手塚治虫『アドルフに告ぐ』(全4巻)文藝春秋,1985年

「著者あとがき」(第4巻末尾)によると、「編集長からのご希望は、徹底的にシリアスな大河ドラマを」ということで、「(著者の)神戸の戦前、戦中の思い出」が「構想」の基になっている由。ヒットラー個人の血筋の件は、あくまでも「説」らしい。詳細はネタばらしになるので、本書をお読みください。「ゾルゲ事件をからませて」いることもあり、興味深く、かつ、全4巻をあっという間に読めた。
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チャップリン『独裁者』米国映画,1940年

出だしから、捧腹絶倒のおもしろいシーン、があるかと思えば、スリルのシーンあり、まじめなスピーチのシーンもある映画。よく動く眉毛と瞳に対して、唇上鼻の下のチョビひげがあまり動かないのが対照的で、これも喜劇のネタか。名作。
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佐藤優『「ズルさ」のすすめ――いまを生き抜く極意』青春新書,2014年

タイトル中の「ズルさ」は、信念に基づく”要領の好さ”と言い替えることが可能と思う。例えば、「直観力」「『違和感』に気づく力」「賢者の時間」「修辞、レトリック――ものの言い方」」「失言しない――教養」「増殖する自己愛型人間」「本物のハニートラップは長期戦」「逃げ方」など、生き抜くヒントが満載。おもしろい内容。
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手塚治虫『ブッダ』(全7巻)講談社(手塚治虫文庫全集),2011年

著者の「あとがき」によると、「(このお釈迦様の伝記は)ほとんどがフィクションで、正確な仏典の漫画化ではありません。」「この作品は、お釈迦様の伝記をかりた、まったくのフィクションといえるでしょう。」「手塚の宗教SF」とされている。
それはそれとして、実在したとされるブッダ(=ガウタマ・シッダールタ=釈迦牟尼)の生涯に触れるきっかけになるのは好いこと。仏教の教祖の生涯を物語る読み物としておもしろい。すなわち、釈迦族の王子として生まれ、16歳で結婚し一男をなしたが、29歳で出家し、35歳で成道(じょうどう)にいたり説法を続け、80歳で入滅した男の一生が描かれている。
この本は評者が住んでいる市立図書館に1冊だけ所蔵されている。何かの縁でこの本に惹かれた人がひとりひとり借り出し予約をして順番に読み継がれている。それ自体が奇跡のよう。合掌。
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