犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国で加速する犬食禁止論議

2023-04-17 22:57:30 | 韓国雑学

写真:引退した盲導犬を引き取った尹大統領夫妻

 4月12日、韓国の「ニュース1」は、尹錫悦大統領夫人の金建希氏が、最近、大統領官邸で動物保護団体の関係者との昼食の席上で、

「犬食を、今の政府の任期内に終わらせるよう努力する。それが私の務めだと思う」

と語ったと報じました。

 すると、他のメディアも追随記事を載せ、にわかに「犬食の是非」がクローズアップされました。

 この件、前の文在寅(ムン・ジェイン)政権の時も話題になったことがあります。

犬鍋が禁止される?

 2021年9月、愛犬家として知られる文大統領が側近に

「もう犬の食用禁止を慎重に検討する時が来たのではないか」

と話したときです。このときは、文大統領の指示で「犬食用問題議論委員会」が設けられ、議論されましたが、結論を出すには至りませんでした。

 韓国には犬食文化の長い伝統があり、補身湯(ポシンタン=犬鍋)の愛好家も多く、また犬食業者の生存権がかかっているため、禁止に対する反対意見も根強かったからです。

 今の尹大統領は、文前大統領に劣らない愛犬家。

愛犬家、尹錫悦

 大統領に当選した当時は、犬4匹、猫3匹を飼っていたとのことですが、今では犬6匹、猫5匹に増えているそうな。昨年12月にも、引退した盲導犬を引き取ったとのことです。(冒頭写真)

 大統領夫人の発言が報道されると、政界は色めき立ちました。

 「ニュース1」の続報によれば、14日、与党国民の力のテ・ヨンホ最高委員は、犬や猫を屠殺処理して食用に使用したり販売する行為を禁止する内容を盛り込んだ「動物保護法改正案」を代表発議。

 一方、野党共に民主党は、すでに発議されている「動物保護法改正案」に加え、党独自の「犬食用禁止法」を、「孫興民(ソン・フンミン)差別予防法」と呼んで、差別化を図ろうとしています。

 孫興民は、イングランド・プレミアリーグ、トッテナムで活躍するサッカー選手。2021年のマンチェスターユナイテッドとの試合で、マンUの選手とトラブルを起こしたとき、マンUファンからSNSで「犬でも食ってろ」との「人種差別発言」を受けたといって、韓国メディアで騒がれたことがあるのです。

「孫興民、犬でも食べてろ」人種差別した英国のファン12人結局謝罪…中には63歳の男も

 野党は、韓国における孫興民人気にあやかって、「犬食禁止法」に孫興民の名を冠したわけです。

 ただ、犬食禁止議論は、古くは1988年のソウルオリンピックのときからの長い歴史があります。若い人たちはもう犬を食べませんが、それでも「法で禁止するのは反対」という意見も根強い。

 与野党一致した法改正ではありますが、成立するかどうかは予断を許しません。

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