橘玲『言ってはいけない――残酷すぎる真実』新潮新書,2016年

本書は、2017新書大賞を受賞した本。
本書は、著者の「不愉快なものにこそ語るべき価値があると考えている。きれいごとをいうひとは、いくらでもいるのだから。」(本書「あとがき」p.248)との主張に基づいている。

管見による注目点は、
・私たちを「デザイン」しているのは、「現代の進化論」としての進化生物学、進化心理学。すなわち、身体だけでなく、ひとのこころも進化によってデザインされた。(p.4-5)
・移民の言語は次世代で容易に現地化するが、宗教や味覚が親の影響を強く受け継いでいる趣旨(p.219-224)の記述。
・親よりも「友達の世界」のルールを優先することが子どもの本性(p.227)。

(管見)
理想論、建前論は大事だが、それだけでは現実の醜さ、辛さから逃げていることになるのではないか。夢を持ち語ることだけでなく、困難な現実を直視する勇気も要ることを感じさせる。その意味で良書。以上
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岡田暁生『恋愛哲学者モーツァルト』新潮選書,2008年

「はじめに」で書かれているモーツァルトとその父が面白い。この父あってのモーツァルトであることがあらためてわかる。
モーツァルトが創った5つのオペラについての論考が本書の本論。モーツァルトの個性と時代を踏まえたご主張は面白い。5つのうちのどれかのオペラを観る機会があればそのときにまた読み直したい本。
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高見国生『ああ認知症家族――つながれば、希望が見えてくる』岩波書店,2011年

著者は、本書が発行された時点で「公益社団法人認知症の人と家族の会」の代表理事。
”認知症の人の家族”として代表を引き受けた由(pp.43-44)。良書。
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阿刀田高『新約聖書を知っていますか』新潮文庫,1996年

著者はショートショート作家で直木賞受賞作家。
いっぱんに、とっつきが悪く、おまけに、せっかく読んでみても中身がわかりにくいのが(新約)聖書。
本書なら、新約聖書の内容のごく一部だが、すんなり理解できる。索引があればなお好し。すなわち、カテキスタの”教科書”としても使えるのではないか。良書。
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三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか――コペルニクスからホーキングまで』講談社ブル-バックス,2018年

著者は、1944年生れの素粒子物理学者。カトリック名古屋司教区終身助祭。
本書でキリスト教と物理・天文学史とを同時に学ぶことができる。良書。
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佐藤優『同支社大学神学部――私はいかに学び、考え、議論したか』光文社新書,2015年

著者は、1960年東京生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。元外務省国際情報局分析第一課主任分析官。
著者が外務省採用の内定をもらった際、女と酒に注意するよう指示があったことが興味深い。
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岡田暁生『西洋音楽史――「クラシック」の黄昏』中公新書,2005年

一人の著者による西洋音楽史の本は珍しい。
同じ著者による放送大学の印刷教材、
岡田暁生『西洋音楽史』放送大学教育振興会,2013年
と合わせて読むと好い。放送大学の印刷教材には索引があるのが好い。
しかし、おもしろさでは中公新書のほうが勝っていると思う。
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