一人ぼっちの金木犀

風に乗ってどこからともなく甘い香りが・・・金木犀です。ついヒクヒクと鼻を動かし、香りの元を探してしまいます。

ご近所に大きな金木犀がそびえるお宅があり、毎年この時期には香りのお裾分けを頂いているの。

こぼれ落ちそうなくらい満開ですね。



このお宅の主は、鼻眼鏡を掛けロッキングチェアーに揺られ、編み物をしているのが似合いそうなおばあちゃんでした。

物静かなおばあちゃんは、いつもりんごを見てニコニコ笑っていたんだ・・・

りんごもそんなおばあちゃんが大好きだったようで、お散歩の途中には何度か寄り道をしていました。

　りんごちゃんは幸せな子やちゃ・・・

いつの間にか庭先でフセをし寛ぐりんごです。そのおばあちゃんも今年、天寿を全うされ町内にはまた一軒、空き家が増えたのです。

一人暮らしだったおばあちゃんの家には、何度か大きなトラックが来て荷物を運んでいました。

遠くで暮らす娘さんでしょうか？おばあちゃんに似た感じの方が、忙しそうに動いているのを見ています。

　一人ぼっちの金木犀



この家はこれからどうなるんだろう？大きな大きな金木犀はどうなるんだろう？本当に寂しい町内になったもんだ。

大きな金木犀は主の居なくなった家を守るかのように、今年も甘く幸せな香りを放っています。

　あっ、おばあちゃんの香りだ！



甘い香りはお空のりんごにも届いている事でしょう。そしてあずきちゃんにもね。

　睡魔を誘う香りだニャ～　



深まる秋の空に金木犀のオレンジ色が映えます。ヒクヒク・・・鼻を動かせば、おばあちゃんの優しい笑顔に会えそうですね。



　金木犀を眺めていたら、トンボが飛んできました。

このトンボは・・・りんごちゃん？それともおばあちゃん？少し不思議な気持ちになった秋の一日です。

叶う事なら大きな金木犀はこのままずっとここで、寂しくなった町内を見守って欲しいな～

　おばあちゃんはお空でもニッコニコ～！　りんごより　

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