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フランス・ショート・トリップ ~巴里編 Pt.2~

2009-03-20 | travelog


★2月27日 : パリ(前半)
この頃のパリの日の出時刻は、7時40分頃。7時半頃にホテルを出ると、まだ薄暗かった。
シテ島のノートルダム大聖堂まで歩いて行く内に、完全に明るくなったが、お天気は曇り。
ノートルダム大聖堂前の広場は、時々人が通り過ぎるだけで誰も居なく、ひとりじめ。大聖堂の西側正面には3つの扉があり、様々な彫像が並び、そのひとつひとつに細かな装飾が施されている。そのひとつひとつに意味があるので、下調べしていたメモを見ながらじっくり鑑賞することができた。
8時のオープンより少し早く扉が開いたので中に入ると、ピーンと張り詰めた冷たい空気が体に伝わり、心が洗われているような気分になった。
南北の立派なバラ窓や主宰壇のピエタを見ながら、左回りに側廊をゆっくり歩いて二周した。
 ノートルダム大聖堂の右扉のタンパン
 主宰壇のピエタ

ひとしきり見学したあと、当初はこの日に大聖堂の塔の上に上る予定だったが、お天気がすぐれなかったので予定を変更し、オルセー美術館に行くことにした。
でも開館時間までまだだいぶあったので、セーヌ河を渡って途中いくつか教会を見ながらサン・ジェルマン・デ・プレ界隈まで歩き、日本にも出店しているパン屋さん 「PAUL」 に入った。
店内には香ばしいパンのいい匂いが漂い、食欲をそそられた。奥のカフェ・スペースに座ると、チャキチャキと動き回っているおばあさんが、“ボンジュール!” と言いながらメニューを持ってきてくれた。
フランスのカフェごはんの定番メニュー、クロック・ムッシュとカプチーノをオーダー。クロック・ムッシュは予想以上に大きく、普段朝食を摂らないので食べれるかなぁと思ったが、美味しくて見事完食。
 朝食のクロック・ムッシュ&カプチーノ

お腹いっぱいになったあと再びシテ島に戻って、ステンド・グラスが見事な教会、サント・シャペルに向った。
途中、郵便局に寄って絵葉書用の切手を購入。フランスの郵便局は、オーストリアと同じく黄色がシンボル・カラー。でも、ウィーンやプラハと違って、街にたくさん点在しているので便利だ。
サント・シャペルは裁判所と同じ敷地内にあるので、入口でセキュリティ・チェクを受けた後、ミュージアム・パスでチケット売場では並ぶことなく入場。階段を上って2階の部屋に辿り着くと、三方を見事なステンドグラスで囲まれた美しい空間が目の前に広がり、思わず “うわ~っ!” と声が出てしまった。(タイトル写真)
太陽の光が差し込んでいたら、もっと輝いていたのだろうけど、それでも自然の光にカラフルなステンドグラスが調和して、本当に美しかった。

教会を出た後、隣りにあるコンシェルジュリーに行こうとしたが入口がわからず、とりあえず入ってみた建物は裁判所だった。
私と同じように行ったり来たりしている女の子が居たので声を掛けて聞いてみると、彼女も探したがわからない、でも多分あっちの方だと思う、とのこと。その “あっち” に行ってみたが、やはりそれらしきところはなかった。
コンシェルジュリーは中に入る予定にはしていなく、ついでだしミュージアム・パスが使えるからと思っていただけだったので、諦めて門を出てオルセーに行くバス停に向かって歩いていると、向こうからさっきの彼女が歩いてきて私に何か言っている。
近付いて行くと、コンシェルジュリーの入口はそこだ、と教えてくれた。サント・シャペルと同じ敷地と思っていたが、一旦外に出ないと入口はなかったのだ。
せっかくだからと思い中に入ったが、大して見応えのある場所ではなかったので、薄暗い独房をサクッと見てすぐ出た。マリー・アントワネットの独房は、人形で再現されていた。
セーヌ河沿いに走るバスに乗ってオルセー美術館に行き、入館のセキュリティ・チェックで少し並んだが、中に入るとミュージアム・パスでスイスイ。
ここはかつて駅舎だったところなので、駅舎時代の大時計もあった。ドーム状のガラスの屋根から光が差し込み、開放的な感じの明るい空間が気持ち良かった。
海外の美術館はどこもとてつもなく広く、全部見るには到底丸一日費やしてもムリ。自分の見たいものを絞って効率良く見て、お目当ての絵がある場所を予めチェックしておかないと、探し回るだけで体力を消耗してしまう。
真っ先に行ったのは、上階にある大好きなロートレックの部屋。たくさんの作品が、照明を落とした暗い部屋のガラス・ケースの中に展示されていた。
そのあと、ルノワール、ゴッホ、モネ、セザンヌ、ドガ、マネと言った、教科書や美術書で何度も見た印象派の作品が目白押し。たくさんの有名な作品を、この目で鑑賞していることに喜びを感じた。
課外授業で来ている子供たちが、絵画の前で先生の話を聞いている姿をたくさん見た。子供の頃からこういう素晴らしい芸術に触れられるというのは芸術の都らしいが、子供たちも真剣に先生の話に耳を傾けている。京都に行く修学旅行の学生たちは、自分も含め、歴史の話などは真剣に聞くことなど殆んどなく、全くと言っていいほど頭に入っていないというのが現実だ。
上階を何度も往復して鑑賞し、1階に戻ってミレーの 『落穂拾い』 を最後に、オルセーを後にした。
 駅舎の名残があるオルセー美術館
 課外授業の子供たち
 ロートレック 『黒いボアの女』(1892年)
 ミレー 『落穂拾い』(1857年)

次に目指すところは、モンマルトル。オルセーの近くSolférino(ソルフェリーノ)からメトロ12号線に乗り、Abbesses(アベス)で降りた。
モンマルトルには、かつてピカソやモディリアーニら芸術家たちが住んでいただけあって、Abbesses駅のホームから地上に出る階段の壁は、アートで埋め尽くされていた。
 Abbesses駅のアート

モンマルトルは、映画 『アメリ』 の舞台となり、先日終了したTVドラマ 『トライアングル』 の初回放送のロケ地にもなったところ。
パリでいちばん高いところで、急な坂道や階段が多いので、行きの上りはモンマルトル・バスというミニ・バスに乗って移動した。小さなバスは、狭くて急な坂道をびゅんびゅん飛ばして走る走る。
年中観光客で日夜賑わうテルトル広場に着くと、乗客の大半が降りて、残ったのは地元のお年寄りと私だけだった。
私はもうひとつ先で降りるつもりだったが、向かいに座っていたおばあさんが、“降りないの?” というようなそぶりをしてフランス語で声を掛けてくれたので、“Non. Merci!” と言って次のバス停で降りた。
そこにはパリ唯一のぶどう畑が広がり、向かいには老舗のシャンソニエ 「オ・ラパン・アジル」 が見えた。
そのままサクレ・クール寺院まで歩いて行くと、ビザンチン様式の白亜の大聖堂がそびえ建ち、曇り空で見晴らしは良くないものの、大聖堂前の階段にみんな座って遠くに広がるパリの景色を眺めていた。
そして、その階段の中腹では、ひとりの男性がギターの弾き語りでoasis(オアシス)の 「Wonderwall」 を熱唱していた。それがなかなかイケていて、若者たちは一緒に歌い、年配の人たちは温かく手拍子を送っていた。その光景が、なんだかとっても微笑ましかった。
 モンマルトルの階段  
 モンマルトルの丘から

テルトル広場には、絵画を売ったりイーゼルを立てて似顔絵を描いている人がたくさんいて、とても賑わっていた。
歩いて坂道を下り、途中モンマルトル博物館に立ち寄ると、そこにはロートレックの絵画があり、黒猫の絵が有名なキャバレー 「ル・シャ・ノワール」 のポスターや、さっき見た 「オ・ラパン・アジル」 の “はねうさぎ” の原画も展示されていた。写真はNGだったので、しっかりとこの目に焼き付けてきた。
“ラデの風車” と “ムーラン・ド・ギャレット” の風車を見たあと、ミュージカルにもなった “壁抜け男” のモニュメントの横を通り、更に坂道を下って行った。
確かこの辺に、『アメリ』 の舞台となった八百屋さんがあったはず・・・と思い、地図で確認して歩いて行くと、店先に 『アメリ』 の写真が飾られた八百屋を発見。当たり前だが、映画のまんまだった。(笑)
 テルトル広場  
 壁抜け男
 『アメリ』 の舞台となった 「オ・マルシェ・ラ・ビュット」

モンマルトルの丘に昇るフニクラーレ(ケーブルカー)の駅があるサン・ピエール広場まで行くと、前に来た時も勧誘をかわすのがウザかった怪しい中東系の物売りたちが、相変わらずたむろしていた。
ササッと避け、サクレ・クール寺院を見上げたあと、窓越しに見たケーキが美味しそうだった広場近くのサロン・ド・テ 「Couderc(クーデルク)」 に入った。
ショーケースにはたくさんのプチ・ケーキが並び、選ぶのに迷ったが、カプチーノ味と思われるクリームにスライス・アーモンドがトッピングされた “aladin” というケーキを選び、お店のお姉さんに奥で食べることを告げ、窓側の生に着いた。
サロン・ド・テなのに、ここでもまたカフェ・クレームを飲んだ。というのも、紅茶はティー・ポットで出てくるので、日本のようにいつでもどこにでもトイレがあるという環境がない海外では、必要以上の水分は取りたくなかったのだ。
ケーキの選択は正解で、カプチーノのほろ苦い風味が口の中に広がり、甘さも丁度良くてとっても美味しかった。店を出る時、そのケーキは売り切れていた。

お持ち帰りと店内飲食では値段が違うので、値段がふたつ書かれている

店を出たあと、Pigalle(ピガール)からメトロ2号線でひと駅先のBlanche(ブランシュ)まで行き、駅前にあるフレンチカンカン発祥のミュージック・ホール 「ムーラン・ルージュ」 の真っ赤な風車を見てから、『アメリ』 好きの友達のために、映画の舞台となったカフェの写真を撮りに行った。
カフェはとっても混んでいて、外から覗くと店内には大きな 『アメリ』 のポスターが貼られていた。
 歓楽の地、ムーラン・ルージュ
 
『アメリ』 のカフェ 「レ・ドゥ・ムーラン」

そして、再びBlanche(ブランシュ)からメトロ2号線に乗って、エッフェル塔と並ぶパリを象徴する建造物、エトワール凱旋門があるCharle de Gaulle-Étoile(シャルル・ド・ゴール=エトワール)まで行った。


★巴里編 Pt.3につづく