玉川高島屋には、ナショナルの電器屋さんがあります。
正確には「パナ電器」ですが、昭和ナショナルなカンジ。
百貨店の電器屋というと、品物もちょっとで「ぱっとしない」印象がありますが、
ここはすこし変わっています。
ぱっとしないことに変わりはないですが、ぜんたいてきにウッディな作りで、
しかも年季が入っていて、なんとなく雑然としていて、すこし暗い。
たぶんキッチン製品の実演用に台所があって、
でも飲みさしの湯飲みと急須があって、
ふつうに店員さんの給湯室になっている。
なんというか、デパートの中の電気屋なのに、
親戚のウチみたいです。
ナショナル製品しか置いてないので、価格競争をしている風でもない。
いちおうナショナルなので、まぁひとしきりのカデンはここで買えるわけです。
そしてナショナルなので、とりあえず品質は「間違いがない」。
高島屋(本館)の客層が求めているのは、こういうお店なんですかね。
ハッピを着たメーカーの販売員もいなければ、特売のポップもない。
ただ静かな店内に、デニムのエプロン(制服だ)をしたおじさん(店員さん)が、座っている(立ってない)。
なんともギラギラ感のない、でも街の電器屋さんほど悲壮感のない、
のんびりした雰囲気が、すっかり気に入ってしまったのです。
やたらと電池の減りのはやいラジオのACアダプターを買いに行きました。
電圧とプラグが合えば使えるはずですが、
念のためラジオを持参しました。
おじさんはすぐに最新のアダプターを出してくれましたが、
「まてよ…」と、眼鏡をぐっと額に押し上げて、プラグをチェック。
「これ、外がプラスだ。逆だね」
「逆?」
「古いもんだから。さいきんはみんな、外がマイナスで中がプラスなんだけど。
変わったの。でもこれは逆だ。合うヤツがあるかどうか、調べてみます」
おじさんはPHSを取り出し、どこだかに連絡。
待つことしばし。
「合いそうなヤツの在庫がありそうだから、見てみますね」と奥に。
合いそう?ありそう?どこに電話したんだろう?
待つことしばし。
そしてこのアダプターを出してくれました。
おじさんはその場で開封して、コンセントに差し、動作確認。
「電源、入りますね」
「入りますね」
「はい」
「よかった。じゃぁこれを」
「はい。2500円になります」
ものすごくデッドストックなこのパッケージ。
ていうかこれは「デッド」じゃなくて、ふつうにストックか。
15年は前だとおもうなぁ。
でも、パッケージに印刷された価格は変わらず、2500円。
ね。いいでしょう。