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椎名林檎、圧巻のニューアルバム、『三毒史』!

僕の大好きな天才シンガーソングライター/椎名林檎が、5/27でデビュー20周年を迎えたが、この20周年記念日にニューアルバムをリリースした。前作『日出処』から実に5年ぶりの新作だが、まさに痛快なニューアルバムが届けられた。



僕は椎名林檎のファーストアルバム、『無罪モラトリウム』の頃から彼女の大ファンで、そのどこか危うい、いきなりナイフで刺されそうな危険な香りと鋭い目力、“雌”を意識させるエロティズムを兼ね備えた女性イメージにすっかり魅了されてしまい、20歳の女性には到底書けないような、人生を達観した歌詞には度肝を抜かれ、その非凡な才能に衝撃を受けたものだ。まさにあのモーツァルトにも匹敵する天才音楽家、“プリンス”にも匹敵する才能を感じたのを良く覚えている。



そんな椎名林檎も20歳でデビューしてから第一線を突っ走り続け、気が付けば既に20周年。40歳の美しき熟女となった彼女の今の魅力と、そして今回のニューアルバムはデビュー当時の世界観や曲風にも戻ってきたようでもあり、とても尖った、刺激的なアルバムに仕上がっている。




アルバムのタイトル、『三毒史』とは、仏教の煩悩とされる三毒 (貪り(鶏)、怒り(蛇) 、愚かさ(豚)をテーマに、独特な世界観を創り上げている。まずアルバムジャケットが何とも椎名林檎らしいカッコいいデザイン。ケンタウロスに化した鎧の椎名林檎が何とも美しい!



アルバムには下記13曲が収録されている。
1) 鶏と蛇と豚
2) 獣ゆく細道(デュエットw/宮本浩次)
3) マ・シェリ
4) 駆け落ち者 (デュエットw/櫻井敦司)
5) どん底まで
6) 神様、仏様 (デュエットw/向井秀徳)
7) TOKYO
8) 長く短い祭 (デュエットw/浮雲)
9) 至上の人生
10)急がば回れ (デュエット w/ヒイズミマサユ機)
11)ジュ―ダム
12)目抜き通り (デュエット w/トータス松本)
13)あの世の門

このタイトルの羅列を見て貰えればわかりやすいが、まずは真ん中、7曲目の『TOKYO』を中心に、1曲目から13曲目のタイトルに左右対称感が仕鰍ッられており、全て5文字のタイトルとなっているのも見事。



アルバムが、癖のある男性歌手とのデュエットが1曲置きに配置されているという素晴らしい構成も魅力なのでちょっと取り上げてみたい。まずトップバッターはニュース番組”news zero”の主題歌ともなった2曲目の『獣ゆく細道』。こちらはエレカシの宮本浩次とのデュエットだが、なんとも灰汁の強い二人が見事な調和を果たしている。



また12曲目の『目抜き通り』も話題となったウルフルズのトータス松本とのデュエットで、なかなか秀逸な1曲。向井秀徳とのデュエット、6曲目の『神様、仏様』も、初期の椎名林檎曲を思い起こす懐かしい尖ったサウンドなのが嬉しい。かと思えば一転して、浮雲とのデュエットの8曲目『長く短い祭』はコカ・コーラのCMいも起用されたが、東京事変時代のシングルかのような、疾走感のある爽やかなサウンド。そして10曲目の『急がば回れ』は、ヒイズミマサユ機とのデュエットだが、この曲は椎名林檎2枚目のアルバム『勝訴ストリップ』時代の曲風にもかなり似ていて、感激してしまった!



まだ紹介していない4曲目のデュエットをあえて最後に取り上げたい。4曲目『駆け落ち者』は、あのBUCK-TICKのカリスマボーカル櫻井敦司との異色デュエットで、新たにこのアルバムに初収録された新曲だ。この曲、音程が絶妙にずれたかのような(もちろん意図的にやっているわけだが(笑))何とも独特なサウンドで、櫻井敦司のカッコ良く、男臭いシャウトボーカルが椎名林檎のボーカルと見事に調和!なんとも病みつきになる1曲で、デュエット曲の中では個人的に一番インパクトのある曲だ。



そして残りのソロ7曲に就いても少しだけ取り上げてみたい。このアルバムは、アルバム全体が一つの戯曲を創り上げているような構成になっており、1曲目はアルバムのテーマをまさに歌い上げたイントロ曲。全体のトーンをセットするにはスケール感のある英語歌詞のオープニング曲で戯曲の幕が開ける。3曲目『マ・シェリ』はまさにタイトルの通り、フレンチャbプスのような可愛い曲。アルバムの中でいい意味で浮いている存在。5曲目『どん底まで』はこのアルバムの中でも一番好きな曲。椎名林檎らしいロックな曲調で、どこか初期のロックにも通ずる空気感をただ酔わせる名曲だ。またまた一転してアルバムど真ん中7曲目の『TOKYO』はジャジーなナンバーだが、サビがいかにも椎名印のメロディーで、とても嬉しくなる。9曲目『至上の人生』はスローなロックナンバーで、過去の名曲『ここでキスして。』にも通じる切ないサビのメロディーが秀逸。11曲目の『ジュ―ダム』は、珍しく等身大の今の椎名林檎の私生活を少し垣間見たような可愛い曲で、こう言った椎名林檎も凄くいい。そして戯曲の最後を飾る『あの世の門』は、椎名林檎が子供の頃経験した実体験(?)を歌にしたらしいが、独特な煩悩の世界観を締めくくっている。



もうお分かりの通り、このニューアルバムは構成も各楽曲のクオリティー、バラエティ性も見事な調和を見せており、椎名林檎ワールドを満喫・堪能出来る名盤となっている。とてもお薦めの椎名林檎アルバムである。
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