トーク・アバウト・アメリカン

トークアバウトボーラ→300C→アメリカン。最近はアメリカからだいぶ外れてきています(笑)

40兆円企業

2009-08-20 22:20:00 | 欧米かっ!(Europe and the U.S. )
今回は超メジャー企画。ウォルマートの時間です(笑)
ウォルマートはサム・ウォルトンが、1962年にアーカンソー州(日本の国土の三分の一にわずか270万の人口)のロジャーズに一号店を開店以来、半世紀が経たずして年間の売り上げ高が4056億ドル(40兆円)に達しました。

アメリカの小売業としてはかなりの後発で、しかも個人商店からスタートしながら、国家を超える企業にまでの急成長を遂げる事が出来たのは、創業者のサム・ウォルトンがルーラルエリア(過疎地)の無競争地帯で数十店舗を素早く展開した方が、けた違いの資本効率が得られる、という事を早くから見抜いていた点、また、物流システムを基盤としたEDLP=エブリデイ・ロープライス政策による、圧涛Iな低価格訴求力に起因しています。
この圧涛Iに低価格で、「適時・適品・適量」の品揃えを成立させるのは、米国防総省を凌ぐと言われる世界最大級のデータベースに基づく情報ネットワーク・システムと在庫管理システム、サプライチェーン・マネジメントといった、卓越した店舗支援体制にあります。
同社の物流システムの重視姿勢は今年年頭に退任した前CEOのリースコット氏は物流出身ですし、また新任CEOに同じく物流出身(物流エグゼクティブ・ヴァイス・ブレジデント)のマイケル・T・デューク氏が就いた事からもわかります。
余談ですが、こんな話を思い出しました。旧日本軍は、明治に兵站部門を「後方(裏方)部門」と呼んだ時点で敗北してたと。
downウォルマートの会員制ホールセール(卸売り)クラブであるサムズクラブ。コスコ(日本名コストコ)みたいなものです。

戻しまして、このように強すぎれば強すぎるほど、同社が成長すればするほど、社会的影響力が増し、反発も先鋭化していったわけですが、転機となったのは2005年。
アメリカ南部をハリケーンのカトリーナが襲った時に、ウォルマートは政府の緊急事態管理局よりも素早く2450台ものトラックを救援活動に投入し、各方面から賞賛されました。磨き上げられた物流システムが国家を超えた威力を発揮したのです。

ウォルマートは昨年、スローガンを「オールウェイズ・ロープライス(毎日低価格)」から「セーブマネー、リブベター!」(節約して良い暮らしを!)に変更しました。
この変更は「安さ」のみを訴えるだけでは企業の責任を全うできなくなり、「良い暮らしを!」と言う「持続可能性」を企業戦略に取りこまなければならなくなった事を象徴しているように思います。