上げたいと思います。

お茶碗、重くて持ち上がらないかも~。

削る

2010年09月29日 | Weblog
新潟は村上のお茶屋さん
冨士美園さんには
お煎茶のお道具もお抹茶のお道具も
いろいろ並べられてありましたが、
このスキーをモチーフにした、というか
そのままこびとのスキー板みたいなお茶杓に
すっかり魅了されてしまいました。

でも、これは先代が削られたお品ということで
非売品でした。
左右きれいに削られた二本の茶杓を手にしていると、
お目にかかったこともない先代のお姿が
奥の囲炉裏に見えたような気がしました。
吹き抜けの町屋の座敷で
お湯の沸く音を前に
茶杓を削っていらしたのでしょうか。

冬には雪がすっかり茶畑を覆い尽くす村上。
北限のお茶作りをなさる方は
スキーをはいて茶の様子を見て回ったことでしょう。
先代の心は
この小さなスキーをはいて畝に入り
お茶の根から葉まで
じっくりと観ていらしたにちがいありません。
ああ、雪の茶畝をすべるこびとの妄想がまた・・・。

茶杓を削るという時間を思いました。
ただ、竹と刃物を手に、
無心になるひととき。
もう、しばらく削っていないなあ。
なんだか生活に余裕がない・・・。
茶杓にしようと思って拾っておいた
いろいろな枝が紙袋に入ってつるされたままです。

そうだ!
お茶の木で茶杓をつくろう!
いいことを思いついてしまいました。
折れてカラカラになっている枝が
ぜーったいどこかに落ちているはず。
ナイフを持って茶畑に行こう。

茶畑労働の合間に
ひっくり返って茶杓を削ろう♪
(なんで、ひっくりかえるんだ・・・)
スキーでなくて、
よし、
鋤(すき)なんて、いっかもお。

紫砂涼炉

2010年09月28日 | Weblog
品川のグランドプリンスホテル新高輪にある
「春風秋月」さんで見つけました。
中国の紫砂涼炉です。
乗っかっているのは巣穴のあるタイプ。
しかも、うしろ手です。
ちゃんと火にかけられます。
・・・
どんなお茶を淹れる時に使うのかしら。
しばし、このお道具につかまってしまいました。

経営者の高さんが
文山包種茶を淹れて下さいました。
大好きなブンサン♪
大いなる期待に負けない
すばらしい香りではありませんか。
うっとり。
鐘5つです~~~。

高さんは、
冬のお茶の方が好きとおっしゃいます。
高さんがお茶を買いつけている農家さんでは
おじいちゃまが毎朝畑を歩き
プチプチとお茶を摘み
家族で製茶しているのだそうです。
立冬前まで、お茶の生産は続くそうです。

わあ~、毎朝、茶畑を歩いて
その日のお茶をつくる・・・
今、私がやりたい生活そのもの♪
鋏は使わないのか聞いてみると
「お茶は手で摘まないと」
それから
「肥料や虫除けはお茶の力を弱くするだけ」
というおじいちゃまなのだとか。

おっしゃる通り!
3煎目をいただく前に
体が熱くなってきました。
ほんの10ccにパワーがあふれています。
畑の元気な葉っぱの表情が目に浮かんできました。
効率も生産量も話になりませんが
よいお茶なら、
こうして日本から買いに来る人がつくのです。

でも、
おじいちゃまのところも後継者はなく、
このまま、
おじいちゃまの道楽で終わってしまうそうです。
畑はどうなるのかしら・・・
農業茶ポーター海を越えるになって
台湾に飛んでいきたい思いです。

釜炒り抹茶2

2010年09月27日 | Weblog
がぶがぶ飲みたい釜炒り抹茶について、
九州の茶坊主様が
お店の方にお尋ね下さったそうです。

===

さて、釜炒り抹茶の工程ですが、
最初の蒸すか炒るかの違いだけで、
大きくは変わらんばいとのこと。
ライン上の機械の工夫が少々違うらしいです。
まず摘んだ葉に熱を加えて発酵を止めます。
この作業は、殺青と言いますが、
釜炒り茶の場合は、炒青というらしいです。

普通の抹茶でも釜炒り抹茶でも、
どちらも、碾茶まで仕上げて、
石臼でひいて粉状にするのは変わらないとのこと。
摘んだ葉を大型釜で炒ったのち、
風を当てて、くっついている葉をバラバラにし、
熱を加えて乾燥させ、
石臼でひいて粉状にするなり。

おやじさんは釜で炒ることを
さかんに「やく」という表現を使っていたなり。
炒ることをやくというなり。
釜炒り茶が明代1510年代に嬉野に伝来したときから
この基本技術はあるらしいです。

===

ありがとうございます!
大型釜ってどのくらいなのか、
葉を炒る温度と時間は?
そして、なによりも、
いつの頃のお茶を摘むのでしょう。
どんなお茶?
露天のお茶?被せたお茶?覆い下なのかなあ。

明代からある技術というのは、
どこの部分のことでしょう。

「やく」というのはおじさんの言葉なのかしら、
もう少し広範囲に使われている言葉なのでしょうか。

などなど、またご訪問なさるとのことですから、
このあたり、是非ともよろぴくです♪

日向薬師

2010年09月26日 | Weblog
去年は埼玉県の高麗で
見事な曼珠沙華を見てきました。
日韓の関係なども学んできました。
今年は茶畑の近くにあるという
日向薬師近辺の群生地を訪ねました。

日向薬師は
伊勢原市にある高野山真言宗のお寺さんで
開山は行基という
8世紀から続く古刹でした。
しかも、
柴折薬師(高知県大豊町)・米山薬師(新潟県上越市)とともに
「日本三大薬師」に数えられているとか。

薬師ときけばもう、
え?お茶?
どっかにお茶?
な気分になってきます♪
ルンルンと車を走らせていると、
白いけむりが・・・
今時、焼き畑?
稲刈りで忙しく働く方々と
その後の雄大な山、
目の前の曼珠沙華の赤。
感動しているうちに暗くなってしまい
お薬師さんまでたどり着けなかった・・・。

あとで調べてみると、
お寺に残る梵鐘は、
952年に村上天皇から賜ったものとありました。

村上天皇といえば皇服茶
空也上人が病気退散を祈願して
疫病に苦しむ人々にお茶を振る舞ったのは951年のこと。

それから毎年、
梅と昆布を入れたお茶をお正月にいただくということを
慣例にした村上天皇です。
お茶の効用に大いに感動している村上天皇です。
空也祈願の翌年に
東国のお寺さんに鐘を贈っているのだから
お茶だって贈っているかも~。

またまた日向薬師さんへ行くのが楽しみになりました。
今度は歩いて
道道のお地蔵さんから
お茶の話をきいてみましょう♪


純金緑茶

2010年09月25日 | Weblog
佐渡と言えば金山。
佐渡茶研修の翌日に連れて行っていただきました。
佐渡金山は、
1601年から平成元年まで388年間も続いた歴史があり、
この間に採掘された金は78トン、銀が2300トン!
って、これがどのくらいか想像がつきませんが、
総延長が約400キロという坑道の断面図は、
まさに蟻の巣のようで
人間だってすごい・・・と見とれてしまいました。

見学コースは、
ディズニーランドの「カリブの海賊」みたいで、
人形の人足達が当時の労働の様子をリアルに伝えています。
地下深く掘るため、排水技術が高まり
これが農業にも活用されて、
お米の増産にも大きく寄与したそうです。

狭く暗い場所で最大限の効果を上げるために
様々な道具を開発し、
人を組織し、役割を分担し、管理し、
岩がやわらぐように祈る神事を司り・・
本当に人ってすごいなあと
意外なところで大いに感動してしまいました。

お土産やさんには
金箔茶がいくつかありました。
多かったのは金箔入りの昆布茶。
どうして?
おめでた系でしょうか。
せっかくなら、
お正月や祝事用に
上級煎茶にはらりと金箔をおとしたらいいのになと
思いました。

画像のお茶は
粉末緑茶と金箔が材料と記されてありますが、
どこのお茶かはわかりません。
芭蕉が朝宮で詠んだ句が添えてあるから、
(「木がくれて茶摘みも聞くやホトトギス」)
朝宮茶かしらなんて思ってしまいます。
金粉茶だけのためにでも
佐渡で上級煎茶をつくったらいいのになと
残念に思いました。
そして、銘は「世阿弥」とか「風姿花伝」とか「観世」とか
どうかなあ~。

釜炒り抹茶

2010年09月24日 | Weblog
お棗の蓋をあけると
こおばしいお茶の香り。
ずずっと末客まで届きます。
お茶の色は白っぽく、
茶筅で点てると、
生卵を撹拌したときにように
より白く泡立ってきます。

お茶碗を手にすると
つい深呼吸して
まず香りをいただこうという気分になります。
そしてゴクリ。
美味しい!
ごくごくごくり。
あー、おかわり!と
お茶碗を差し出したくなるようなお茶でした。

お月見で
お団子やらお大福やら
甘いものをたくさんいただくような時には
釜炒り抹茶はぴったりかもしれません。
さっぱりしていて、
たーくさん飲めちゃいます。

4~5年前にも
嬉野の釜炒り抹茶を購入したことがありますが、
その時は、
ただ苦く、色も茶がかっていて、
これは単に釜炒り茶の粉茶だから、
釜炒り抹茶の名前は止めた方がいいと思ったものです。
でも、今回のお茶は、
是非、また購入して
がぶがぶといただきたいと思いました。
釜香の具合がちょうどよかったところを
ゲットしたのかもしれませんが、
製法が変わったのかもしれません。
「独自の製法」だそうです。

一般の煎茶は蒸し製で、
生葉を蒸して酸化を止め、揉みながら乾燥していきますが、
釜炒り茶は、
炒って酸化を止め、揉んで乾燥していきます。
どの工程をどう独自に工夫して抹茶っぽくしたのでしょう。
「独自の製法」研修ってないかなあ。
あ、企業秘密のことかあ。

お茶のこだわり舎(や)
嬉野釜炒り茶生産者直売

わが心

2010年09月23日 | Weblog
「わが心ペケペケに似たり」
という色紙をつくりました。
満月に見立てて丸く穴を空けて、
そこに佐渡で出逢ったふくろうちゃんを差し込んだ
3Dな色紙です~。
さあ、ペケペケは何でしょう~に対して、
「明月」まではでましたが
正解は「秋月」であります。

出典は『寒山詩』です。
 「吾心似秋月
  碧潭清皎潔
  無物堪比倫
  教我如何説」

「吾が心秋月に似たり、
 碧潭清くして皎潔たり。
 物の比倫に堪ゆるは無し、
 我をして如何が説かしめん。」
と読みます。
「私の心は秋の名月に似て、
 青々とした深い水のように透明で汚れがない。
 これにならぶことのできるものは他に無い。
 私はこれをどのように説明すればいいのか分からない。」
『茶席の禅語』の説明です。

私の心は透き通っていますと詠んでいるのです。
しばし、対峙して、すごいなあと思ってしまいます。
寒山さん寒山さん、貴方の心は秋月のようなの?
うん、そうだよ、僕の心は秋の月のように透明で汚れがないよ。
秋月の光ってのはね、
深い碧の池の中まで射し込んでいってね、
どこまでもどこまでもくまなく照して、
清くすき通った光を放つんだ。
光はすごいんだよ。

浄智寺の朝比奈和尚は
「心に妄想や邪念のない人間本来の清浄無垢な心を詠っている」
と言っておいでです。
光は仏様のようであり、
でもそれは人間本来の心であるのですね。
色紙に穴を空けながら
寒山さんと話をしている私は妄想だらけだけど。

ふくろうという名を持つ人のお誕生茶会でした。


光を呼ぼう

2010年09月17日 | Weblog
茶畑に通うようになって
「新茶」って何だろうと思うようになりました。
お茶の畝に覆い被さっていた
蔓系の葉っぱ達を取り去ったのは一週間前です。
その後に、雨も降ってくれましたが、
またまた
やわらかな黄緑色の芽が
ウイウイと出ているではありませんか。
摘みたい摘みたい♪

茶畑に行く度に
柔らかな芽は出ている。
毎朝、その新しい息吹を摘んで
今日のお茶をつくって飲むことができたら・・・
あ~~ん、そんな生活がしたい♪
季節によって変わるお茶の声に耳を澄まして
いろいろな製茶方を工夫して
さまざまなお茶の味を引き出してみたい♪

私は保育の仕事もしているのですが、
茶畑に来たときの気分は、
ひよこぐみさん(年少さん)の部屋の扉を開けた時みたい。
ウイウイウイウイと
生命力が充ち満ちていて
甘酸っぱい香りがして
こちらも100%になれる!

深呼吸をすると土の匂いがいっぱい。
小雨の落ちる茶畑で
八木重吉さんの詩を思い出していました。

 ひかりを呼ぼう
 ひかりをつつむものをほころばそう
 こぼれてくるひかりをうけよう

中学1年の時の担任の先生の年賀状に
この詩はありました。
その時に、とても好きだと感じて、
その後、何度か思い出すことがあって、
そして、今、たまらなく素敵だと
感じました。

小さな子の笑顔も
お茶の新芽も
光のように
いつもどんな時も
希望と勇気を与えてくれます。

お抹茶遊び

2010年09月16日 | Weblog
築地の「うおがし銘茶」さんから
秋のイベントのご案内をいただきました。
その中に、
「型破りな抹茶道具の見立て」とあり、
わくわくが高まってきました。

抹茶には、
茶道のツールとしての抹茶と、
飲食物としての抹茶があると思いますが、
ケーキなどに使われる抹茶が
自由に可能性を拡大しているのに対して、
飲み物としての抹茶は、
茶道のイメージを引きずっていて、
きちんと茶筅で点てなくてはいけませんという縛りが
販促の足を引っ張っているような気がします。

シェイカーで混ぜたって、
エスプレッソマシーンを使ったって、
おいしいのになあと思っています。
さて、うおがし銘茶さんは、
どんな型破りを見せてくれるのやら
とおっっても楽しみです。


≪ 茶遊会・秋 ≫ ーお抹茶遊び-

10月4日(月)~ 9日(土)
10時 ~ 17時
お一人さま 500円

・社員が見つけた『みたて展』  -入札販売-
  型破りな抹茶道具の見立てを披露します。
        
・お濃茶...ことのは特級・お菓子付 
・抹てぃーに...抹茶カクテル
・日本一おいしい有機栽培抹茶
  『ことのは 金印/銀印』を一服・お菓子付  
    (金印は先着60杯までとさせて頂きます。)
・築地新店限定煎茶 ≪茶の実倶楽部≫を一杯

これ、ぜーんぶで500円ですよ。
行かねば。

築地新店茶の実倶楽部 
   住所 東京都中央区築地2-11-12         
   電話 03-3542-2336 


画像は、禅寺での四頭茶会のお道具。
うおがし銘茶さんのイベントとは関係ありません。