小嶋勝利『誰も書かなかった老人ホーム』祥伝社新書,2018年

著者は、民間介護施設紹介センター「みんかい」のスタッフ(本書の発行時時点)。老人ホームへこれから入居するかもしれない者の立場からの読書感想を少々記す。第2章「ホーム職員の実態を知る」の情報は有益。第3章「老人ホーム崩壊」の記述中の、とくに介護保険制度の著者の長期見通しについては参考になりかつ考えさせられる。第5章「老人ホームで好かれる人、嫌われる人」は入居者間の人間関係を考える上で有益。本書全体をとおして、有益な情報が多い。良書。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

辻󠄀敢・齊藤幸司『相続税・贈与税入門の入門 令和6年版』税務研究会出版局,2024年4月4日

https://www.zeiken.co.jp/store/book/detail/4847
令和5年の通常国会で成立した改正相続税法が、本文に織り込まれており、読み易い。とくに「暦年贈与」の改正については、2027年から4年間にわたり、毎年、生前贈与の加算対象年数が1年ずつ増えていくことになったため、うっとうしくややこしい気がしてしまう。しかしながら、本書50ページに図により、全体像を一覧することができ分かりやすい。良書。

以下、本書50ページの図の年月日についての備忘録。
この図の年月日は元号年で表わされている。その西暦は次のとおり。
「6.1.1」は、2024年1月1日、
「8.12.31」は、2026年12月31日、
「9.1.1」は、2027年1月1日、
「12.12.31」は、2030年12月31日、
「13.1.1」は、2031年1月1日。以上
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

高乗正行『ビジネス教養としての半導体』幻冬舎,2022年

著者こうじょう・まさゆき氏は1969年生まれ、株式会社チップワンストップ代表取締役社長。
読みやすく、かつ、分かりやすい文章。主張が明確ではっきりしている。たとえば、「半導体なくして世界経済をかたれない理由3つ」(14ページから21ページ)は納得できる。第3章91ページから、1986年7月に締結された日米半導体協定について1節割かれているが、さらっと書かれている。物足りなさあり。第5章で、半導体にかかわる日本国内の産業についての今後について明るい調子で書かれている。好書。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

サミュエル・ハンチントン著/鈴木主税訳『文明の衝突』集英社,1998年

著者(1927年-2008年)は、米国の国際政治学者。
本書は、1996年に米国で発行された
The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order,by Samuel P. Huntington, (Simon & Schuster, 1996)
の翻訳。
「訳者あとがき」の内容がまとまっていて好い。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

スベンドリニ・カクチ『私、日本に住んでいます』岩波ジュニア新書,2017年

著者は日本在住のジャーナリスト。本書の「はじめに」には本書の趣旨、著者の生い立ちと来日してからの生活の変化の様子が具体的に書かれていて興味深い。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

赤瀬川原平『老人力』ちくま文庫,2001年

赤瀬川原平(1937-2014)が、主に『ちくま』1997年6月号から1999年9月号に「老人力のあけぼの」として連載していた文章をまとめた本。
洒落を含んだアイデアが楽しい。とくにはじめのほう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

飯山陽『イスラム教再考――18億人が信仰する世界宗教の実相』扶桑社新書,2021年

著者、いいやま・あかり氏は、1976年生まれのイスラム思想研究者。博士(文学)(東京大学)。
本書は、イスラム教の教義にもとづいて、イスラム教が”平和な、あるいは、穏やかな宗教”ではないことを明示した本。コーランやハディースからの具体的な引用が多く分かり易い記述で納得できる内容。もちろん、現実に実在する多くのイスラム国はイスラム教義を完璧に実行しているわけではないことを示唆している点でも良書。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

石ノ森章太郎『古事記』中央公論社(マンガ日本の古典1),1994年

古事記は上巻(かみのまき)、中巻、下巻の3巻に分かれている。本書の内容は、そのうち”もっとも古事記的、マンガ的”(本書あとがきp.269)な上巻部分だけ。対象とされた時代は神武天皇まで。読みやすく、かつ、おもしろく楽しい。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

奥野一成『ビジネスエリートになるための投資家の思考法』ダイヤモンド社,2022年

著者はこの本が発行された時点で、農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC)常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。
本書は、前著『教養としての投資』の実践編の位置づけ(「はじめに」p.2)の由。
先行きが不透明な現代、「投資」という行為を行うには、「時間」「才能」「お金」「自分という資産」をどう使って行けばよいのか、考え直すきっかけになる本だと思う。
「結果(事業の経済性に関する仮説の構築)に影響を与える本当に重要な部分は情報の2割程度」(p.179)という文が印象に残った。良書。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

川添愛『言語学バーリ・トゥード Round1』東京大学出版会,2021年

著者の、かわぞえ・あい氏は、博士号(文学)をお持ちの作家。
本書中とくに興味深いのは「第9章 本当は怖い『前提』の話」の中の「『前提』を含む主張」についての記述。「『前提』を含む主張」は「誘導尋問」に似ていて「疑いにくい」こと。そしてこのように一見「疑いにくい」ことであったとしても、あためて疑ってみる、ことが大事、とのお説に賛成です。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ