去る12月23日16時から18時半ごろまで、平塚市・市民活動センター会議室にて
第14回クラブカンファレンスが開催された。
クラブ側からは眞壁社長、左伴常務、大倉強化部長、雲出事業部長が出席。
サポーター側は100人以上は参加し、席が70前後しかない会場は立ち見含めて満杯になった。
時間にして2時間半、メモを頼りに文章へおこしてもけっこう長くなるので、強化関連とそれ以外とに分けて記事にします。(強化関連は別の記事)
事前質問とそれに対する答え、そしてその後の席上での質問とそれへの応答の順に掲載します。メモ&記憶頼みなので、素で抜け落ちている部分もあるかもしれません、その場合はご容赦を。
なお、席上の発言でも、「こりゃ本当にここだけの話だな」と主観で感じた部分は書いていませんが、今回はトピック自体が「ここだけの話」というのはなかったです。
まず、11/1から執行役員常務になられた左伴繁雄氏から挨拶あり。
左伴氏は日産自動車に79年に入社。主に人事畑を歩んだ後、01年9月~07年6月の6年間横浜F・マリノスで社長をしていた。その後、日産プリンス神奈川へ進む。厚木在住で、この度、「泥沼から顔をやっとあげたら目の前で火の車が回っている」(真壁社長発言)というベルマーレの状況ながらも本人の強い申し出があり、日産から完全に離れてベルマーレに入社したとのこと。現在53歳。なお、日産車体の社長とも懇意とのこと。
(左伴氏)
「マリノスになかった夢を叶えたくてここにきた。まず、どのクラブも収入がないと選手を養えない。マリノスでは能活→奥・中澤、俊輔→久保・岡田監督と移籍金を使ってやり繰りしたこともあるが、それ以外は親会社頼みであった。親会社頼みの姿勢は後出しじゃんけんにすら感じる。対してベルマーレは株主・スポンサー・サポーターの3者だけでやっていこうとするすばらしいクラブ。
Jの世界にいた時、自らは親会社頼みである一方でそのベルマーレのすばらしさゆえ、ベルマーレのことは敢えて見ようとしなかった。
スポンサーとの関係やCS(顧客満足度)、事業の質をもう少し上げたい。
役職に拘らず、このクラブが自力歩行していくための手助けをしたい。」
【強化関連の質疑応答】別の記事
【経営関連の質疑応答】
(1)来季スポンサーの新規獲得・継続の状況は?
「J1優勝の鹿島ですらよくない状況。反町新監督だから料金を高くできるわけではないが、そのネームバリューも生かしながら営業展開したい。」
(2)今季のメインスポンサー撤退による影響はどのくらいあったか?
「2社合わせて2.5億円の影響。内、2億を補填したかった。1億は持株会で補填できたが、もう1億は某社への増資割り当てを目指すもできなかった。オファーに応えて移籍金を得られる選手はいるが、持株会へ出してくれたお金のことを思えば、10年前の経営危機のように経営の為に選手を売ることはしたくない。」
(3)A-LINEとのサプライヤー契約は継続?
「継続される。」
(4)来季の集客増員計画などの具体案は?
「昨季と比べて、平均28%増の観客動員(5,994人/試合)。増加率は33チーム中4位であった。
但し、これでも平均動員は26番目。7,000~8,000人の動員があると臨場感があり、満員に感じるので、来季も平均7,000人以上の動員を目標とする。
Jリーグによる調査の結果、1グループあたりの平均来場数が1.2~1.3人と33チーム中最下位に近い状況。家族連れが少ないこと、そして女性も少ないことも悪しき特徴となっている。なぜ今こうなのか、はアンケート等を通してでも是非知りたい。
また、後援会がないことも観客動員にマイナスだと感じている。前は後援会があったが、その後に当時の河野会長主導によって、サポーターズクラブ会費に強化費支援の性格を含めることにして後援会を解消してもらってからはないままである。もう一度立ち上げてほしいところではあるが、クラブ主導でするわけにはいかず、どこが主導で立ち上げるか、という問題もあり、難しい。
来年3月をめどに各種グループによる応援のための受け皿としてのユニオン(仮称)の立ち上げを図り、そのユニオンに各地域のロータリークラブなどいろいろなグループで登録してもらうことを考えている。現在、団体入場も少ないが、ユニオンを活かして増やしたい。
稼がせてもらう、というスタンスをストレートに出したい。そして、J1に上がることがステータスである、という認識を根付かせたい。」
(4)来季のメディア戦略の構想は?
「神奈川新聞、TVKとスポンサー契約できたので、それを活かしたい。今までのメディア露出度ゼロに近い状況から幾分でも改善していきたい。」
(5)「MARE創刊から1年半経過、現在の収支状況は?」
「500万円使って250万円の収入、残りは持ち出し。その差をどう埋めるかが課題だが、廃刊にはしない。」
(6)今年度のベルマーレ12の会員数・目標達成度および来年度の目標会員数は?
「発表の通り、今季は目標の1万人を突破した。しかし、約6割が無料会員であり、有料会員の目標達成度は100%に満たない。無料会員の方に少しでも多く有料会員へと切り替えてもらえるかが課題。
なお、来季はJリーグの11ミリオンプロジェクトの一環で会員カードのICカード(ワンタッチパス)化を行う。来季のカテゴリーが最後まで決まらなかったことと、今回よりJリーグからの案内発送となったこともあって発送が25日と遅くなり申し訳ない。」
【競技場・クラブハウス関連の質疑応答】
(1)馬入のクラブハウス及び本社事務所移転に関する現状は?
「今年はJ1昇格の為のスタジアム改修の問題が最優先であった為、クラブハウス関連で具体的な動きはなかった。但し、皆さんによる請願が市議会で採決されたにもかかわらず、多目的棟建設以降動きがない状況はよくないので、引き続き行政にあたっていく。」
(2)平塚競技場のネーミングライツ導入の予定は?
「ネーミングライツを売る気は行政側にもある。もしネーミングライツが施設改善につながるのならばクラブも協力するが、現実はなかなかそうはならず、行政側の収入どまりになりがちである。
日産スタジアムは5億円だったが、某所は800万円で落札と、相場が崩れている為、今ネーミングライツが効果的とはいえなくなっている。」
(3)平塚競技場の改修の予定は?
「J1基準に対して、規約上は現状でもOKだが、実際の審査上は立見席をなくす(値段との釣合いもあり)、大型ビジョンをつけることが必要となり、平塚が全国で恥をかかない為にも行政側へ引き続き改修を求めていく。また、屋根については、増設も大事だがむしろ雨漏りをなおしてほしいと今行政側にお願いしている。」
(4)入場時の手荷物検査は実施しないのか?
「Jリーグからは実施するよう指導があるが、決してマストではなく、費用の問題もあるので実施していない。」
【その他の質疑応答】
(1)ホームタウン拡大の構想はあるか?
「ある。西はフットサルクラブの活動もあって大井、松田、南足柄を考えており、しかも先方も具体的に是非を考えてくださっているところもあると感じる。東は海老名、そして大和を考えている。」
(2)女子チームを発足させる計画はあるか?
「検討はしている。ただ、トップチームよりもむしろ中学年代が女子チーム不足の深刻な問題を抱えている。ベルマーレのジュニアチームに女子が所属するなど小学年代はまだいいが、中学年代になると県内ではベレーザの下部(メニーナ)に入れないと他でプレーするところがなくなってしまう。せめてクラブチームで中学までできるところをつくれないか検討しているが、活動場所が問題となっている。」
(3)ダンデライオン解散後、新応援歌をつくる計画はあるか?
「ない。」
(4)NPOに新たなスポーツチームを発足させる予定はあるか?
「まずはフットサルチームを立て直さないといけない。西湘地域はフットサル振興が遅れているので、フットサルを興したい、という趣旨から小田原をチームの本拠地とした。今は数人の日系ブラジル人頼みのチームではなく、選手を育てることに主眼を置いている。アジエル・リンコンらがフットサル経験があるが、反町監督もフットサルに興味をもっており、サッカーに活かせないか考えている。
なお、1月下旬(25日)の小田原での試合は、3,000人満員計画を立てており、皆さんにも是非きていただきたい。」
※「クラブのおカネは厳しい状態。我々も頑張るが、皆さんも1日でも多く1人でも多くスタジアムへつれてきてもらうことで協力してほしい。」
【席上の質問に対する応答】
(1)40周年記念のヒストリーユニフォームの話は以前の話の通りすすめていたが、デザインの問題などがあり結局実現をあきらめた。
(2)駐車場の問題は観客動員増に伴って深刻化すると考える。誘導での不手際はクラブの担当に伝える。また、場所を増やすことも必要。近隣の工場の敷地を貸していただくことも考えているが、万一の場合の責任など障害も少なくない。
(3)アカデミー(育成・普及)部門のカンファレンスは7月に行ったところ好評であった。来季は1人強化部から地域担当をつけて地域の指導巡回にあたらせる。
(4)アウェイバスツアーは、昨年までクラブが直接やっていたのを今年は代理店にお願いして実施した。山形には4台出すことができたが、個人的には10台くらい出るくらいでないといけないと思う。また、実施にあたっては行楽期の場合にバスを確保できるかの問題もある。まだ具体的には来季のことは考えていないが、代理店と相談しながらより前向きに進めていきたい。
(5)ベルマーレ12のアウェイゲームでのポイント加算は、リーグと相談中である。また、別途雨の日ポイントをつけられないかという意見も頂戴している。ワンタッチパスシステムは走りながらシステムをつくっている段階だが、アウェイ観戦状況はクラブとしてもほしい情報なので、できれば実行したい。
(6)クラカンの話のWeb上での公表は、指標などできることはしていく。しかし、ギリギリの話をしているので、全てを公表するのはやはり厳しい。
(7)前座試合については、現状の各地域持ち回りの小学年代の試合という形式が各地域のサッカー協会には好評であり、それを観戦にくる父兄の動員も見込めるので、現状をあまり崩したくない。ただ、ご意見いただいた芸能人対抗フットサルのようなイベントも時には実行を検討していいのかもしれない。
(8)ユニフォームへの選手名入れは、現状はコストがかかるため実施していない。ユニフォームの面でも経費削減は不可避であり、ある時期には同サイズのユニフォームを翌年別の同サイズの選手へ着まわすということもやっていた。サプライヤーの意向、そして選手用ユニフォームへのマーク代のクラブ側の負担と販売用ユニフォームへのマーク代というクラブ側の収入とのバランスも見ながら、検討したい。
(最後に・・・左伴氏)
このカンファレンスの一部始終を聞いていて、クラブ側・サポーター側双方の間に「お金のないクラブ」という暗黙の了解があるのだ、と感じた。一方で、売上を伸ばせそうだ、という可能性も感じた。
このクラブで稼げる営業マンは何人いるか?という発想。人でつくスポンサーも、拡販を約束するスポンサーもある。一方で知恵を出すクラブ、社会福祉活動をやっているベルマーレがある。神奈川新聞とTVKは私自らが担保となってスポンサーになっていただいた。マリノスは域内に600社あるが、そのうち5%しかスポンサーになっていただけていない。一方、湘南は域内に2,000社もあり、まだまだスポンサーの潜在需要を掘り起こせるはずだと考えている。
短期的な収益改善にはスポンサー収入が第一であるが、皆さんにはお知恵拝借と口コミをお願いしたい。その上で、我々は稼げる営業を目指す。
また、カンファレンスの最後になるが、
大森営業部長が年明けよりJリーグからの名指しの指名を受けて出向となり、雲出事業部長が営業部長となることが発表された。
大森さん、思えば9年前はGKコーチでしたね。出向を通してのご活躍、ご祈念します。