日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

迷宮は誘う~イル ヴィスキオ@参宮橋~

2013-12-22 21:33:10 | ふさおまき(オス)日記

彼女と彼女のお母さん。

参宮橋駅と背中合わせのイタリアンでお昼ご飯です。

「イル ヴィスキオ」

この小路が参宮橋駅のホームと垂直の方向に伸びています。

つまり店に入ると、奥の窓の向こうにホーム、そして数分後とに電車が通ります。

 

今年春にオープンしたのは気がつきながら、

メニューも出ていない隠れ家ぶりに怖気づき今日まで過ごしてきましたが、

昨日の「チューボーですよ」で、街の巨匠として鳥の猟師風煮込みを作っていたのを見て、

いい機会だと予約をしたのでした。

放映の直後だと無理かな、とおもいつつ電話をかけると、3名なら大丈夫とのこと。

ただ、クリスマスメニューの特別コースだけになるということで、

お腹がインスパイアされた猟師風の鶏は次回に持ち越しです。

 

さて、店に入ると、個性的な空間を建築家が一生懸命考えて作ったレイアウトのようで、

テーブルが3つとカウンターが縦長の空間に配置されています。

ソムリエバッジを胸につけたウェイターさんは、そのあともずっと笑顔を絶やさない、

丁寧な物腰の男性でした。

お料理の説明も一品一品丁寧で、お楽しみくださいという気持ちがたっぷりと込められています。

 

特別メニューは、前菜+パスタ+魚介と肉メインのフルコース、ランチながらゆっくり2時間かけての食事となりました。

前菜は、シェフのスペシャリテだという、煮タコとセロリのサラダ。これが旨みと爽やかさのベストマッチで、

私が野菜で唯一苦手とする生のセロリを、生まれて初めて美味しいと思わせてくれました。

愛媛は八幡浜から直送されたというタイのカルパッチョは、身の弾力も健康的で、

まぶされたカラスミが渋く味を締めていきます。

ポルチーニ茸の揚げ物も、天ぷら的な味の凝縮が豊かな水分と一緒にほとばしって

口に楽しみを広げてくれる小品。

4つ並んだ前菜を頂いただけで、

「イル ヴィスキオ」さんが、私たちのお気に入りイタリアンにランクインしていました。

 

続いて来たパスタは、ちょっと不思議な形。長い直方体をくるりと丸めた、初めて見たタイプです。

歯ごたえは十分。

蝦夷鹿のラグーソースの強靭な味を十分に受け止めます。

 

魚介の皿は、北欧のスカンピ。サフランのリゾットの上に、茹でた甲殻類独特のまろみが

加わります。

 

肉は北海道産の短角牛とのこと。

赤みの芯まで温もったレアな焼き加減で、脂身の少ない均一の肉質が

噛めば噛むほど味を出してくれて美味。その上にフォアグラのソテーが豪勢に脂質のシャワーを浴びせて、

まぶされたトリュフに香りのマジックが潜みます。

 

実に芳醇なコースの構成でした。

余韻に浸る中でのデザートも、

柔らかいチーズとナッツ主体のケーキ、にクリームのお菓子と

甘味にも広がりがあります。

 

店を出た彼女は一言「これまで東京で頂いたイタリアンナンバーワン」

そんなお店が家から徒歩6分にあるのなら、

生活の豊かさが一段と高まったと言えるでしょう。

 

ちなみに店の名前「イル ヴィスキオ」はヤドリギの意味。

テーブルの上にも、店の前にもヤドリギの橙色の身が線香花火のように光を丸くたたえています。

チェックアウトをするとき、

シェフが見送りに出てくれました。

この方がまたお話のうまい、暖かい言葉を使う方でした。

幸せな時間をみんなで持てたことを伝えると、

素直に喜んでくれたので、こちらまで嬉しくなります。

しかもお土産にと、ヤドリギの枝をわざわざハサミで切り取って

渡してくれたのです。

それがこちら。

我が家の玄関に、メリークリスマス。