犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

日韓でスコットランド戦応援を!

2019-10-13 15:08:03 | 韓国雑学
 ワールドカップでの日本代表チームの活躍で日本中が湧いていますが、韓国は、出ていないのであまり関心がない。それでも、日本代表チームの中に韓国人選手もいるので、それなりには報じられているのかと思ったら、こんな記事がありました。著者は、在日韓国人のスポーツライター。

ヤフー・ニュース10/13(リンク
韓国でラグビーW杯日本代表・具智元の活躍はなぜ報じられないのか

韓国記者が語った衝撃の理由

スポーツライター 金明昱

「韓国ではラグビーはほとんど関心がないんです。日本代表の活躍と具智元(グ・ジウォン)選手が少しずつクローズアップされたことで、ラグビーワールドカップ(W杯)の盛り上がりを知る人がほとんどでしたよ」
 普段から仲良くさせてもらっている韓国大手ネットメディアのスポーツ担当記者の言葉は衝撃だった。
 ちなみにこの記者も「日本代表に韓国人選手がいるとは知らなかった」と言っていたくらいだ。それくらい韓国ではラグビー人気がない。
 もちろんW杯に韓国代表が出場しないということも関係しているだろうが、日本でラグビーW杯が開催されることさえも知らなかった人がほとんどだという。
 そうなれば日本代表でプレーする具智元選手のことさえも、もちろん知るはずがない。
 その記者に日本の快進撃と具智元の活躍ぶりが、日本で大きく報じられていることを伝えると、「韓国で具のことをたくさん報じるのはかなり難しいかもしれない」と言っていた。

日本の快進撃の報じ方に困る?

 その理由は具に日本代表という肩書があるからだろう。
 「具選手の活躍が報じられる記事を見て、応援するラグビーファンは多いが、その逆もしかりなんです」とこの記者は少し困っていた。
 具の活躍ぶりをクローズアップしつつも、それが日本の快進撃につながったという内容であれば、一部の国民感情を逆なでしかねないということだろうか。
 ただ、ラグビーはそうした“国”のしばりがないスポーツでもある。
 ラグビーで国家代表になる条件は、「出生地が当該国である」「両親および祖父母のうち一人が当該国出身」「当該国で3年以上、継続して居住している」こと。「他の国の代表歴がない」という前提条件で、これを一つでも満たせば、その国の代表になれる。
 韓国記者も「韓国でラグビー人気や認知度が低いので、そもそも具がどのようにして日本代表になったのかは分からないでしょう」と語る。
 実は具の父も日本でプレー経験がある。父・東春(ドンチュン)さんは韓国代表の伝説的プロップ。日本のホンダヒートの前身である本田技研鈴鹿でプレーしていた。
 具が日本でラグビーに取り組んだのは、そんな父の影響もあった。具は兄とともにニュージーランドに留学し、中学2年で来日している。
 高校時代は日本文理大学附属高に進学し、全国高校ラグビー大会には出場できなかったが、当時から注目されていたという。高校日本代表に選ばれたことで、将来は日本代表でW杯に出ることを目標にしてきた。
 拓殖大学ラグビー部では1年から活躍し、大学在籍時にサンウルブズでプレー。2017年11月のトンガ代表戦で日本代表デビューを果たしたあとは、日本に欠かせない存在に成長した。

韓国出身のラグビーW杯日本代表は具が2人目

  あまり知られていないのだが、韓国人選手がラグビーW杯の日本代表になったのは具が2人目だ。 

 韓国から日本にラグビー留学し、昨年度で近鉄ライナーズを引退したスクラムハーフの金哲元(キム・チョルウォン)氏が、2007年ラグビーW杯の日本代表に(現在は日本国籍)選出されている。
 ラグビー韓国代表も、今回のW杯に出場するチャンスはあった。
 「アジア最強」の日本が開催国になったため、アジアに配分された本戦出場の1つの枠を韓国代表も狙っていた。
 だが、ラグビーW杯のアジア地区予選を兼ねた「2018年アジアラグビーチャンピオンシップ」で香港に敗れて準優勝。
 仮にこの大会で優勝していれば、「アジア・オセアニア」のプレーオフに進出でき、さらにここで勝利すれば、ラグビーW杯日本大会出場を賭けた最後の試合「敗者復活最終予選」(カナダ、香港、ドイツ、ケニアが出場。カナダが出場権獲得)に出場できた。
 ただ、アジアでは香港に敗れてそのチャンスさえも失い、韓国でラグビーの注目度が高まることはなかったわけだ。

韓国の実業団ラグビーはたったの3チーム

 ちなみに韓国にラグビーの実業団チームは、現代グロービズ、ポスコ建設、韓国電力公社のたった3つしかない。
 それともう一つ、「国軍体育部隊」のいわゆる軍のラグビーチームが存在する。
 前出の記者は「社会人になってラグビーを続けたくてもこれしか受け皿がなければ、実際、続けるのは難しいでしょう」と語る。
 実業団1チームの選手保有数を23人に制限しているのも厳しい。日本のトップリーグには1チームにその倍はいる。それだけでも、実力差は歴然だ。
 つまり、韓国ではジュニアからラグビーを始めた選手の中で、大学卒業後もラグビーを続けられるのはごく一部に限られるということだ。これでは韓国代表の実力の底上げも難しいだろう。
 ちなみにこの4チームが年間で争う「コリアンラグビーリーグ」が2018年、大韓ラグビー協会主導の下、新たに導入された。しかし、このリーグは15人制でなく、7人制で行われているという。
 3月から11月にかけ、計4回にわけて大会が開催されることで、試合数は増えたが、15人制でないことからラグビーW杯などの国際大会で競争力をつけるには限界がある。
 より高いレベル、環境でラグビーをすることを求めた結果、「具智元選手のように実力のある韓国人選手が、隣国の日本でラグビーを続けることを選択したとしても、それは自然の流れだと思います」(前出の記者)。
 それこそ日本代表としてプレーする具のW杯での活躍は、韓国ラグビー界により刺激を与えるものだと思うし、これを機により具への理解が深まってほしいとも思う。
 それがスポーツが持つ力であり魅力だ。
 今日13日、日本代表はベスト8入りをかけ、スコットランド代表と1次リーグ最終戦を戦う。具の活躍が韓国内でもっと知られることで、ラグビーへの関心がより高まることを願うばかりだ。


 韓国は、国策として、オリンピックで金メダルがとれる可能性のあるスポーツしか支援しないので、韓国がラグビーで強くなることは今後も難しいでしょう。

 でも、ほんとうに、韓国ではラグビーがぜんぜん報じられていないのかと思って、韓国語のページを検索してみると、確かに本数は少ないものの、具智元選手に関するこんな記事がありました。

 日本在住25年のヤン・ウンシムさんという韓国人の連載コラムです。

日本の代表に韓国人が?...  「多国籍競技」ラグビーの魅力

【中央日報】2019年10月10日(リンク

 外国に暮らしていると、「韓国人」、「韓国系」、「韓国出身」という言葉に敏感になる。ニュースで取り上げられる有名人となれば、なおさらだ。国際大会に出場する選手、あるいは外国の実業団チームで活躍する選手たちは、それだけで外国暮らしの人たちに勇気を与えてくれる。

 最も印象深かった選手は、フィギュアスケートのキム・ヨナだった。もともとフィギュアスケートが好きだったこともあり、大会のある日は、テレビ中継が始まる前に仕事をすべて終え、誰にもじゃまされずに、集中して観戦した。それだけで生活にハリができた。

 2019年ラグビーワールドカップが、9月20日から11月2日まで、日本で開催されている。日本は、ロシア、アイルランド、サモア戦を勝ち抜いた。ロシアとの最初の試合の日、わが家の居間では、長男が夢中で歓声を上げていた。そして勝った。アイルランドとの試合中継を見られなかったことを残念がった。世界ランキング10位の日本が、世界ランキング1位のアイルランドに勝つなんて、想像もできなかったそうだ。しかし、日本チームは勝った。このときも、私は日本チームに韓国人選手がいるということを知らなかった。今考えると、かえずがえすももったいない。幸せを感じる瞬間を逃したからだ。

 ある日、フェイスブックに、日本代表チームに韓国出身の選手がいるという話が載った。とまどった。 ラグビーの国家代表選手の条件が「国籍」だけではないことは知っていたが、韓国人選手がいるとは思いもよらなかった。何を隠そう、私はスポーツの門外漢だ。少しでもラグビーに興味があれば、日本の実業団チーム「ホンダ」に韓国選手がいることを知っていただろう。その選手の名前は、具智元(ク・チウォン、25歳、Honda Heat所属、ポジションはフロップ)である。

 写真を見ると、えくぼがかわいい選手だ。家族の経歴を見ると、韓国代表を務めた父のク・トンチュンさんもホンダチームで活躍しており、兄のク・チユン選手も、現在ホンダのチームに所属しているそうだ。

 ラグビーチームの決まりを知らなければ、「あれが日本チームなの?」と思うだろう。さまざまな人種の選手がいるからだ。その理由を詳しく調べた。ラグビーワールドカップは、サッカーワールドカップやオリンピックとは異なり、国籍がなくても国家代表の資格が得られる。

 条件は、
1. 本人がその国で生まれた場合
2. 親や祖父母の中に、その国の出身者がいる場合
3. その国に3年以上住み続けた場合(2020年末から5年に延長)
上記の条件の一つ以上を満足させたうえで、
4. その国以外の国の代表として、公式大会に出場したことがない場合
である。

 この独特な決まりが適用されている理由は、大英帝国時代にさかのぼる。英国はラグビーの発祥の地だ。大英帝国は、植民地にラグビーを広めた。そして植民地出身でも代表チームに入れるようにしたのが、今日に至っているそうだ。

 さまざまな国の出身の選手が、同じユニフォームとエンブレムをつけて、試合に臨む。2015年に続き、二度目のキャプテンを務めるリーチ・マイケル(Michael Leitch)はニュージーランド出身で、高校の時から日本で活躍している。父はスコットランド系ニュージーランド人、母はフィジー出身だ。高校のときに日本に来たので、人生の半分以上を日本で過ごしたことになる。

 つまりこの選手は4か国のルーツを持っているのだ。日本代表チームは、まさに「多国籍・多文化」チームだ。日本、韓国、トンガ、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア、サモア出身者で構成されている。もちろんこれは日本チームだけの特徴ではない。他の国のチームもほとんどが多国籍チームである。それでこそ「地球村のラグビーチーム」と言えよう。

 日本代表チームの登録選手は31人だ。選手構成を見ると日本出身の選手は15人、外国出身が16人で、うち外国籍の選手が7人だ。半分以上が外国出身の選手というわけだ。その中に韓国の具智元選手も入っている。具智元選手は、小学校のときラグビーの強豪国であるニュージーランドに留学した経験があり、中学2年生のときに日本に渡り、高校、大学のラグビー部で実力をつけた。

 今回のワールドカップでは、これまでの3試合のうち、ロシア戦とアイルランド戦に出場した。13日の日曜日には、スコットランド戦がある。これに勝てばベスト8進出だ。具智元選手が出るとはかぎらないが、出場しなくても私は応援する。韓国人選手が一人いるということだけで、そのチームは「ウリチーム(わがチーム)」となった。

 2015年にイングランドで開催されたワールドカップは、日本にラグビーブームを起こした。ラグビーを知らない一般の人まで興奮していたという記憶がある。さらに外国人である私までだ。スター選手の誕生が起こした効果もあったが、ラグビー文化を着実に育んできた土台があってこそだ。

 ラグビーワールドカップの決まりは、大英帝国時代の事情に合わせて作られたものだが、世界の国々の境界が低くなりつつある今日、あらためて考えると、とても先進的なルールではないかと思う。 多国籍・多文化選手で構成されるそれぞれの国家代表チームは、国際化社会の良いモデルである。彼らの活躍を通じて、国籍や人種を越えた社会を作るヒントを学んでほしい。

 日本のパルガン(8強、ベストエイトの韓国式表現)進出を、日韓の国民がいっしょに応援してくれることを願います。
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