吉野実『「廃炉」という幻想――福島第一原発、本当の物語』光文社新書,2022年2月

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334045890
「東京電力、福島第一原発の廃炉が、30〜40年で完了する」という話、イメージは幻想だ、というのが本書の主張。福島第一原発の廃炉作業の実態(費用を含め)がどうなっているのかを知る必要がある。例えば、「エンドステート」まで300年かかるかもしれない(本書142ページ日本原子力学会「福島第一原子力発電所廃炉検討委員会のレポート「国際標準からみた廃棄物管理-廃棄物検討分科会中間報告-」2020年7月, p.25)(註)。

(註)
一般社団法人 日本原子力学会、福島第一原子力発電所廃炉検討委員会「国際標準からみた廃棄物管理-廃棄物検討分科会中間報告-」2020年7月
https://www.aesj.net/uploads/dlm_uploads/hairohaikibutubunkakai_tyukanhoukokusyo0714.pdf
https://www.aesj.net/pr20200721
https://www.aesj.net/aesj_fukushima/fukushima-decommissioning
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飯田哲也・金子勝『メガ・リスク時代の「日本再生」戦略 「分散革命ニューディール」という希望』筑摩書房,2020年

著者の一人の飯田哲也氏は認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長。
本書の中で飯田哲也氏が単独で書いているのは「第1章 不可逆的な大転換」。その章の「第3節 日本の再生可能エネルギーの現在」が興味深い。日本は固定価格買取制度(FIT法)(註)をやっと成立させ施行(2012年7月)させたのだが、遅くに導入したのに結果として最悪の仕組みだった。例えば、太陽光発電設備の立地場所についての配慮が欠けていたこと、買取価格を計画認定段階で決める(本邦だけの例外)という欠陥のため、太陽光発電が”太陽光バブル”などネガティヴに受け止められることになった由。
国防の観点からエネルギー自給率を上げるためにエネルギー政策を見直さないといけないと思う。

(註)「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/17720110830108.htm
ただし、その後2018年12月に法改正された。

(参照)「この選挙でエネルギー政策が問われなければならないこれだけの理由」ビデオニュース・ドットコム,2022年06月25日
https://www.videonews.com/marugeki-talk/1107
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横田増生『潜入ルポamazon帝国』小学館,2019年

著者の横田増生氏はジャーナリスト。本書は、第19回新潮ドキュメント賞受賞作品。

読み始めてからたった2日で読み終わった。約350ページだが一気に読める。内容があまりにも衝撃的だから。「労働組合嫌い」かつ「納税嫌い」かつ「情報開示嫌い」な会社の内情を垣間見た感じ。

大昔に読んだ、
・宇沢公文『自動車の社会的費用』岩波新書,1974年
10数年前に読んだ、
・鎌田慧『自動車絶望工場』講談社文庫,1983年
以来のショック。

少なくとも労働法制については、速やかに見直し作り直す必要があると思う。良書。
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