犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

日本語学習熱

2019-12-09 23:45:39 | 言葉
 少し前の朝日新聞に、「日本語学習熱がいちばん高いのはオーストラリア」という記事がありました(リンク)。

 国際交流基金では、海外の日本語学習事情について、定期的に調査をしていて、その最新の調査の速報がプレスリリースされ、それを記事にしたようです。

 速報は、こちら(リンク)で見ることができます。

 それによれば、2018年度の日本語学習者が多い国上位10傑は、次の通り。

  国   国内学習者
1 中国     1,004,625
2 インドネシア  706,603
3 韓国     531,511
4 オーストラリア  405,175
5 タイ     184,962
6 ベトナム   174,461
7 台湾     170,159
8 米国     166,565
9 フィリピン   51,892
10 マレーシア  39,247


 これを見ると、学習者数は中国がダントツですね。

 しかし、中国やインドネシアはそもそも人口が多い国なので、それに比例して日本語学習者数が多く出るのは当たり前。単位人口あたりで計算する必要があります。

 以下は、人口10万人当たりの日本語学習者数。

1 オーストラリア 1621
2 韓国                1029
3 台湾                722
4 タイ                 281
5 インドネシア    267
6 ベトナム          184
7 マレーシア      121
8 中国                72
9 米国                50
10 フィリピン      48

 こうすると、こんどは中国が8位に下がり、オーストラリアが1位に躍進します。朝日新聞が根拠にしたのもこの数字です。

 でも、オーストラリアの日本語学習者比率が高いのには、事情があります。オーストラリアの日本語学習者は、97%が中等教育以下(小中高)の生徒で、ほとんどは義務的に日本語を学ばされている生徒なのです。

 これは、インドネシア(95%)、韓国(81%)も同じ。

 義務として学ぶ生徒が多くても、「学習熱が高い」とは言えないような気がします。やりたくないけど、しかたなく勉強している生徒も多いでしょうから。

 では、どのような数字を見れば、「学習熱」を測れるのか。

 まず、高等教育(大学)や、私教育(日本語学校)で学ぶ学生の数です。大学は、ほとんどが選択科目なので、大学で日本語を選んでいる学生は、ある程度学習意欲があると言えるでしょう。また、学校教育以外で、市中の日本語学校に通う人も同様です。

 さらに、日本に留学している学生。

 目的は就労という場合も多いでしょうけれども、日本でいい仕事口を見つけるためには日本語力が必要であり、留学生は概ね日本語学習熱の高い人と言えそうです。

 高等教育・日本語学校で日本語を学ぶ生徒と、日本に留学している生徒の数の合計を、単位人口(10万人)当たりで推算したのが以下です。

1 台湾      504
2 ベトナム   229
3 韓国      224
4 タイ      94
5 中国    76
6 マレーシア  67
7 オーストラリア 47
8 フィリピン   44
9 米国     24
10 インドネシア 14

 すると今度はオーストラリアが7位に落ち、台湾、ベトナム、韓国が浮上します。

 ベトナムはよくわかりませんが、台湾、韓国については、これまでの駐在や出張の経験から、現地の「日本語学習熱」を実感することができました。

 上の分析から、世界一日本語学習熱が高いのは、オーストラリアではなくて、台湾と言ってよいでしょう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 慰安婦像を撤去せよ、水曜集... | トップ | カメルーン出身の青年 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

言葉」カテゴリの最新記事