中村城跡の紅葉の花
前々回に前福島県知事 佐藤栄佐久氏の対談を見て彼の著書「知事抹殺」は是非とも読んでおきたいと思い早速購入しました。 どうやら彼は子供のころから反骨精神がおおせいだったようで小学校の時にストライキ(本人談)、高校では野球部の応援をさせない学校に腹を立て授業をサボって応援に行ったら3年生のほとんどが付いてきたとか、おもしろいエピソードが紹介されている。 大学は東大法学部、時あたも60年安保闘争真っ盛りではあったが栄佐久氏はノンポリだったとか。 しかしこの時代の息吹を存分に味わってきた彼の精神はしっかりと鍛え上げられていたのでしょう。
2003年4月14日・・・・この日東京電力のもつすべての原発(福島10基、柏崎刈羽7基)が運転を停止した。 東電の全原発が停止した瞬間でした。 この原因は原発の度重なる事故と、情報隠しなど電力側の責任によるものですが、佐藤知事が県民を守る立場から電力や国の対応と責任を厳しく追及、改善をせまった結果でもありました。
そもそもの始まりは1989年に東電第2原発3号機で起きた原子炉の冷却水再循環ポンプ内部に30kgにも及ぶボルトや座金の脱落事故でした。 事故は1月6日に警報が出て手動停止したものですが、実は前年暮れから3回もトラブルを起こしており当日も警報が鳴りっぱなしで7時間も運転を続けていたのです。 しかもこれら一連の事故はこの日まで隠し続けていたものでした。
ところがこの事故の情報は福島原発から東京本社、そこから通産省、通産省資源エネルギー庁から福島県、最後に地元富岡町にとどく有様。 県も富岡町も原発に対し何の権限も持たず、傍観してるより他無かったのです。 「目の前にある原発に、自治体は全く手が届かない」と知事が思い知った事件でした。 さらに事故説明に県庁を訪れた東電の池亀原子力本部長が「安全性が確認されれば炉心に流入した座金が回収されなくとも運転はありうる」と発言し自治体や県議会の猛反発をうけることになりました。 こんなことがあって佐藤知事は「同じ目には2度と遭うまい」と考え原子力発電や原子力行政について県としてエネルギー問題検討委員会を立ち上げ、多くの専門家、原発推進、慎重、反対など様々な立場から意見を求め、その開催数は30数回に及びました。 県民をないがしろに「国策としてブルトーザーのように強引に原発を押し進める」電力と国の原発政策と戦う理論武装でした。
佐藤知事がこの大事故のとき現職だったらどのように行動したのかみたかったものです。 「知事は日本にとってよろしくない。 いずれ抹殺する。」といった東京地検特捜部検事のことば通り逮捕されることになりますが、この裁判の話もなかなか興味深いものです。 皆さんも是非一読されることをお勧めします。
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