日野原重明『生きていくあなたへ――105歳どうしても遺したかった言葉』幻冬舎,2017年9月30日

著者は2017年7月18日に105歳と10カ月でご逝去された医師。2005年の文化勲章受章者。この本はインタビューにもとづいて書かれた由、この本の「おわりに」輪嶋東太郎氏が書かれている。この本の「企画構成・聞き書き」も輪嶋東太郎氏(本書の奥書)。

(管見)
本書のタイトルに「どうしても遺したかった」との言葉があるが、読後の印象は異なる。本書のキーワードは、「言葉を杖にして」(本書の「はしがき」のサブタイトル)ではなかろうか。以上
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江藤淳『閉ざされた言語空間――占領軍の検閲と戦後日本』文春文庫,1994年

著者は、1933年東京生まれ、1999年逝去。
本書の目次:
第一部 アメリカは日本での検閲をいかに準備していたか
第二部 アメリカは日本での検閲をいかに実行したか
あとがき
文庫版へのあとがき

(管見)先の大戦で敗戦した日本は米国に表面的には約7年の間、占領された。米国の占領政策は、”みかけ”と”実態”が著しくことなっていた。本書は、米国による検閲が米国政府により周到に準備され、実行されたものであることを、米国内にある資料で実証した著作。日本は真の独立国・主権国として立ち直ったのかどうか、いまも怪しい、と思わざるを得ない。
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菅野完『日本会議の研究』扶桑社新書,2016年

著者の菅野完(すがの たもつ)は1974年生まれの著述家。
本書の目次:
はじめに
第一章 日本会議とは何か
第二章 歴史
第三章 憲法
第四章 草の根
第五章 「一群の人々」
第六章 淵源
むすびにかえて
参考文献

(管見)私はすでに、青木理『日本会議の正体』平凡社新書,2016年
https://blog.goo.ne.jp/book_review
を読んでいたので、この本に書かれている骨子は既知であったが、さらに詳細な情報も記載されている。政治運動集団「日本会議」は明治憲法を復活させたがっている由、時代錯誤も甚だしいと言わざるをえない。
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瀬木比呂志『黒い巨塔 最高裁判所』講談社,2016年

瀬木比呂志『黒い巨塔 最高裁判所』講談社,2016年
著者は1954年生まれの元裁判官で現在は某法科大学院教授。専門は民事訴訟法、法社会学等。
まず本書は創作物語、フィクション、小説であって実録ではない旨、プロローグの前とあとがきにも書かれている。舞台は、最高裁判所の事務総局。主人公は判事補、もう数年で判事になる。この主人公が東京地裁に籍を置きながら最高裁の事務総局、民事局局付として民事局第2課で2年間、勤務したときの物語という設定。物語としておもしろく、一気に読める。とくに原発事故訴訟についての裁判官協議会にかかわるシーンが、公害裁判における裁判所の対応との対比で興味深かった。それにしても、裁判官の健康について心配せざるを得ない。
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