先日、横山光輝のアップルボックスシリーズでまだ持っていない2作品を入手した。『四枚の女王』と『金色のキューピッド』という少女漫画作品で、あまり有名な作品たちでは無いが、マニアの間では良く知られている作品だ。横山光輝『愛蔵版初期作品集』というコレクションの中に収録された少女漫画で、僕もこの愛蔵版を持っているが、アップルボックス版は持っておらず、絶版になっている為なかなか最近お目にかかれなかったのだが、先日神保町の夢野書店で発見したので、思わず購入した。
『四枚の女王(クイン)』は、1960年の1月から7月に『少女ブック』に連載された作品で、四枚のクインのトランプに秘められた謎を追うミステリー。謎の老人の予言通り、一枚のクインで願いを叶えた兄が、事故で記憶を失い、密輸団に加担してしまう。しかし、四枚集まったその時、事件は解決するのだった・・・というもの。210ページくらいの中編だが、さすが横山光輝のストーリーテリングで、いつの間にかグイグイと物語に引き込まれていく。
『金色のキューピッド』は、1963年に『少女ブック』に連載された作品。こちらも130ページ程度の中編なので読みやすいが、物語は、大地震に見舞われ、命からがら逃げ出した一組の親子とある男。男は瓦礫の山から一人の少女を助け出すが、彼女は記憶を失くしていた。しかし、その男と、助けた少女には大きな秘密があった・・・という作品。
どちらの作品も少女が主人公の少女漫画でながら、なかなかのサスペンスものになっていて、当時の日活映画に代表されるように、この漫画が描かれた1960-1963年当時のトレンドが色濃く反映されているといえ、歴史的に見てもかなり興味深い。
ちなみに、所有している愛蔵版初期作品集は全9巻で、その内3冊が少女漫画である『四枚の女王』、『母さんふたり』、『金色のキューピッド』となっている。かなり豪華なハードカバー仕様になっているのでこの愛蔵版はとてもおススメだが、個人的にはアップルボックス版も何とかコレクションに加えたいと思っていたので、今回は入手出来てとてもラッキーであった。