ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

Panasonic、ACアダプタ。

2007年06月03日 | blog

玉川高島屋には、ナショナルの電器屋さんがあります。
正確には「パナ電器」ですが、昭和ナショナルなカンジ。

百貨店の電器屋というと、品物もちょっとで「ぱっとしない」印象がありますが、
ここはすこし変わっています。
ぱっとしないことに変わりはないですが、ぜんたいてきにウッディな作りで、
しかも年季が入っていて、なんとなく雑然としていて、すこし暗い。

たぶんキッチン製品の実演用に台所があって、
でも飲みさしの湯飲みと急須があって、
ふつうに店員さんの給湯室になっている。

なんというか、デパートの中の電気屋なのに、
親戚のウチみたいです。

ナショナル製品しか置いてないので、価格競争をしている風でもない。
いちおうナショナルなので、まぁひとしきりのカデンはここで買えるわけです。
そしてナショナルなので、とりあえず品質は「間違いがない」。

高島屋(本館)の客層が求めているのは、こういうお店なんですかね。

ハッピを着たメーカーの販売員もいなければ、特売のポップもない。

ただ静かな店内に、デニムのエプロン(制服だ)をしたおじさん(店員さん)が、座っている(立ってない)。

なんともギラギラ感のない、でも街の電器屋さんほど悲壮感のない、
のんびりした雰囲気が、すっかり気に入ってしまったのです。



やたらと電池の減りのはやいラジオのACアダプターを買いに行きました。
電圧とプラグが合えば使えるはずですが、
念のためラジオを持参しました。

おじさんはすぐに最新のアダプターを出してくれましたが、
「まてよ…」と、眼鏡をぐっと額に押し上げて、プラグをチェック。

「これ、外がプラスだ。逆だね」
「逆?」
「古いもんだから。さいきんはみんな、外がマイナスで中がプラスなんだけど。
 変わったの。でもこれは逆だ。合うヤツがあるかどうか、調べてみます」

おじさんはPHSを取り出し、どこだかに連絡。
待つことしばし。

「合いそうなヤツの在庫がありそうだから、見てみますね」と奥に。

合いそう?ありそう?どこに電話したんだろう?
待つことしばし。

そしてこのアダプターを出してくれました。
おじさんはその場で開封して、コンセントに差し、動作確認。

「電源、入りますね」
「入りますね」
「はい」
「よかった。じゃぁこれを」
「はい。2500円になります」

ものすごくデッドストックなこのパッケージ。
ていうかこれは「デッド」じゃなくて、ふつうにストックか。
15年は前だとおもうなぁ。

でも、パッケージに印刷された価格は変わらず、2500円。


ね。いいでしょう。