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フランス・ショート・トリップ ~ルーアン編~

2009-03-25 | travelog


★2月28日 : パリ~ルーアン(午後)
サン・ラザール駅はパリのターミナル駅としては最も古い駅で、ガラス屋根のホームには自然の光が差し込み、ノスタルジックな雰囲気が漂っていた。
ルーアン行きの列車のホームを電光板で探したが見つからなかったので、近くにあったインフォメーションで聞いて列車に乗り込んだ。発車時刻約10分前の2等車内はとても混んでいて、なんとか席を見つけて座った。
きっぷは、ネット予約専用のPrem's(プレムス)という割引きっぷを事前に予約していた。これは、プリントアウトしたものがきっぷとなり、コンポスタージュという改札の打刻をしなくてもよく、名前も印字されていた。
予約した時、ユーロのレートが1ユーロ119円という最も安い時だったので、ルーアンまでは片道11ユーロ、日本円にして1.309円でPrem'sを購入することができた。 
 サン・ラザール駅のホーム
 この列車で出発

定刻に発車して暫くすると、本を読んでいた25歳くらいの隣りの男性に声を掛けられた。フランス語はわからないので英語なら・・・と言うと、“次の駅まで眠るので、着いたら起こしてくれないか” とのこと。母国語以外の言葉もスラスラ話せるっていうのは、うらやましい。
次の駅がどこかわからなかったが、私は眠るつもりはなかったので快く引き受けた。でもその男性はすぐには眠らず、それから暫く話をすることに。
旅先での定番質問、どこから来たのか聞かれ、日本からと答えると、その彼は “ホッカイドー、ホンシュー、シコク、キタキューシュー?” と言うではないか。
ビックリして、日本に行ったことがあるの?と聞くと、彼のご両親が2年前に一度行ったことがあるとのこと。
ご両親は東京、京都、北九州に行ったそうで、北九州は九州の北部のことで、全体は “キュウシュウ” と言うんだよと教えてあげた。
新幹線の話や、今までお互いに行ったことのあるヨーロッパの国々の話などをし、彼はパリに住んでいて、アムステルダムの友達に逢いに行くのだと言う。え?オランダまでならタリスとかで行くんじゃないの? 途中でどこかに寄るのか?
聞いてみようと思った時、“じゃあ、寝るから起こしてね” と言われたので、詳しく聞けず終いだった。
ひとつ前の席に座っていたちょっとアウトローな感じの男性が、私のことを意識したのかどうかは定かではないが、席と席の間からわざと見えるように日本語のテキストを開いてiPodで勉強を始めた。(笑) 話しかけて欲しかったのかなぁ・・・。
結局、次の駅というのがルーアンで、私が彼を起こす前に車内放送で起きたので、席を立つ前に “話しができて楽しかった、ありがとう。よい週末を。アムスまで気を付けてね!” “こちらこそ、君もよい旅を!” と会話して別れた。
パリから約1時間で着いたルーアンは、フランスの西部に位置するジャンヌ・ダルクが火刑になった街で、モネが連作で描いたノートルダム大聖堂がある。駅の構内には、その大聖堂の壁画があった。(ノートルダムと名の付く大聖堂は、フランス語圏の街に数多くある。)
 SNCFルーアン駅内

駅前の地図で位置関係を確認したあと、歩いてすぐのところにとんがり屋根の塔が見えた。“ジャンヌ・ダルクの塔” だ。
フランスの英雄となり、最期は悲劇的にその人生を終えたジャンヌ・ダルクが監禁されていたところで、中には彼女のいろいろな似顔絵や像、様々な戦いに関する年表や資料が展示されていた。展示室は明るく改装されていたが、監禁されていたと思われるところは、何だか重々しい空気が漂っていた。
 ジャンヌ・ダルクの塔

まっすぐ行くと大聖堂に辿り着くのだが、その前に遠回りして市庁舎の隣りにあるサン・トゥアン教会に行った。
最初、これが大聖堂?と思ったくらい立派な教会で、外観の豪華さとは反対にとてもシンプルな教会内は、美しいステンドグラスが燦々と差し込む太陽の光によって床や壁に映し出され、幻想的な空間を演出していた。こういう自然の光で明るい教会は大好きだ。
教会の回りは公園になっていて、そこでおじいさんたちがペタンクという球技をやっていた。以前 『SMAP×SMAP』 で高田純次と大竹まことが木村拓哉と香取慎吾相手にこのゲームをやったのを覚えていたので、“あ、あれだ!” とすぐわかった。
そのあと、ノルマンディ地域特有の可愛い木組みの家並を見ながら、サン・ヴィヴィアン教会とサン・マクルー教会に立ち寄ったあと、いよいよ大聖堂へと向かった。
 サン・トゥアン教会
 ペタンクを楽しむおじいさんたち
 サン・マクルー広場

中世の趣きが残る石畳の細い路地を抜けて行くと、左側に大聖堂の一部が見えてきた。そして、大聖堂の前の広場に辿り着くと、“すっげ~!” と声が出てしまった。そこには言葉で言い表すことができないほどの、荘厳で豪華で美しくて力強い、大きな大きな大聖堂が建っていた。素晴らしい・・・!! 大きすぎて全体はカメラにとても収まらない。(タイトル写真)
ゴシック様式の豪華なファサード、突起部の先端まで手の込んだ細かな装飾、そのどれもが目を惹いた。
実は、ルーアン行きの計画を立てた時は、朝から行って午前中いっぱいをルーアンで過ごしてパリに戻るつもりだった。しかし、色々下調べをしていると、午前中の大聖堂は建物の影になってしまうので、ファサードの美しさを見るのは午後がいいということがわかり、大聖堂を始めその他の教会なども午後は2時からオープンなので、その時間に合わせた列車にした。計画を変更して正解だった。
大聖堂前の広場は、土曜日ということもあってたくさんの人で賑わい、内部も結構人がいたが、とても広いので混雑さは感じなかった。
広場を挟んで向かい側にツーリスト・インフォメーションがあり、その2階がモネのアトリエだ。
2階に上がる階段の入口のドアは閉まっていたので、インフォメーションのスタッフに聞くと、冬期は入れないとのこと。残念!モネと同じ目線で大聖堂を見たかったな・・・。
インフォメーションのスタッフは、今まで接したいろんなところのツーリスト・インフォメーションのどのスタッフよりも感じ良く、フランス・アメリカ・スペインの国旗のバッジを付けていた。その国々の言葉が話せるという意味で、全部付いている人とそうではない人がいた。
 大聖堂のファサードと左側の塔
 この2階の右側がモネのアトリエだった

ひとまず広場を後にし、ごった返すほどたくさんの人が行き交う、街でいちばん賑わうグロ・オルロージュ通りを歩き、「Brioche Dorée(ブリオッシュ・ドレ)」 というフランスに多数点在するセルフ・サービスのカフェに入った。
パン・オ・レザンとフランボワーズのタルトに、飲み物は一度は飲もうと思ってエスプレッソにした。
パン・オ・レザン(レザンとはレーズンのこと)はデニッシュ生地がパリッとしていて美味しく、タルトはフランボワーズ(ラズベリー)の甘酸っぱい実が丁度いい甘さのカスタード・クリームに絡んで、これも美味しくて満足。でも、エスプレッソはやっぱり苦くて、普段はノン・シュガーだがたっぷりお砂糖とミルクを入れて丁度良くなった。
 「Brioche Dorée」 のパンとタルト

カフェでツーリスト・インフォメーションで買ったルーアンの小冊子を読むと、もう一度大聖堂に行きたくなったので引き返し、また中に入って見逃していたものなどを見て回った。
外に出て横にも回っていろんな角度で眺め、最後にオルセー美術館で見たモネの絵と同じ角度の大聖堂を写真に収めた。その比較は、フォト・ブログに掲載。こちら
 真横はこんな感じ

大聖堂を後にして歩いていると、店の外まで列を成して繁盛しているパン屋さんを見つけたので、そこでパン・オ・ショコラとプティ・ショーソン・オ・ポムとタルトを買った。
タルトを頼む時、ガラス・ケースの外から “コレください” と丸暗記のフランス語で言ったのだが、指がずれて見えたのかひとつ隣りのものと間違えられてしまい、後ろに並んでいたお兄さんが “○○だよ”(フランス語) とお店の人に言ってくれた。
 人気パン屋さんの店内

木組みの家とたくさんの店が並ぶグロ・オルロージュ通りをさっきより先に進んで行くと、青・赤・金色に輝く大時計が見えてきた。この通りの名前Gros-Horloge(グロ・オルロージュ)とは、この大時計のこと。
街のシンボルとなっている大時計はアーチ型の塔になっていて、くぐり抜けるとそのまま通りは続き、途中で横道に反れると裁判所の前に出た。
尖塔がたくさん施された建物で、裁判所という重圧感はなく、豪華で美しかった。大聖堂にもあったが、ここにも屋根の下の梁の辺りにガーゴイルがいた。ガーゴイルはパリのノートルダム大聖堂だけのものでなく、雨水を排出するため、いろいろな建造物に付いているのだということがわかった。
 大時計   裁判所

裁判所前の通りから、ヴューマルシェ広場へと向かった。この広場にはジャンヌ・ダルクに捧げた教会があり、火刑にされた場所には十字架が立ち、彼女の博物館があり、屋内中央市場があった。
ジャンヌ・ダルク教会は、代々木体育館を小さくしたようなモダンな外観で、中はその外観からは想像できないほど、木の壁一面にステンドグラスがはめ込まれた美しい教会だった。
  ジャンヌ・ダルク教会

約4時間のルーアン滞在。想像以上に素敵な街だったので、是非また訪れたいと思いながら、17:59発の列車に間に合うように、ジャンヌ・ダルク通りを駅まで歩いて行った。
  ジャンヌ・ダルク通りのサイン


★巴里編 Pt.5につづく