渡辺京二『バテレンの世紀』新潮社,2017年

筆者は1930年生まれの日本近代史家。
かねてから、家康は、なぜキリシタン禁教令を出したのか、その動機、意図を知りたかった。それについて、p.313から始まる「家康はなぜキリシタンを危険視したか」の節が興味深い。すなわち、家康は日本の神仏と一神教との違いを意識していた(p.316)。宣教師たちが禁教の理由・動機を認識していたこともイエズス会総長への手紙でわかる(p.316)。すなわち、禁教の理由を「レザン・デ・エスタード」(国家理性)の発動としている。「何が起こったのか、当人たち(宣教師たち)は承知していた。」(p.316)ことを知ることができた。
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上野景文『バチカンの聖と俗――日本大使の1400日』かまくら春秋社,2011年

新聞報道によれば、ことし(2019年)の末ごろにフランシスコ教皇がご来日される由。バチカンについて知る機会でもある。著者は、元外交官で駐バチカン大使を4年間を務められたかた。カトリック信者ではないとのこと。
この本の面白さは、
・バチカンが世界政治上、どのような地位を占めているか、
・カトリック文化の特徴(とくにプロテスタントとの比較)など”著者独自の文明論”
などを知ることができる点にある。実務家出身者の文章で読み易い。良書。
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