飯田哲也・金子勝『メガ・リスク時代の「日本再生」戦略 「分散革命ニューディール」という希望』筑摩書房,2020年

著者の一人の飯田哲也氏は認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長。
本書の中で飯田哲也氏が単独で書いているのは「第1章 不可逆的な大転換」。その章の「第3節 日本の再生可能エネルギーの現在」が興味深い。日本は固定価格買取制度(FIT法)(註)をやっと成立させ施行(2012年7月)させたのだが、遅くに導入したのに結果として最悪の仕組みだった。例えば、太陽光発電設備の立地場所についての配慮が欠けていたこと、買取価格を計画認定段階で決める(本邦だけの例外)という欠陥のため、太陽光発電が”太陽光バブル”などネガティヴに受け止められることになった由。
国防の観点からエネルギー自給率を上げるためにエネルギー政策を見直さないといけないと思う。

(註)「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/17720110830108.htm
ただし、その後2018年12月に法改正された。

(参照)「この選挙でエネルギー政策が問われなければならないこれだけの理由」ビデオニュース・ドットコム,2022年06月25日
https://www.videonews.com/marugeki-talk/1107
以上
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横田増生『潜入ルポamazon帝国』小学館,2019年

著者の横田増生氏はジャーナリスト。本書は、第19回新潮ドキュメント賞受賞作品。

読み始めてからたった2日で読み終わった。約350ページだが一気に読める。内容があまりにも衝撃的だから。「労働組合嫌い」かつ「納税嫌い」かつ「情報開示嫌い」な会社の内情を垣間見た感じ。

大昔に読んだ、
・宇沢公文『自動車の社会的費用』岩波新書,1974年
10数年前に読んだ、
・鎌田慧『自動車絶望工場』講談社文庫,1983年
以来のショック。

少なくとも労働法制については、速やかに見直し作り直す必要があると思う。良書。
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山本隆三『電力不足が招く成長の限界』エネルギーフォーラム,2015年

著者は、本書発行時現在、常葉大学教授。

印象に残った文は、 「エネルギー・電力問題は、世界的なエネルギー供給の問題、各国の政策の与える影響、温暖化問題、制度の問題など考えるべき点が多く、それを読み解くには、情報・知識はむろんのこと、知が必要とされます」(「まえがき」p.4)。
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ジェニー・ロジャース著/鶴見樹里・徳永正一訳『決定版 コーチング――良いコーチになるための実践テキスト』日本能率協会マネジメントセンター,2022年3月

コーチングのノウハウは諸刃の刃。その意味で空手(からて)と似ている。”利活用”には充分な注意を要すると思う。
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川北稔『砂糖の世界史』岩波ジュニア新書,1996年

著者は西洋史学者。この本の目的は、砂糖という「世界商品」をつうじて「近代の世界」を見ようとするところにある。砂糖の生産から消費に至る流通の歴史を知ると、カリブ海、アフリカ、ヨーロッパ(とくに英国)がつながっていることがわかる。そして、それぞれの場所で生きて暮らしていた庶民の生活とその変化を知ることができる。語り口が平明で、かつ、おもしろい。良書。
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鳥飼重和監修『その「つぶやき」は犯罪です――知らないとマズいネットの法律知識』新潮新書,2014年

本書は監修者を含め5人の著者が著している。その5人とも弁護士。
深く考えずにweb上にupした文章、写真、動画などが、結果としてさまざまなトラブルの素になる可能性がある。具体的に書かれているのでわかりやすい。web上の書き込みに起因するトラブルを引き起こしてしまう前に読んでおきたい本。良書。
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ジョー・ミラーwithエズレム・テュレジ、ウール・シャヒン/柴田さとみ・山田文・山田美明訳『mRNAワクチンの衝撃――コロナ制圧と医療の未来』早川書房,2021年

ドイツのバイオベンチャーが米国ファイザーと組み、わずか11ヶ月で世界初の新型コロナワクチンの開発に成功した。そのバイオベンチャーはビオンテック社。この会社の創業者/研究者夫妻を中心に書かれたドキュメント。ゆくゆくは文庫になってほしい名著。
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稲垣栄洋『カタツムリのごちそうはブロック塀――身近な生き物のサイエンス』角川文庫,2012年

本書は2008年に家の光協会から刊行された『働きアリの2割はサボっている――身近な生き物たちのサイエンス』を改題し、加筆・修正の上文庫化したもの(本書p.200)。

まず、小林木造氏による本文中のイラストが素敵。
そして、話題となった「働きアリの2割はサボっている」は、本書のpp.110-112に載っている。一見”怠けている”ように見えても、組織内ではだいじな役割を果たしているのではないか、と思いたいところだが、ほんとうにそうかどうか、アリ社会のメンバーに入らないとわからないのかもしれない。
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稲垣栄洋『植物はなぜ動かないのか――弱くて強い植物のはなし』ちくまプリマー新書,2016年

著者は雑草生態学専攻の農学博士。本書のテーマは、生き物の「強さ」とは何か。弱くて強い植物たちの”生きるドラマ”を垣間見みることで、植物への思い込みが覆(くつがえ)る。とくに、5章から7章を読めば元気が湧き出てくるであろう。平易な語り口なので読み易く、かつ、おもしろい。
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宮坂昌之『新型コロナの不安に答える』講談社現代新書,2022年3月30日

同じ筆者による
『新型コロナ 7つの謎』講談社ブルーバックス,2020年11月)、
『新型コロナワクチン 本当の「真実」』講談社現代新書,2021年8月
に続いて本書が出版された。

新型コロナウイルス感染症COVID-19について、日々、新たな論文が発表され、世界の公的機関のデータが更新されている由。本書執筆時での最新データに基づいて本書は書かれている(本書の「はじめに」)とのこと。前著2冊と同じく分りやすく書かれている。素人でも読めるので助かる。

なお、本書が発行された翌日に、筆者によるご講演が、日本記者クラブで開催され、その動画がwebにupされている。このご講演のお話も分りやすい。ご視聴されたし。

動画「著者と語る『新型コロナの不安に答える』宮坂昌之・大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授 2022.3.31」
https://www.youtube.com/watch?v=Zjfy_MiVxgs
以上
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