杉山大志『「脱炭素」は嘘だらけ』産経新聞出版,2021年

・著者は、東京大学大学院物理工学修士。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹(本書の発行日現在)。
・”地球温暖化危機”説はフェイクである、を前提にして、政府からの温暖化対策予算・補助金に群がる利権構造の存在を指摘している。メディアもそれに便乗している点でいっそう問題と主張する。
・東日本大震災(2011年3月11日)にともなう東京電力福島第一原発事故を受けて立案されたドイツのエネルギー政策は、脱石炭と脱原子力を同時に進めるという”無謀”な方針だった。そのためドイツはロシアの天然ガスに頼ることになったが、これはロシアの立場を強めることになった(p.238)。その結果、2022年2月からの、ロシアとEUやNATOとの軍事上の紛争が勃発した遠因になったわけだが、本書は、それをエネルギー政策の観点から的確に”予感”していたといえる。
・管見では、ロシアを悪者にした、英米によるドイツ、EUいじめのような気がする。
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