松本明子『実家じまい終わらせました!大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方』祥伝社,2022年

https://www.sun.s-book.net/slib/slib_detail?isbn=9784396617868
著者の松本明子さんは、1966年生まれのタレント。
本書は、全4章立ての構造がしっかりしている。まず、松本明子さんのご実家(在、香川県)の売却(第1章)がきっかけなっている(ように読める)。第2章から第3章は、第三者(それぞれの分野の専門家)と山本明子さんとの対談で書かれており、こちらも話し言葉で、かつ具体的な内容なので読み易い。第2章は不動産の売却などの取引関連。第3章は遺品整理。第4章は墓じまい。近い将来、ご実家の処分を予定している人は、一読をお勧めしたい。少なくとも心の準備になる。松本明子さんの、昔から変わらぬ明るい性格が好い。良書かつ好書。
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手嶋龍一『ウルトラ・ダラー』小学館文庫,2020年

この小説は、当初、2006年3月に新潮社から出版され、2007年12月に新潮文庫から発行された。それをさらに改稿して文庫化されたもの。

著者は、作家、外交ジャーナリスト。元NHKワシントン支局長。「十五年目の著者ノート」も収録されている。本文は430ページだが、一気に読める。

現在、住民基本台帳と連動しているマイナンバーカードに医療保険の被保険者証の役割を一本化させることに”絶対徹底反対”する人たちが居る。それにも関連するわが国特有の深くかつ昔からのモチーフが本書の底を流れている。
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黒川伊保子『コミュニケーション・ストレス――男女のミゾを科学する』PHP新書,2020年

著者は、ブレイン・サイバネティクスの研究者で株式会社感性リサーチ代表取締役社長(本書発行時点)。
人には「ゴール指向問題解決型」と「プロセス指向共感型」の2タイプのコミュニケーション様式があり、それを踏まえたうえで工夫してお付き合いしましょうね、という内容。本書内で提案されている「ストレス・イーブン」は合理的。「タスク・イーブン」よりずっと説得的と思う。
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國枝すみれ『アメリカ分断の淵をゆく――悩める大国・めげないアメリカ人』毎日新聞出版,2022年

著者は毎日新聞社の記者。
本書14ページの「本書のおもな舞台」の地図が好い。本書は全10章立て。米国内のさまざまな州(12州)のさまざまな町(18市町、郡)には、いろいろな生活、活動や主張をしている人が居ることがわかる。米国内の多様性と、考え方が対立している人々も垣間見ることができる。読みやすくおもしろい。かつ内容は濃い。

いまの米国は種々の社会問題を抱えている。麻薬・ドラッグ(第1章)、人種差別(第2章)、銃犯罪(第5章)、性犯罪(第7章)、移民・難民(第9章)。過去から引き続く社会問題として、原爆報道(第6章)、核兵器開発実験(第8章)があり、地球規模の問題として、尊厳死(第3章)、温暖化(第4章)もある。まとめの章に相当する第10章のキーワードは、Black Lives Matter(BLM)・ドナルドトランプ・情報公開・突撃取材・マネーカウ・our unborn child・「Mからの脱出」・赤から青に鞍替えした州(アリゾナ、ミシガン、ウィスコンシン、ジョージア、ペンシルベニア)・「YOU'RE FIRED」・ファクトチェック・愛国心・多民族多文化が融合した社会と分離した社会の2つの異なる文化が衝突・プロライフ派とプロチョイス派・(オハイオ州)アシュランドのような小さな田舎町。
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