犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

天満の夜

2011-09-14 22:49:17 | 飲む

 久しぶりに大阪で飲みました。

 テレビ会議システムの利用が奨励され、大阪出張が少なくなったのはありがたいことですが、食い倒れの街、大阪での飲食機会が減ったのは少々残念です。

 今回は月曜早朝の大阪での会議に備えて前泊。これまた久しぶりに大阪の知人と会うことに。日曜日の夜とて、ビジネス街の店はどこも休業。大阪環状線で一駅、「天満」に行きました。

 駅周辺の飲み屋街は、開いている店も多い。立ち飲みや、お好み焼き、やきとん、回転寿司…。

 路地を一回りしたあと、やきとんの店に入りました。少し前に東京、江戸川橋で行った店に似た庶民的なお店。モツ刺し盛り合わせなんていうのもありましたが、焼き物中心に注文。生ものは「生肝(なまきも)」だけにしました。東京ではレバ刺しということが多いと思いますが、ナマキモは大阪の言い方なのか、この店特有の言い方なのか…。韓国語では同じ漢字で「センガン」と言います。

 事情があって、二年ぶりの再会なので、話が弾みます。私がソウル駐在に行ったときの上司で、ソウルでの夜の手ほどきをしていただいた方でもあります。

「そう言えば、これ、返すよ」

「えっ?」

 差し出された札束は、いろいろ取り混ぜて合計10万ウォン。数カ月前、ゆえあって韓国で建て替えたお金です。

「ちょっと古いお札も混じってるけどね」

 韓国のお札が新しいデザインになったのは、2006~2007年ですから、最近ではほとんど目にしない。

「懐かしいなあ」

 昔のお札は現行のものより一回り大きい。千ウォン札は今は青ですが昔はピンク。

 韓国のお札は紙質のせいか、流通期間が長いせいか、痛みの激しいお札が多かった。電話番号がメモってあったり、破れたところをセロテープで貼ってあったり。

 韓国で、千ウォン札を持って自販機でたばこを買いに行ったとき、お札が痛んでいて、何度入れても機械に受け付けてもらえず戻ってくるのが切なかったことを思い出しました。

 やきとんの店で生ジョッキを4杯ほど空けてから二次会に。梅田方面に歩きます。

「ここは日本一長い商店街でね」

(あれ? ついこの間、会社の同僚が「自分の住んでいるところにいちばん長い商店街がある」って自慢してたのは、確か武蔵小山だったはずだが…)

 そしてそれを聞く前、私は日本一は戸越銀座だと信じていました。

 これを機会に調べてみると…。

武蔵小山:単一の商店街のアーケードとして長さ日本一(約750m)

天神橋筋商店街(天満):直線に連なった複数の商店街のアーケードの総延長で日本一(約2.6キロ)

戸越銀座:直線のみで約1.6キロ。メディアなどで日本一長い商店街と紹介されることがある(が実際は違う)

 文句無しに天満ですね。すっきりしました。

 さて、その長い商店街の中間あたりの路地に、渋めのバーがありました。入ってみると、初老のマスターが一人でやっている洋酒バー。マッカランがあったのが嬉しい。見れば、ボウモアとかラフロイグなどという癖の強い酒もおいていますが、ご主人が好きなのはバーボンとのこと。

 年齢は私と知人の真ん中あたりで、勢い、お酒の昔話に花が咲きます。

 トリス、レッド、角…。私が学生時代にウイスキーを飲み始めたころ、オールドは普通の酒でしたが、以前は滅多に口にしなかったとのこと。

 私が子供のころは、よく飲んべえの親父に千円札を渡されて、「ハイハイニッカ」の大きいやつ(900円)を近所の酒屋に買いにいかされた。当時は年齢確認なんていう面倒くさい制度はなく、お釣りの100円をお小遣いにもらえるのが楽しみでした。

 マッカランからラフロイグへ、ライ・ウイスキー(ライ麦が原料)へと進んだところで、意識が混濁し始めた。

「ジャックダニエルはバーボンじゃなくて、テネシーウイスキーだ」

というマスターの講釈を聞いたことをかすかに覚えています。

 天満から梅田まで歩いてホテルに帰ったのが12時近く。楽しい「天満の夜」でした。


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