ソウルでは再開発が進んでいて、街並みの変化は激しいのですが、ぜんぜん変わらないものもある。
変な日本語の看板です。
今回も、いろいろな看板で楽しませていただきました。
ミョンドン(明洞)には、明洞餃子という老舗があるのですが、その店名のカタカナ表記が
ミョンドンギョヅャ
日本語で餃子は「ぎょうざ」。カタカナで書くときは「ギョウザ」か「ギョーザ」でしょう。
ふつう韓国では餃子のことをマンドゥー(漢字は饅頭)と言います。しかし、この店は店名を「明洞餃子」としているところが異色。そして、韓国語で「餃子」を音読みすれば「キョジャ」になる。日本式ギョーザ+キョジャでギョジャとしたかったのかもしれませんが、「シ」と「ツ」を間違えてしまったようです。
「ヅャ」という表記が日本人にとって異様なのは、まず「ヅ」という表記が存在しないこと。ひらがなの「づ」も、折り詰めとか力強いのような複合語にしか出てこない。現代日本語でカタカナ表記は外来語か擬声語・擬態語にしか使われず、そのような言葉に「ヅ」はありえない。
さらに、拗音の「ャ」は、い段にしかつかない。例)キャ、ギャ、シャ、ジャ、チャ、ニャ…。
う段の文字にはつかない。例)×クャ、×スャ、×ツャ…
別のポスターにこういうのもあった。GS25(旧LG25)だったと思います。
韓国最高のコソビニ
このポスター一枚を見ても、このコンビニが韓国最高でないことは明らかです。
ツとシ、ソとンの区別は外国人には難しいのでしょう。
文字の間違い以外に、訳語がよくわからないものも多い。
ある食堂に、こういうのがありました。
醤油つけあじのカニ
この料理はあじなのか、カニなのか。韓国語を見ればカンジャンケジャンなので、「蟹の醤油漬け」であることがわかります。
同じ店の冷麺の訳がすごかった。冷麺には汁入りのムッレンミョン(水冷麺)と汁なしで辛いビビンネンミョンという二種類があります。そのうち、ムッレンミョンのほうの訳語が
クズ冷麺
この訳を見た日本人は決して注文しないでしょう。たぶん「ミズ冷麺」と書こうと思ったんでしょうね。
シとツ、ソとンはわかりますが、クとミをどうやって間違えるんだろう。
別の店で、ゲテモノ好きの私の目をひいた日本語表記がありました。
るつぼ獣肉
鹿とか熊とか、野生動物を、坩堝(るつぼ)の中で形態がなくなるまで煮込んだ料理が思い浮かびます。
この韓国語の原語は、トガニスユク。
トガニとは、牛の足の関節のあたりの肉で、日本の筋肉よりももっと軟骨っぽい。普通はトガニタンというスープにして食べます。
スユクとは、煮た牛肉のことで、語源は「水肉」とも「熟肉」とも言われます。
トガニスユクは、牛の関節を水煮にして、ポン酢などにつけて食べる酒の肴です。西大門に老舗があって、以前の出張で堪能したことがあります(→リンク)。
トガニスユクがなぜ、「るつぼ獣肉」になるのか。
実はトガニ、スユクは上の語とは別の同音異義語をもつ。それぞれ「るつぼ(坩堝)」と「獣肉」なんですね。
きっと機械翻訳かなんかで出てきた言葉を、なんの疑いもなくそのままメニューに印刷したのでしょう。
試みに、韓国でも普及しているグーグルの自動翻訳で、韓国語のトガニスユクを入力し日本語に訳してみると…
るつぼ獣肉
ドンピシャリでした。
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それにしても韓国の看板日本語は面白いものが多かったことを思い出しました。
その昔、狎鴎亭で看板に“マシサヅ”というカタカナを見つけたときには、ずいぶん頭をひねりました。
“マッサージ”でした。
日本人客を本気で呼び込む気があるのか、ないのか。
褐色の冷麺ですね。正しい翻訳だったのかもしれません。